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第三部「全能神座争奪戦」編
クロト VS 『蒼炎神』サヴァイブ 3
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「ちぃっ!!」
サヴァイブは突如降り注いだ千の刃を、顔を顰めつつステップで回避した。
一撃一撃はおそるるに足らない威力だったのだが、それが千ともなれば、甚大なダメージになりかねないからだ。
「なっ、うあああっ!?」
一方のミュースは、突然の襲撃に対応しきれず、剣刃を受けて吹き飛んだ。
直前で後ろ方向へジャンプしたので、大ダメージではあるが、死んではいない。
味方なので当然だが、シロナからクロトとアクアへは、刃が放たれなかった。
「よっ、と。この鎖が原因だね。今外してあげるから少しだけ待ってね!」
「あなたは・・・シロナさん?」
アクアは自分の方へ近づいてきた女性を見て、驚きの声をあげた。
自らを戒めている鎖を外そうとしてくれている闖入者は、アクアが見知った人物だったのだ。
厳密には、あやふやな記憶の中で知り、天の塔で偽物とまみえただけではある。
それでも、自分の恩人の姿を見間違えることはしなかった。
「クソッ! させるかよっ!!」
サヴァイブがシロナめがけて大量の蒼炎を飛ばした。
意地でもアクアを解放させないつもりのようだ。
この状況でアクアがフリーになったら、かなり不味いと分かったのだろう。
「それは僕のセリフだね。させる訳がないだろう?『神天龍十六夜連閃・三極』!」
クロトがその間に割り込み、シロナに迫っていた蒼炎を迎撃する。
一瞬で<神瞳加速>状態になり、奥義となる技を繰り出した。
黒魔法を用いた『神天龍十六夜連閃・極黒』も使用している。
「はあああああああっ!!」
「うおおおおおおおおおおおおおおっ!!」
上下左右、あらゆる方向から放たれる蒼炎を、クロトは華麗に切り裂き、消滅させていく。傍から見れば目にも止まらぬ速さでの攻防が行われている。
<ユニークスキル〖剣舞〗を獲得しました>
<レアスキル〈黒魔法9〉が〈黒魔法10〉になりました>
「ここにきて動きが良くなっただとっ!?」
サヴァイブは目を見開いて驚きを露わにした。
対するクロトは新たなスキルを獲得し、動きが見違えている。
「だが、いずれは飽和するに決まっ『外れたああっ!!』て、何だとおおっ!?」
サヴァイブはシロナの解放したという宣言を聴いて目を剥いた。
念のため視界の邪魔になっている蒼炎を止めて確認してみると、間違いなくアクアの鎖が外されていた。
「早過ぎるだろうがあああああっ!! まさかっテメェっ、シロナっ!」
「はいはいっ、何か用事かなー?」
「お前、自分の防御を考えずに解除に専念したとでも言いやがるのかっ!?」
「うん。それがどうかしたの?」
シロナはサヴァイブの問いにキョトンとしながら、素直にその通りだと答えた。
彼女にとって、それが当たり前の行動だったのだ。
「正気かっ!? この男がしくじったら、蒼炎が当たって死ぬことくらい分かってんだろっ!?」
「え? ・・・クロトが守ってくれるから大丈夫に決まってるじゃん」
シロナはごく自然と、何の気負いもなく、クロトを信じていたのだと断言した。
あれくらいならクロトが確実に防いでくれると確信していたようだ。
だからこそ、己の防御を考えずに、鎖の解除に集中できた。
別に、無条件の信頼というわけではない。
互いができることとできないことを知り尽くしているだけなのだ。
だが、サヴァイブには少し違って見えたようだ。
「そういうことかよっ!! こいつがテメェの男ってわけかっ! 道理で俺様に靡かねぇはずだ!」
「「それは違う」」
声を揃えて真顔で、首を横に振って否定した二人だが、サヴァイブが信じるはずもない。
「てめぇら全員・・・俺のものにならねぇくらいなら・・・殺してやらああっ!!」
激怒したサヴァイブは、クロトに迫った。
この中で一番憎い相手として、クロトが選ばれたのだ。
怒りの影響か、サヴァイブの蒼炎は火力を増しているように思われた。
「散開っ!」
シロナの指示で、三人は一斉に距離をとる。
アクアはラファエルを召喚石に戻し、防具などを装備し直した。
「はああっ!『剣舞・凪ノ帝』!」
「っ、『水神魔法・明鏡止水』っ!」
アクアは復活して斬りかかってきたミュースを、姿を眩ませることで回避した。
彼女は身体能力を強化可能だが、実行する前に攻撃を喰らうと判断したのだ。
得意の水神魔法ならば発動に時間は掛からないので、そちらを選択したということだ。
上手く回避されたミュースは歯噛みしながら、サヴァイブの下へ向かう。
サヴァイブを護衛できる位置に移動したかったようだ。
かくして、戦いは一対二から三対二へと移り変わっていったのだった。
サヴァイブは突如降り注いだ千の刃を、顔を顰めつつステップで回避した。
