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西方編
落胆
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「悟、大丈夫か?」
「俯いて、どうしたんだよ!」
落ち込んで帰ってきた悟の姿を見て陣屋にいた兵士は声をかけた。
「戦場に共にこの世界に来た異界人の友の目覚しい成長を見て落ち込んだようだ」
藤次郎を頭を抱えて戦見学は逆効果になったことを悔いた。
馬を返し大崎陣屋を出て陣屋の外れの小屋に帰ると風花が落ち込む悟の元に寄った。
「お兄ちゃんどうしたの?」
悟は3人の成長にショックを受けたこと。そして自分の成長の無さに酷く落ち込むと伝えた。
「お兄ちゃんは、武器を持って戦うことは駄目かもしれないけど、武器がなくても私を守ってくれた心の強さがあるの」
「風花……」
悟は風花の前で子どものように泣き、そのまま寝てしまった。
カンカンカン!
「お兄ちゃん起きて!」
鐘の音と風花の声で目覚めた。
「何事だ?」
「鬼が迫ってるの!早く逃げましょう!」
悟は刀を持ち、風花と大崎陣屋に行く。既に兵士は準備万端で今にも陣屋を出ようとしていた。
藤次郎が悟に駆け寄る。
「これから我らは大群の鬼と戦う。先の三好と三日月の戦いで、後方から鬼の大群が加勢し三好・三日月軍は壊滅した。三日月にいる悟殿の友の行方は分からないが、2人は此処から逃げてくれ」
「俺も戦います」
「逃げよ。これは我、嘉内藤次郎の頼みである。大崎の兵数では鬼の大群の足止めしか出来ぬ。逃げて、今坂の権野寺武彦という人物を頼ってほしい。1年前、貴殿と出会い、この乱れた世に、身を犠牲にして人を助ける汚れ無き魂を見た。どうかその美しき心を磨き上げてほしい!頼んだぞ、悟殿!」
悟は泣きながら、藤次郎と握手し大崎の陣屋を出た。
馬に乗り、風花を乗せ迫る鬼の大群から逃げた。
しばらくして大崎の陣屋の方から多数の悲鳴が上がり、悟は泣くのを堪えてながら馬を走らせた。
風花の案内で2日間街道を馬で走り今坂の町に入った。
今坂の町は行き交う人々も多く、道には露店が連なり栄えている。
「藤次郎さんが言ってた権野寺武彦って何処にいるのかな?」
「聞かれても分からないよぉ」
馬屋で馬を繋ぎ、町を歩いた。2日飲まず食わずで走った為、めし屋に入って、どて煮と大盛りのご飯を注文した。
席に座ると
「汚ねぇ身なりだな。服の泥ぐらい払って入りな」と隣の席の男から注意され、外に出て服の泥を払ってまた席に戻った。
「兄ちゃんと姉ちゃんは何処から来た?」と
注意した隣の席の男が喋りかけてくると風花は「大崎陣屋」と答えた。
「大崎陣屋ってことは、三好の三日月領の近くだな。大崎陣屋の者が、なんでこんな遠くまで来た?」
「三好・三日月の軍は敗れ、恐らく大崎陣屋は落ちました」
「なんだって!その知らせはまだ入ってきてないぞ!大変だ!急いで今坂城まで付いて来い!今坂城の者に伝えなきゃならねー!」
男は食ってない飯代の銭を席の上に置くと悟を引っ張って今坂の城へと急いだ。
街の先に大きな門と塀があり、奥には三層天守閣が見える。
門の前で男が叫ぶと門が開いた。
さらに門とがあり、また叫ぶと門が開いた。
三層天守閣の手前にある屋敷に連れられた悟と風花。
屋敷内の通路を通り、広間に入ると50人程が雑談していた。
「昼時に悪い!聞いてくれ。この男の知らせで三好と三日月領が突破された」
男の声で全員が一斉に静まり返る。
「2人は大崎陣屋から逃げてきた者だ。間違いないな?」
「はい」
広間で1番大きな男が立ち上がった。
「三好と三日月領を抜かれた知らせなど伝わっておらん!戯言じゃ!」
悟の戦闘着を見て男は
「この男が着る服は大崎陣屋の者しか着ない服だ」
「確かに。して、大崎陣屋から逃げて何故この今坂に逃げてきた。近くに城に砦なら幾らでもあろう?」
「嘉内藤次郎さんが今坂の権野寺武彦という人を頼れと」
大男は座っていた人を掻き分け悟の前まで来た。
「嘉内藤次郎はどうした?」
「分かりません。我々2人を逃す為に大崎陣屋に残りました」
大男は悟の両肩を力強く掴んだ。
「い、痛い!」
「こんな小僧を助ける為に?藤次郎は残っただと!貴様も貴様だ!藤次郎を残して逃げよって!」
「やばいぞ!皆、押さえろ!」
「怒ったら最後、止めろー!」
大男は悟を投げ飛ばした。
襖と共に外の中庭に吹き飛び、3回転して止まった。
大男にしがみ付く男達は易々と振り払われ、悟の前まで迫った。
大男の放つ怒りの気迫に押され、後ろに下がった。
「俯いて、どうしたんだよ!」
落ち込んで帰ってきた悟の姿を見て陣屋にいた兵士は声をかけた。
「戦場に共にこの世界に来た異界人の友の目覚しい成長を見て落ち込んだようだ」
藤次郎を頭を抱えて戦見学は逆効果になったことを悔いた。
馬を返し大崎陣屋を出て陣屋の外れの小屋に帰ると風花が落ち込む悟の元に寄った。
「お兄ちゃんどうしたの?」
悟は3人の成長にショックを受けたこと。そして自分の成長の無さに酷く落ち込むと伝えた。
「お兄ちゃんは、武器を持って戦うことは駄目かもしれないけど、武器がなくても私を守ってくれた心の強さがあるの」
「風花……」
悟は風花の前で子どものように泣き、そのまま寝てしまった。
カンカンカン!
