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ダンジョンに行かない勇者パーティー御一行
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大学入学以来、1度もダンジョンに行くことはなく1ヶ月が過ぎた。最近ではライリー達、勇者パーティーがダンジョンに潜ることがない。ライリーは毎日筋トレをして体を鍛えている。ジングルとセリアナは芸能活動で忙しい。ミニャはお菓子食べて漫画を読んだりゴロゴロと怠惰な生活を送っている。
また強敵に苦戦しているのだろうか?
ライリーの部屋のベルを鳴らす。
「紗倉か。どうした?」
「最近さ、ダンジョン行った?」
「いいや、別に行かなくても」
ライリーは隠し事をすると口をモゴモゴ動かす癖がある。絶対に何か隠している。
「一階の真下に行けば、すぐにダンジョン。私を必死に勧誘してた時期は毎日のようにダンジョンに行ってたのに最近何故行かなくなったの?」
「実は単独でダンジョンに潜った時に6階層の奥で鍵付きの石の扉があって、私は近くの宝箱から鍵を見つけた。次は皆で鍵を開けて先に進むことにしたが帰宅して数日後、鍵を紛失して先に進めないのだ」
ダンジョン行かないのは鍵の紛失という馬鹿げた理由だった。
「他の人に言いました?」
「まだだ」
「全員で探しましょう」
ライリーの部屋に集まったのは、私と美智香とミニャとモデルの撮影帰りのセリカだ。
「絶対家にある!私は鍵を持ち帰った」
「それなら家にあるでしょう」
セリカは呆れながら、2日ぐらい溜まった洗濯物が詰まった洗濯籠の中を探していた。
ライリーの部屋は筋トレグッズや筋トレマシンが多い。部屋の中も物で溢れてきたない。飲みかけのペットボトルに食べ終わったコンビニ弁当がそのままテーブルに放置してある。
衣服のポケット、棚の中、ゴミ箱に、台所の食器の中。何処にもない。
数時間探して見つからず、疲れて床に座った時。レッグプレスという筋トレマシンの重りを固定する真ん中のピンに鍵が刺さっていた。
「見つけた!」
「どこ!?」
「そこ。重りの真ん中!引っこ抜くよ」
私が引き抜くとやっぱりダンジョンの鍵だった。
「ライリーさん?どうしてこんな所に鍵が刺さっているの!」
「そういえば、重りに使うピンを無くしてピン代わりに鍵を使ってたかな。忘れてたよ・・・ハハハ。今思い出した」
そのあと女性4人から説教されたライリーは「魔物より怖い」という余計な一言でさらに説教が長引いた。
住んでいるアパートの地下に魔物が棲むダンジョンがあるとは思えない春の陽気の穏やかな時間が流れる。
誰もいない部屋の中。久しぶりにのんびり過ごせる。のんびりゴロゴロして漫画を読んだり、好きな配信者の動画を見たり・・・する予定が全て目の前で粗茶をズズズーと音を立てて啜る銀髪の美少女に壊された。
数分前。
ピンポーン!いきなりチャイムが鳴る。玄関のドアスコープ(ドアに設置された魚眼レンズ付きの覗き穴)を覗くと銀髪の美少女が立っていた。
「どちら様ですか?」
「はよ開けてミチエ。お土産あんねん」
関西弁!私も関西出身。祖母の知り合いかな?
私はドアを開けた。ミニャと同じ身長150cmぐらいで細い。顔は小さく整っている。着物を加工したような特殊な服を着た内側から威圧感のようなものを感じる女性がいた。
祖母の孫だと伝え祖母のことを話した。
玄関で立ち話も失礼だと思って、テーブルに向かい合う形で座り熱いお茶を出した。
「ミチエ引退して孫に譲って老人ホームか」
「はい」
ズズズーと音を立ててお茶を啜り一呼吸置いた。
「うちな、ミチエの近畿支部の友達やねん」
「支部?」
「ライちゃんから聞いてない?」
「ライちゃん?」
「ライちゃんはライリーのこと。関東支部のリーダーやねん。今は全国8ヶ所支部がある。関東支部はこのアパートともう2ヶ所、ダンジョンが発生してるの知らん?」
「いえ知らないです」
「何にも知らないのに勇者パーティーしてるんやね。勇者証明書は?」
銀髪の女性は運転免許証のようなカードをがま口ポーチから取り出して机に置いた。
「未発行なら早めに発行してね」
「わかりました」
「ダンジョンは基本全国各地のマンション、学校、民家の地上や地下に発送する自然現象。穴とか扉が媒介になって異世界とこっちの世界を繋いでるって訳。私はエルフと人間のハーフで、どっちか言うたら人間に近い。魔物だけじゃなくてエルフやドワーフ、鬼、吸血鬼、人魚なんかも異世界からダンジョンを通ってきたんやろね」
全国に同じようなダンジョンがあると思うと恐怖を感じる。今まで私が何も知らずに生活していたのは魔物が外に出ないように、各地の勇者パーティー達が抑えてくれていたのかな。
そう思うと私がこれから勇者パーティーの一員としてダンジョンに潜ることも意味があるように思えた。
「ライちゃんにも用事あるねん。土産食べてな」
「ありがとうございます」
「名前まだ言うてなかったね。私は勇者パーティー近畿支部リーダー、舞鶴レイカ。宜しゅうな。またミチエの話聞かせてな」
「九条川紗倉です!宜しくお願いします。またお話しましょう」
「ほなまたね」
レイカさんは私の部屋を出た。
外を出てすぐ、ライリーの部屋を叩きながら大きな声で「ライちゃん居てる?」とレイカさんの声が外から聞こえてきた。
レイカさんの威圧感と独特な緊張感から解放されてベッドに倒れ込んだ。
また強敵に苦戦しているのだろうか?