一撃一撃はおそるるに足らない威力だったのだが、それが千ともなれば、甚大なダメージになりかねないからだ。
「なっ、うあああっ!?」
一方のミュースは、突然の襲撃に対応しきれず、剣刃を受けて吹き飛んだ。
直前で後ろ方向へジャンプしたので、大ダメージではあるが、死んではいない。
味方なので当然だが、シロナからクロトとアクアへは、刃が放たれなかった。
「よっ、と。この鎖が原因だね。今外してあげるから少しだけ待ってね!」
「あなたは・・・シロナさん?」
アクアは自分の方へ近づいてきた女性を見て、驚きの声をあげた。
自らを戒めている鎖を外そうとしてくれている闖入者は、アクアが見知った人物だったのだ。
厳密には、あやふやな記憶の中で知り、天の塔で偽物とまみえただけではある。
それでも、自分の恩人の姿を見間違えることはしなかった。
「クソッ! させるかよっ!!」
サヴァイブがシロナめがけて大量の蒼炎を飛ばした。
意地でもアクアを解放させないつもりのようだ。
この状況でアクアがフリーになったら、かなり不味いと分かったのだろう。
「それは僕のセリフだね。させる訳がないだろう?『神天龍十六夜連閃・三極』!」
クロトがその間に割り込み、シロナに迫っていた蒼炎を迎撃する。
一瞬で<神瞳加速>状態になり、奥義となる技を繰り出した。
黒魔法を用いた『神天龍十六夜連閃・極黒』も使用している。
「はあああああああっ!!」
「うおおおおおおおおおおおおおおっ!!」
上下左右、あらゆる方向から放たれる蒼炎を、クロトは華麗に切り裂き、消滅させていく。傍から見れば目にも止まらぬ速さでの攻防が行われている。
<ユニークスキル〖剣舞〗を獲得しました>
<レアスキル〈黒魔法9〉が〈黒魔法10〉になりました>
「ここにきて動きが良くなっただとっ!?」
サヴァイブは目を見開いて驚きを露わにした。
対するクロトは新たなスキルを獲得し、動きが見違えている。
「だが、いずれは飽和するに決まっ『外れたああっ!!』て、何だとおおっ!?」
サヴァイブはシロナの解放したという宣言を聴いて目を剥いた。
念のため視界の邪魔になっている蒼炎を止めて確認してみると、間違いなくアクアの鎖が外されていた。
「早過ぎるだろうがあああああっ!! まさかっテメェっ、シロナっ!」
「はいはいっ、何か用事かなー?」
「お前、自分の防御を考えずに解除に専念したとでも言いやがるのかっ!?」
「うん。それがどうかしたの?」
シロナはサヴァイブの問いにキョトンとしながら、素直にその通りだと答えた。
彼女にとって、それが当たり前の行動だったのだ。
「正気かっ!? この男がしくじったら、蒼炎が当たって死ぬことくらい分かってんだろっ!?」
「え? ・・・クロトが守ってくれるから大丈夫に決まってるじゃん」
シロナはごく自然と、何の気負いもなく、クロトを信じていたのだと断言した。
あれくらいならクロトが確実に防いでくれると確信していたようだ。
だからこそ、己の防御を考えずに、鎖の解除に集中できた。
別に、無条件の信頼というわけではない。
互いができることとできないことを知り尽くしているだけなのだ。
だが、サヴァイブには少し違って見えたようだ。
「そういうことかよっ!! こいつがテメェの男ってわけかっ! 道理で俺様に靡かねぇはずだ!」
「「それは違う」」
声を揃えて真顔で、首を横に振って否定した二人だが、サヴァイブが信じるはずもない。
「てめぇら全員・・・俺のものにならねぇくらいなら・・・殺してやらああっ!!」
激怒したサヴァイブは、クロトに迫った。
この中で一番憎い相手として、クロトが選ばれたのだ。
怒りの影響か、サヴァイブの蒼炎は火力を増しているように思われた。
「散開っ!」
シロナの指示で、三人は一斉に距離をとる。
アクアはラファエルを召喚石に戻し、防具などを装備し直した。
「はああっ!『剣舞・凪ノ帝』!」
「っ、『水神魔法・明鏡止水』っ!」
アクアは復活して斬りかかってきたミュースを、姿を眩ませることで回避した。
彼女は身体能力を強化可能だが、実行する前に攻撃を喰らうと判断したのだ。
得意の水神魔法ならば発動に時間は掛からないので、そちらを選択したということだ。
上手く回避されたミュースは歯噛みしながら、サヴァイブの下へ向かう。
サヴァイブを護衛できる位置に移動したかったようだ。
かくして、戦いは一対二から三対二へと移り変わっていったのだった。
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続きはまだかな?
このシリーズとっても面白かったです。最近書籍の方を見てWEBもつい先日読み終わったばっかりなのですが、この先が楽しみでたまりません。
過去のレビューで困難化してると見ましたが、やっぱり更新なさらないのでしょうか?
これすっごい面白かったのになあ
爆速で更新してたあの頃のワクワク感…