異世界隠密冒険記

リュース

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第三部「全能神座争奪戦」編

鑑定解析と<伝説級>

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 クロトはシロナの所業にため息を吐きながら、小瓶を手に持って鑑定。


「ランクは<希少級レア>で、名前は<状態異常回復薬>。効果は文字通りの内容だから説明は要らないよね?部位欠損も回復できるらしいよ。」


 こちらはそれほど珍しくないアイテムで、命の水と似たような効果だ。
 エアリスは同じアイテムの心当たりがあったようで、少しだけ反応していた。

 続いて鑑定するのは、黒いブーツ。


「ランクは<希少級レア>で、銘は<闇無効の靴>だってさ。闇魔法を無効化してくれるみたいだけど、その上位属性には効果が無いから注意が必要、と。」

「・・・黒いブーツか。アヤカに似合いそうではあるな。」

「えっ、私? 私はあんなお洒落なブーツ、似合わないと思うけど・・・。」

「そんなことはない。アヤカはいつだって綺麗だからな。」

「ちょっ、そういうことは時と場所を考えて言ってよねっ・・・!?」


 説明が終わるなり、いきなりイチャつきだしたアヤカとアッシュ。
 クロトとシロナのことを責められないくらいに唐突な始まりだった。

 なお、アヤカは本人が言うほどブーツが似合わない訳ではない。
 和洋折衷である装備品たちの組み合わせから、そこはかとない気品が漂っている。

 クロトは二人を無視して、灰色のマントを鑑定。


「ランクは<希少級レア>で、名前は<幻灰狼の外套>で、僅かではあるけど速力上昇効果が付与されているみたいだね。」

「クロト、僅かというと、具体的にはどのくらいなのですか?」


 アンジェリカの率直な疑問が投げかけられた。
 変異深紅鬼に追われるという苦い経験をしたばかりなので気になるようだ。

 問われたクロトは、その部分について詳細まで解析を開始。
 細かい強化率を突き止めた。


「大体ではあるけど、ニ十パーセント、ってところかな?」

「ニ十パーセント・・・どこも僅かという表現が似合わない強化率ですね。」

「そう、かな・・・?」


 クロトとしては、<星天装>での強化率に慣れているせいか、それほど高い効果だとは思わなかったらしい。
 他に、<キャンサーの甲羅>やら<タウラスの角>やら、一部頭がおかしい効果ではあったが強化率百パーセントというアイテムを目にしていたのも原因だ。

 それらのアーティファクトは<固有級>であるので、本当は<幻灰狼の外套>の二十パーセントでもかなりの強化率なのだが。

 つまり、<希少級>としては当たりの部類であるアーティファクトである。


「次は、この首飾り。名前は<幻灰狼の誇り>で、ランクは<希少級レア>。特殊効果は、狼系魔物への与ダメージ1.5倍で他の装備効果と重複可能、と。」

「狼系かぁ・・・。この辺りではあまり見ないけど、<緑の領域>で群れているエメラルドウルフを相手にする時は重宝しそうだね。」


 シロナは何か嫌な思い出でもあるのか、少しだけ顔を引き攣らせながら、過去のことを懐かしむように具体的な例を挙げた。
 クロトは彼女の考えを凡そ察したが、あえて突っ込むことはしない。

 それから二つのアイテムを鑑定したが、どちらも<一般級コモン>だったので、クロトは軽く説明しただけで終わらせた。

 そして、最後に残った十個目のアイテムを鑑定。


「この白い手袋は・・・・・・へぇ、なるほどね。これは中々・・・。」

「・・・ちょっと。自分だけで納得してないで説明をしてほしいんだけど?」

「っと、失礼。ちょっと興味深かったものでね。
 この手袋の名前は<白鬼狼の手袋シャインウルブズ・オーグローブ>で、ランクは・・・<伝説級レジェンダリー>だよ。」

「「「「<伝説級レジェンダリー>っ!?」」」」


 クロトの鑑定結果に、驚きの声が上がった。
 普通は<伝説級>など、そうお目に掛かれるものではないので、驚いて当然だ。
 まだこちら側では新米の部類である四人は、手袋に目が釘付けだ。

 もっとも、クロトとシロナの二人は、それなりに<伝説級>のアイテムを持っているのだが。アヤカに渡した<神器・虎徹>が正にそれである。


「・・・さ、鑑定も終わったし、一度キャンプ地に戻ろうか。」

「ちょ、もう少し見せてっ!だって<伝説級>なのよっ!?」

「それを言うなら、アヤカの刀も<伝説級>だけど?」

「・・・それもそうね。一度戻りましょう。」


 クロトに言い包められたアヤカは、諦めて収納されるのを眺めていたのだった。


 なお、ここだけの話。
 本来<伝説級>が銅色の魔箱から出る可能性は限りなくゼロに近い。

 そんなアイテムが出た理由は・・・勿論シロナのせい。否、シロナのおかげだ。
 この日はあまり発動していなかった、ユニークスキル〖神運〗が、魔箱を開けるタイミングで自動発動した結果である。

 日本に居る一部の者たちは、この神運がほしくて堪らないだろう、多分。

 ガチャというものを好んで回す者たちならば、特に。

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