ライリーの部屋のベルを鳴らす。
「紗倉か。どうした?」
「最近さ、ダンジョン行った?」
「いいや、別に行かなくても」
ライリーは隠し事をすると口をモゴモゴ動かす癖がある。絶対に何か隠している。
「一階の真下に行けば、すぐにダンジョン。私を必死に勧誘してた時期は毎日のようにダンジョンに行ってたのに最近何故行かなくなったの?」
「実は単独でダンジョンに潜った時に6階層の奥で鍵付きの石の扉があって、私は近くの宝箱から鍵を見つけた。次は皆で鍵を開けて先に進むことにしたが帰宅して数日後、鍵を紛失して先に進めないのだ」
ダンジョン行かないのは鍵の紛失という馬鹿げた理由だった。
「他の人に言いました?」
「まだだ」
「全員で探しましょう」
ライリーの部屋に集まったのは、私と美智香とミニャとモデルの撮影帰りのセリカだ。
「絶対家にある!私は鍵を持ち帰った」
「それなら家にあるでしょう」
セリカは呆れながら、2日ぐらい溜まった洗濯物が詰まった洗濯籠の中を探していた。
ライリーの部屋は筋トレグッズや筋トレマシンが多い。部屋の中も物で溢れてきたない。飲みかけのペットボトルに食べ終わったコンビニ弁当がそのままテーブルに放置してある。
衣服のポケット、棚の中、ゴミ箱に、台所の食器の中。何処にもない。
数時間探して見つからず、疲れて床に座った時。レッグプレスという筋トレマシンの重りを固定する真ん中のピンに鍵が刺さっていた。
「見つけた!」
「どこ!?」
「そこ。重りの真ん中!引っこ抜くよ」
私が引き抜くとやっぱりダンジョンの鍵だった。
「ライリーさん?どうしてこんな所に鍵が刺さっているの!」
「そういえば、重りに使うピンを無くしてピン代わりに鍵を使ってたかな。忘れてたよ・・・ハハハ。今思い出した」
そのあと女性4人から説教されたライリーは「魔物より怖い」という余計な一言でさらに説教が長引いた。
住んでいるアパートの地下に魔物が棲むダンジョンがあるとは思えない春の陽気の穏やかな時間が流れる。
誰もいない部屋の中。久しぶりにのんびり過ごせる。のんびりゴロゴロして漫画を読んだり、好きな配信者の動画を見たり・・・する予定が全て目の前で粗茶をズズズーと音を立てて啜る銀髪の美少女に壊された。
数分前。
ピンポーン!いきなりチャイムが鳴る。玄関のドアスコープ(ドアに設置された魚眼レンズ付きの覗き穴)を覗くと銀髪の美少女が立っていた。
「どちら様ですか?」
「はよ開けてミチエ。お土産あんねん」
関西弁!私も関西出身。祖母の知り合いかな?
私はドアを開けた。ミニャと同じ身長150cmぐらいで細い。顔は小さく整っている。着物を加工したような特殊な服を着た内側から威圧感のようなものを感じる女性がいた。
祖母の孫だと伝え祖母のことを話した。
玄関で立ち話も失礼だと思って、テーブルに向かい合う形で座り熱いお茶を出した。
「ミチエ引退して孫に譲って老人ホームか」
「はい」
ズズズーと音を立ててお茶を啜り一呼吸置いた。
「うちな、ミチエの近畿支部の友達やねん」
「支部?」
「ライちゃんから聞いてない?」
「ライちゃん?」
「ライちゃんはライリーのこと。関東支部のリーダーやねん。今は全国8ヶ所支部がある。関東支部はこのアパートともう2ヶ所、ダンジョンが発生してるの知らん?」
「いえ知らないです」
「何にも知らないのに勇者パーティーしてるんやね。勇者証明書は?」
銀髪の女性は運転免許証のようなカードをがま口ポーチから取り出して机に置いた。
「未発行なら早めに発行してね」
「わかりました」
「ダンジョンは基本全国各地のマンション、学校、民家の地上や地下に発送する自然現象。穴とか扉が媒介になって異世界とこっちの世界を繋いでるって訳。私はエルフと人間のハーフで、どっちか言うたら人間に近い。魔物だけじゃなくてエルフやドワーフ、鬼、吸血鬼、人魚なんかも異世界からダンジョンを通ってきたんやろね」
全国に同じようなダンジョンがあると思うと恐怖を感じる。今まで私が何も知らずに生活していたのは魔物が外に出ないように、各地の勇者パーティー達が抑えてくれていたのかな。
そう思うと私がこれから勇者パーティーの一員としてダンジョンに潜ることも意味があるように思えた。
「ライちゃんにも用事あるねん。土産食べてな」
「ありがとうございます」
「名前まだ言うてなかったね。私は勇者パーティー近畿支部リーダー、舞鶴レイカ。宜しゅうな。またミチエの話聞かせてな」
「九条川紗倉です!宜しくお願いします。またお話しましょう」
「ほなまたね」
レイカさんは私の部屋を出た。
外を出てすぐ、ライリーの部屋を叩きながら大きな声で「ライちゃん居てる?」とレイカさんの声が外から聞こえてきた。
レイカさんの威圧感と独特な緊張感から解放されてベッドに倒れ込んだ。
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