「お兄ちゃん起きて!」
鐘の音と風花の声で目覚めた。
「何事だ?」
「鬼が迫ってるの!早く逃げましょう!」
悟は刀を持ち、風花と大崎陣屋に行く。既に兵士は準備万端で今にも陣屋を出ようとしていた。
藤次郎が悟に駆け寄る。
「これから我らは大群の鬼と戦う。先の三好と三日月の戦いで、後方から鬼の大群が加勢し三好・三日月軍は壊滅した。三日月にいる悟殿の友の行方は分からないが、2人は此処から逃げてくれ」
「俺も戦います」
「逃げよ。これは我、嘉内藤次郎の頼みである。大崎の兵数では鬼の大群の足止めしか出来ぬ。逃げて、今坂の権野寺武彦という人物を頼ってほしい。1年前、貴殿と出会い、この乱れた世に、身を犠牲にして人を助ける汚れ無き魂を見た。どうかその美しき心を磨き上げてほしい!頼んだぞ、悟殿!」
悟は泣きながら、藤次郎と握手し大崎の陣屋を出た。
馬に乗り、風花を乗せ迫る鬼の大群から逃げた。
しばらくして大崎の陣屋の方から多数の悲鳴が上がり、悟は泣くのを堪えてながら馬を走らせた。
風花の案内で2日間街道を馬で走り今坂の町に入った。
今坂の町は行き交う人々も多く、道には露店が連なり栄えている。
「藤次郎さんが言ってた権野寺武彦って何処にいるのかな?」
「聞かれても分からないよぉ」
馬屋で馬を繋ぎ、町を歩いた。2日飲まず食わずで走った為、めし屋に入って、どて煮と大盛りのご飯を注文した。
席に座ると
「汚ねぇ身なりだな。服の泥ぐらい払って入りな」と隣の席の男から注意され、外に出て服の泥を払ってまた席に戻った。
「兄ちゃんと姉ちゃんは何処から来た?」と
注意した隣の席の男が喋りかけてくると風花は「大崎陣屋」と答えた。
「大崎陣屋ってことは、三好の三日月領の近くだな。大崎陣屋の者が、なんでこんな遠くまで来た?」
「三好・三日月の軍は敗れ、恐らく大崎陣屋は落ちました」
「なんだって!その知らせはまだ入ってきてないぞ!大変だ!急いで今坂城まで付いて来い!今坂城の者に伝えなきゃならねー!」
男は食ってない飯代の銭を席の上に置くと悟を引っ張って今坂の城へと急いだ。
街の先に大きな門と塀があり、奥には三層天守閣が見える。
門の前で男が叫ぶと門が開いた。
さらに門とがあり、また叫ぶと門が開いた。
三層天守閣の手前にある屋敷に連れられた悟と風花。
屋敷内の通路を通り、広間に入ると50人程が雑談していた。
「昼時に悪い!聞いてくれ。この男の知らせで三好と三日月領が突破された」
男の声で全員が一斉に静まり返る。
「2人は大崎陣屋から逃げてきた者だ。間違いないな?」
「はい」
広間で1番大きな男が立ち上がった。
「三好と三日月領を抜かれた知らせなど伝わっておらん!戯言じゃ!」
悟の戦闘着を見て男は
「この男が着る服は大崎陣屋の者しか着ない服だ」
「確かに。して、大崎陣屋から逃げて何故この今坂に逃げてきた。近くに城に砦なら幾らでもあろう?」
「嘉内藤次郎さんが今坂の権野寺武彦という人を頼れと」
大男は座っていた人を掻き分け悟の前まで来た。
「嘉内藤次郎はどうした?」
「分かりません。我々2人を逃す為に大崎陣屋に残りました」
大男は悟の両肩を力強く掴んだ。
「い、痛い!」
「こんな小僧を助ける為に?藤次郎は残っただと!貴様も貴様だ!藤次郎を残して逃げよって!」
「やばいぞ!皆、押さえろ!」
「怒ったら最後、止めろー!」
大男は悟を投げ飛ばした。
襖と共に外の中庭に吹き飛び、3回転して止まった。
大男にしがみ付く男達は易々と振り払われ、悟の前まで迫った。
大男の放つ怒りの気迫に押され、後ろに下がった。
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