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第三部「全能神座争奪戦」編
不具合と赤鬼
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「やっと解放された・・・。」
「ゴメンっ!!本気でタップしてたと気づいてたのにっ・・・!」
「気づいてなかったのなら、まだ救いはあったんだけどね・・・。」
クロトは荒い呼吸を繰り返しつつ、シロナにジト目を向けた。
これまで数多の強敵を葬り、困難を乗り越えてきた男が、抱き締められて窒息など笑い話にしかならないだろう。
間抜けな事態をギリギリ回避できたクロトは、<溶岩竜>を回収。
シロナが倒した方は既に倒した当人によって回収されていた。
素材自体は嬉しいのだが、クロトには二つの不安が生じていた。
一つは、先程も思ったように、素材を加工できる職人が居るのかどうか。
そしてもう一つが・・・今の装備のこと。
(創世神器『神天魔の法衣』はこちらでもかなり貴重のはず。それは有難いんだけど・・・原因不明の不具合が出ているのはちょっと不味いね・・・。)
実は<溶岩竜>との戦いにて、最初は<光輪生成>を使用したのだ。
しかし上手く作動せず、やむなを得ず<星天装>を発動させたのである。
そして、抱き締められている最中に脱出を試みる為、<闇輪生成>も使用してみたのだが、こちらも不発に終わった。
防御性能や<黒白の十二翼>に問題がないことは確認済みであるので、あくまで部分的な不具合なのだが・・・。
それだけのことでも大きな戦力低下なのは間違いないだろう。
(やれやれ、思ったよりも大変な旅になりそうだね・・・。それでも、不謹慎ながら楽しみではあるんだけど、ね。)
滅多に窮地に陥らないクロトは、本人の思考通りに不謹慎ながらも、この先の道行きみ胸を高鳴らせるのだった。
「とうっ!『白神剣・純白』っ!」
シロナの『白神剣術』の派生、〖始祖天剣術・白〗によって、魔物が絶命。
一刀両断にされたその切り口は冗談のように綺麗であり、まるで斬られた部分が消滅したかのように見受けられる。
・・・否、見えるのではない。本当に消滅しているのだ。
それこそが〖始祖天剣術・白〗の能力であり、<白天神の権能>『白』の一部。
白という存在にはどうしても、消滅の概念が付き纏うのである。
なお、たった今斬り捨てられたのは、<赤>地区に生息している魔物の一種。
その名を<赤鬼>という。
ステータスはこんな感じだ。
名前 赤鬼
種族 魔物 天種
レベル 96
HP A-
MP E
筋力 A-(A )
防御力 B+(A-)
魔力 C+
速力 C-
幸運 D
ランク〖B-〗
ユニークスキル
〖修羅の鬼6〗
レアスキル
<怪力10><天力10>
大したことないように感じるかもしれないが、シロナ曰く、これが食物連鎖の最下層レベルの強さ、とのことである。
レベルこそ100を超えていない天種。
しかしその能力は、内側の世界で最強候補である色系の主を悠々と超えている。
一部の例外(地獄の主や星神)などを除けば敵なしかもしれない。
もっとも、色系の主相手に相性負けする可能性はあるのだが。
「ところでその剣、グレンさんの作ったやつだよね?」
「そうだよ!自慢の一品さっ!」
シロナが血を払って天に掲げた白い剣<天導主の白剣>。
紛うことなく神器級の装備である。
クロトのせいで神器のありがたみが薄れているが、本来は神器を持つ者など殆ど居ないのである。
彼女の場合は、その神運で無理矢理に神器化させてしまったのだが。
他にも<神駆の足靴>や<白神の領域>という名のコートを装備している彼女。
所持品の貴重さはクロトといい勝負である。
クロトはシロナの装備を検分して、ようやく得心がいった。
「その露わになっている太腿や首元もちゃんと守られているんだね。」
「ちょっ、そうハッキリ言われると恥ずかしいからっ!これは動きやすいからこうしているだけで、クロトを誘惑する意図なんてないよっ!?」
「いや、僕を誘惑してどうするのさ・・・。」
急に太腿をうずうずさせはじめたシロナから視線を逸らしつつ、ツッコミを入れたクロト。何故こう何度も甘い空気になるのやら。
「―――さて、<赤鬼>の解体は済んだ。いつの間にか微妙に乙女になっていたシロナは放置して先に進もう。」
