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第二部「創世神降臨」編
神経衰弱
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ファーナから時計回りで神経衰弱が始まった。
最初は当然の如くペアが揃わない。
「またペアが揃わなかった・・・。」
「ん・・・。私、も・・・っ!?」
二週目のエメラはとある事実に気づいて息をのんだ。
たった今めくったカードと同じ数字が既にめくられていたのだ。
「エメラのおかげで・・・一ペア目だね。」
「うぅ・・・!やっぱりお父さんだったら記憶間違いなんてしないよね・・・。」
「ん・・・。失態、だった・・・。」
ハンデ付きにも関わらず早速リードされてしまって落ち込む二人。
クロトは苦笑しながらファーナに順番を譲る。
ペアが揃ったらクロトのターンが終了というのは大きすぎるハンデだ。
(後半はペアが揃いやすいから、ハンデで不利。なら、取るべき戦法は・・・。)
クロトは終盤に入るまでに勝負を決めようと画策し始めた。
それから、ファーナとエメラがペアを揃えられず再びクロトの番に。
クロトは二枚とも、既にめくられたカードを裏返した。
「あれ・・・?お父さん、それは既にめくられたカードだよ?」
「ん・・・。何か、作戦・・・?」
二人の疑問に、クロトは軽く微笑んだだけで何も返さない。
そのしぐさに、エメラとファーナは警戒を高め、クロトの策に考えを巡らせる。
十数分後。
「・・・はい、またペアが出来たね。」
「あああっ、またお父さんが・・・!」
「・・・・・・。」
情けない声を上げるファーナと、真剣な表情で考え込むエメラ。
ハンデがあるのに、状況はクロトが大きくリードしている状態なのだ。
場に残るカードは約半数の二十四枚。
揃えたペア数は、クロトが八、ファーナが二、エメラが四だ。
一体何故こうなったのか。
その秘密はクロトの既にめくられたカードをめくるという行為にある。
人数が三人なので、全員が隣り合った状態だ。
クロトの番でペアが表に出ていない場合、既にめくられたカードを裏返す。
そうすることで、次のファーナは勘でペアを当てるしかなくなるのだ。
本来ならクロトがめくって外したカードがヒントになるはずなのだが・・・。
残念ながら、クロトがめくるのは既にめくられたものなのでヒントにはならない。
勿論、ペアの情報が表に出ていれば、クロトがそれを頂く。
続くエメラは、ファーナの裏返したカードから情報を得てペアを揃える。
そのため、ファーナよりもペア数は多い。
だが、無意識にクロトの意図に頭を巡らせているせいで、記憶力が落ちている。
それにより、時折ペアを揃え損ねて、それをクロトが美味しく頂く。
人数が多ければクロトまで回らずに揃えられてしまう確率は高い。
しかし、今回は三人のゲームなのだ。
エメラが取りこぼしたペアは確実にクロトのものになる。
エメラとファーナの性格や人数の少なさなどを考慮したいい作戦である。
(ま、それでも勝てるかは賭けみたいなものだけどね。)
この作戦の肝は、なるべく場が進まない内に過半数のペアを揃えることにある。
そうすれば、後半のペアが揃いやすい時に効くハンデは無意味だ。
全二十六ペアの内、過半数の十三ペアが揃っていれば負けはないのだから。
新しいカードを裏返さずに情報を絞ることで場の進みを緩やかにする。
その上、ペアを揃えられる確率はそう変わらない。
エメラはそう思い至り、この段階でクロトの行動の意味に気づいたのだった。
「・・・・・・。」
だが、打てる手がなにもなく沈黙するしかない。
クロトにペアを揃えさせない為には、一つ方法がある。
ファーナの裏返したカードからヒントを得て、それを確実にものにすること。
そうでない時は自分も既にめくられたカードを裏返すこと。
しかし、それだと自分がペアを揃える機会も減る。
そうなれば、ペア数で負けている現状を逆転し難くなるのだ。
また、確実にものにするというのも簡単なようで難しい。
エメラは表になった全てのカードを記憶しているわけではないのだから。
ペアを取りこぼせば、既にめくられたカードをめくるのは悪手でしかない。
天の叡智の並列思考があれば記憶可能かもしれないが、スキルは使用禁止だ。
エメラはそのことに思い至って実行するべきか悩んだ。
「・・・はい、また一ペア揃ったよ。エメラが取りこぼしたおかげだね。」
「っ・・・!」
「うぅぅ・・・このままだと勝てない・・・。」
エメラはペアの存在を見落としていたことに驚愕した。
やはり、先程考えた手は悪手と考えて中止することに。
