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第二部「創世神降臨」編
何が為に強さを求めるか
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ナツメはしばらく刀を振ったところで、ふと気づいて後ろを振り返る。
先程の飴は誰がくれたのだろうか、と。
「・・・クロト殿!?いつからそこに居たのでござるか!?」
「いや・・・結構前から居るけど・・・?本気で気づいてなかったの?」
クロトはナツメが気づいていながら放置しているのでは、と思い始めていた。
飴を受け取っておいて存在に気づかないなど、普通はあり得ないからだ。
クロトに警戒心を抱いていないということの証左といえるかもしれないが。
「ナツメに足りていないもの。それは知能だね。」
「酷いでござる!」
「まあ、戦闘とは関係ない部分のことなんだけど。」
「しからば何故わざわざそれを言ったのでござるか!?」
これではただディスられただけではないか、と文句をつける。
ちなみに、発言の内容自体を否定していないのは・・・・・・お察しの通りだ。
クロトはナツメの問いには答えず、続けて話す。
「ナツメって、戦闘終了時がやたらと色っぽいんだよね・・・。」
「ななななっ・・・!?」
ナツメの和服は少し乱れており、その肌にはうっすらと汗が流れている。
露わになっている首筋などに自然と目が引き寄せられてしまう。
「クロト殿っ・・・!汗をかいているでござるから、抱き締めるのは・・・!?」
「僕は気にしないからナツメも気にしないで。」
「そ、そうは言っても、これは流石にどうなのでござろうか・・・!?」
ナツメはそう言いつつも、しばらくこのままでいたいという思いで一杯だった。
集中するとクロトの心臓の鼓動を感じることができて、満たされた思いに。
自分の激しい鼓動を聞かれている事は恥ずかしいが、そんな事は些事のようだ。
「ナツメはさ、自分のやりたいの事が分かってないと思うんだよね。」
「やりたい事、でござるか・・・?」
相変わらず抱き合ったままでありドキドキしているナツメ。
その返事は、辛うじて絞り出すことが出来た。
「そ。ヴィオラは、あらゆる災厄から大切なものを守りたい。
エメラは、尊敬する母親に見せても恥ずかしくない自分になりたい。
マリアは、自分を助けてくれた人の為にも、人と魔物の調和を目指したい。
みんなそういう想いを持っているけど、ナツメはどんな願いを持っているの?」
「拙者は・・・クロト殿とともにありたく・・・。」
「僕の自惚れでなければ、それは皆思ってくれてると思うよ。
だからそうではなく、ナツメ自身の最終到達点を聞かせてほしい。」
「それは・・・・・・っ!」
ナツメは考え始めてすぐに、息をのんだ。
何も思いつかなかったのだ。
自分の目指すべき到達点が。
クロトへの想いで負けているとも思わないが、勝っているとも思えない。
そして、到達点が定まっているみんなと、そうでない自分。
(拙者は・・・一体何の為に、強くなろうとしているのでござるか・・・?)
考えても考えても、答えは出ない。
父親に勝つというのが一つの目標だったのかもしれないが、既に勝ってしまった。
クロトへの想いにかこつけて先のことから目を背けていた自分。
情けないにも程があった。
いつまで経っても追いつけず、寧ろさが開いているのも当然だと思った。
ナツメはすぐさまクロトへの申し訳なさから距離をとろうとした。
だがクロトはそれを許さず、力強く抱きしめた。
それはすなわち、今更逃げようとしても逃がさないという意思表示だ。
「駄目だよナツメ。
これだけ惚れさせておいて逃げようなんて、させるわけないだろう?」
「ク、クロト殿っ?どうしてで、んっっ!!」
クロトは和服の胸元に手を差し入れて肌を撫で、ナツメを喘がせた。
「今はまだ良いから、ゆっくり自分を見つめ直すといい。
どれだけ時間が掛かろうと、ずっと待っているからさ。」
「んっ、あっ・・・!」
ナツメが周囲に魔物が居ないか確認すると、いつの間にか場所が変わっていた。
部屋の中に危険はなく、それを認識したナツメは抑えがきかなくなった。
情欲の炎が燃え盛り、声を抑えることすら出来なくなる。
「ああっ・・・クロト殿、焦らさないで・・・!」
「そんなつもりはないんだけどね。抑えがきかないのは僕も同じなんだし。」
クロトは和服の胸元をはだけさせ、ナツメをベッドに押し倒した。
ナツメは興奮すると、口調が少々崩れる。
侍のような口調は所詮後付けで、エメラの口調に近いものがあるだろうか。
つまり、現在のナツメは理性が吹き飛ぶ寸前ということだ。