「―――さあ、照れ屋になったクロトは置いといて先に進もう!」
同時に相手を馬鹿にするような発言をした二人であった。
「ゴメンっ!!本気でタップしてたと気づいてたのにっ・・・!」
「気づいてなかったのなら、まだ救いはあったんだけどね・・・。」
クロトは荒い呼吸を繰り返しつつ、シロナにジト目を向けた。
これまで数多の強敵を葬り、困難を乗り越えてきた男が、抱き締められて窒息など笑い話にしかならないだろう。
間抜けな事態をギリギリ回避できたクロトは、<溶岩竜>を回収。
シロナが倒した方は既に倒した当人によって回収されていた。
素材自体は嬉しいのだが、クロトには二つの不安が生じていた。
一つは、先程も思ったように、素材を加工できる職人が居るのかどうか。
そしてもう一つが・・・今の装備のこと。
(創世神器『神天魔の法衣』はこちらでもかなり貴重のはず。それは有難いんだけど・・・原因不明の不具合が出ているのはちょっと不味いね・・・。)
実は<溶岩竜>との戦いにて、最初は<光輪生成>を使用したのだ。
しかし上手く作動せず、やむなを得ず<星天装>を発動させたのである。
そして、抱き締められている最中に脱出を試みる為、<闇輪生成>も使用してみたのだが、こちらも不発に終わった。
防御性能や<黒白の十二翼>に問題がないことは確認済みであるので、あくまで部分的な不具合なのだが・・・。
それだけのことでも大きな戦力低下なのは間違いないだろう。
(やれやれ、思ったよりも大変な旅になりそうだね・・・。それでも、不謹慎ながら楽しみではあるんだけど、ね。)
滅多に窮地に陥らないクロトは、本人の思考通りに不謹慎ながらも、この先の道行きみ胸を高鳴らせるのだった。
「とうっ!『白神剣・純白』っ!」
シロナの『白神剣術』の派生、〖始祖天剣術・白〗によって、魔物が絶命。
一刀両断にされたその切り口は冗談のように綺麗であり、まるで斬られた部分が消滅したかのように見受けられる。
・・・否、見えるのではない。本当に消滅しているのだ。
それこそが〖始祖天剣術・白〗の能力であり、<白天神の権能>『白』の一部。
白という存在にはどうしても、消滅の概念が付き纏うのである。
なお、たった今斬り捨てられたのは、<赤>地区に生息している魔物の一種。
その名を<赤鬼>という。
ステータスはこんな感じだ。
名前 赤鬼
種族 魔物 天種
レベル 96
HP A-
MP E
筋力 A-(A )
防御力 B+(A-)
魔力 C+
速力 C-
幸運 D
ランク〖B-〗
ユニークスキル
〖修羅の鬼6〗
レアスキル
<怪力10><天力10>
大したことないように感じるかもしれないが、シロナ曰く、これが食物連鎖の最下層レベルの強さ、とのことである。
レベルこそ100を超えていない天種。
しかしその能力は、内側の世界で最強候補である色系の主を悠々と超えている。
一部の例外(地獄の主や星神)などを除けば敵なしかもしれない。
もっとも、色系の主相手に相性負けする可能性はあるのだが。
「ところでその剣、グレンさんの作ったやつだよね?」
「そうだよ!自慢の一品さっ!」
シロナが血を払って天に掲げた白い剣<天導主の白剣>。
紛うことなく神器級の装備である。
クロトのせいで神器のありがたみが薄れているが、本来は神器を持つ者など殆ど居ないのである。
彼女の場合は、その神運で無理矢理に神器化させてしまったのだが。
他にも<神駆の足靴>や<白神の領域>という名のコートを装備している彼女。
所持品の貴重さはクロトといい勝負である。
クロトはシロナの装備を検分して、ようやく得心がいった。
「その露わになっている太腿や首元もちゃんと守られているんだね。」
「ちょっ、そうハッキリ言われると恥ずかしいからっ!これは動きやすいからこうしているだけで、クロトを誘惑する意図なんてないよっ!?」
「いや、僕を誘惑してどうするのさ・・・。」
急に太腿をうずうずさせはじめたシロナから視線を逸らしつつ、ツッコミを入れたクロト。何故こう何度も甘い空気になるのやら。
「―――さて、<赤鬼>の解体は済んだ。いつの間にか微妙に乙女になっていたシロナは放置して先に進もう。」
「―――さあ、照れ屋になったクロトは置いといて先に進もう!」
同時に相手を馬鹿にするような発言をした二人であった。
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