クロトも冷静に見えて、その実、全く冷静ではない。
そのままナツメに覆いかぶさり、その日の夜は更けていった。
先程の飴は誰がくれたのだろうか、と。
「・・・クロト殿!?いつからそこに居たのでござるか!?」
「いや・・・結構前から居るけど・・・?本気で気づいてなかったの?」
クロトはナツメが気づいていながら放置しているのでは、と思い始めていた。
飴を受け取っておいて存在に気づかないなど、普通はあり得ないからだ。
クロトに警戒心を抱いていないということの証左といえるかもしれないが。
「ナツメに足りていないもの。それは知能だね。」
「酷いでござる!」
「まあ、戦闘とは関係ない部分のことなんだけど。」
「しからば何故わざわざそれを言ったのでござるか!?」
これではただディスられただけではないか、と文句をつける。
ちなみに、発言の内容自体を否定していないのは・・・・・・お察しの通りだ。
クロトはナツメの問いには答えず、続けて話す。
「ナツメって、戦闘終了時がやたらと色っぽいんだよね・・・。」
「ななななっ・・・!?」
ナツメの和服は少し乱れており、その肌にはうっすらと汗が流れている。
露わになっている首筋などに自然と目が引き寄せられてしまう。
「クロト殿っ・・・!汗をかいているでござるから、抱き締めるのは・・・!?」
「僕は気にしないからナツメも気にしないで。」
「そ、そうは言っても、これは流石にどうなのでござろうか・・・!?」
ナツメはそう言いつつも、しばらくこのままでいたいという思いで一杯だった。
集中するとクロトの心臓の鼓動を感じることができて、満たされた思いに。
自分の激しい鼓動を聞かれている事は恥ずかしいが、そんな事は些事のようだ。
「ナツメはさ、自分のやりたいの事が分かってないと思うんだよね。」
「やりたい事、でござるか・・・?」
相変わらず抱き合ったままでありドキドキしているナツメ。
その返事は、辛うじて絞り出すことが出来た。
「そ。ヴィオラは、あらゆる災厄から大切なものを守りたい。
エメラは、尊敬する母親に見せても恥ずかしくない自分になりたい。
マリアは、自分を助けてくれた人の為にも、人と魔物の調和を目指したい。
みんなそういう想いを持っているけど、ナツメはどんな願いを持っているの?」
「拙者は・・・クロト殿とともにありたく・・・。」
「僕の自惚れでなければ、それは皆思ってくれてると思うよ。
だからそうではなく、ナツメ自身の最終到達点を聞かせてほしい。」
「それは・・・・・・っ!」
ナツメは考え始めてすぐに、息をのんだ。
何も思いつかなかったのだ。
自分の目指すべき到達点が。
クロトへの想いで負けているとも思わないが、勝っているとも思えない。
そして、到達点が定まっているみんなと、そうでない自分。
(拙者は・・・一体何の為に、強くなろうとしているのでござるか・・・?)
考えても考えても、答えは出ない。
父親に勝つというのが一つの目標だったのかもしれないが、既に勝ってしまった。
クロトへの想いにかこつけて先のことから目を背けていた自分。
情けないにも程があった。
いつまで経っても追いつけず、寧ろさが開いているのも当然だと思った。
ナツメはすぐさまクロトへの申し訳なさから距離をとろうとした。
だがクロトはそれを許さず、力強く抱きしめた。
それはすなわち、今更逃げようとしても逃がさないという意思表示だ。
「駄目だよナツメ。
これだけ惚れさせておいて逃げようなんて、させるわけないだろう?」
「ク、クロト殿っ?どうしてで、んっっ!!」
クロトは和服の胸元に手を差し入れて肌を撫で、ナツメを喘がせた。
「今はまだ良いから、ゆっくり自分を見つめ直すといい。
どれだけ時間が掛かろうと、ずっと待っているからさ。」
「んっ、あっ・・・!」
ナツメが周囲に魔物が居ないか確認すると、いつの間にか場所が変わっていた。
部屋の中に危険はなく、それを認識したナツメは抑えがきかなくなった。
情欲の炎が燃え盛り、声を抑えることすら出来なくなる。
「ああっ・・・クロト殿、焦らさないで・・・!」
「そんなつもりはないんだけどね。抑えがきかないのは僕も同じなんだし。」
クロトは和服の胸元をはだけさせ、ナツメをベッドに押し倒した。
ナツメは興奮すると、口調が少々崩れる。
侍のような口調は所詮後付けで、エメラの口調に近いものがあるだろうか。
つまり、現在のナツメは理性が吹き飛ぶ寸前ということだ。
クロトも冷静に見えて、その実、全く冷静ではない。
そのままナツメに覆いかぶさり、その日の夜は更けていった。
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