(まあ、今のは適当にめくって当たったんだけどね。)
エメラが自分の考えに気づいたことを察したクロトは早速行動に出たのだ。
エメラに最善手を打たれては勝率が大幅に下がる。
だから、ファーナがペアを揃えるリスクを負って、ブラフをかけたのだ。
仮に失敗してファーナがペアを揃えても、それほど痛くはないと考えて。
最終結果は、クロト十一ペア、ファーナ五ペア、エメラ十ペア。
終盤はエメラとファーナが次々とペアを取った。
クロトは過半数を揃えられなかったのだが・・・。
エメラとファーナの二人が取り合うことで、残りを分け合う形に。
ファーナが覚えてそうなペアを残した、クロトによる最後の一手の影響だ。
ペア数が圧倒的に少なかったファーナの敗北は決定的だったので。
そういう訳で、神経衰弱はクロトの勝利で幕を閉じた。
最初は当然の如くペアが揃わない。
「またペアが揃わなかった・・・。」
「ん・・・。私、も・・・っ!?」
二週目のエメラはとある事実に気づいて息をのんだ。
たった今めくったカードと同じ数字が既にめくられていたのだ。
「エメラのおかげで・・・一ペア目だね。」
「うぅ・・・!やっぱりお父さんだったら記憶間違いなんてしないよね・・・。」
「ん・・・。失態、だった・・・。」
ハンデ付きにも関わらず早速リードされてしまって落ち込む二人。
クロトは苦笑しながらファーナに順番を譲る。
ペアが揃ったらクロトのターンが終了というのは大きすぎるハンデだ。
(後半はペアが揃いやすいから、ハンデで不利。なら、取るべき戦法は・・・。)
クロトは終盤に入るまでに勝負を決めようと画策し始めた。
それから、ファーナとエメラがペアを揃えられず再びクロトの番に。
クロトは二枚とも、既にめくられたカードを裏返した。
「あれ・・・?お父さん、それは既にめくられたカードだよ?」
「ん・・・。何か、作戦・・・?」
二人の疑問に、クロトは軽く微笑んだだけで何も返さない。
そのしぐさに、エメラとファーナは警戒を高め、クロトの策に考えを巡らせる。
十数分後。
「・・・はい、またペアが出来たね。」
「あああっ、またお父さんが・・・!」
「・・・・・・。」
情けない声を上げるファーナと、真剣な表情で考え込むエメラ。
ハンデがあるのに、状況はクロトが大きくリードしている状態なのだ。
場に残るカードは約半数の二十四枚。
揃えたペア数は、クロトが八、ファーナが二、エメラが四だ。
一体何故こうなったのか。
その秘密はクロトの既にめくられたカードをめくるという行為にある。
人数が三人なので、全員が隣り合った状態だ。
クロトの番でペアが表に出ていない場合、既にめくられたカードを裏返す。
そうすることで、次のファーナは勘でペアを当てるしかなくなるのだ。
本来ならクロトがめくって外したカードがヒントになるはずなのだが・・・。
残念ながら、クロトがめくるのは既にめくられたものなのでヒントにはならない。
勿論、ペアの情報が表に出ていれば、クロトがそれを頂く。
続くエメラは、ファーナの裏返したカードから情報を得てペアを揃える。
そのため、ファーナよりもペア数は多い。
だが、無意識にクロトの意図に頭を巡らせているせいで、記憶力が落ちている。
それにより、時折ペアを揃え損ねて、それをクロトが美味しく頂く。
人数が多ければクロトまで回らずに揃えられてしまう確率は高い。
しかし、今回は三人のゲームなのだ。
エメラが取りこぼしたペアは確実にクロトのものになる。
エメラとファーナの性格や人数の少なさなどを考慮したいい作戦である。
(ま、それでも勝てるかは賭けみたいなものだけどね。)
この作戦の肝は、なるべく場が進まない内に過半数のペアを揃えることにある。
そうすれば、後半のペアが揃いやすい時に効くハンデは無意味だ。
全二十六ペアの内、過半数の十三ペアが揃っていれば負けはないのだから。
新しいカードを裏返さずに情報を絞ることで場の進みを緩やかにする。
その上、ペアを揃えられる確率はそう変わらない。
エメラはそう思い至り、この段階でクロトの行動の意味に気づいたのだった。
「・・・・・・。」
だが、打てる手がなにもなく沈黙するしかない。
クロトにペアを揃えさせない為には、一つ方法がある。
ファーナの裏返したカードからヒントを得て、それを確実にものにすること。
そうでない時は自分も既にめくられたカードを裏返すこと。
しかし、それだと自分がペアを揃える機会も減る。
そうなれば、ペア数で負けている現状を逆転し難くなるのだ。
また、確実にものにするというのも簡単なようで難しい。
エメラは表になった全てのカードを記憶しているわけではないのだから。
ペアを取りこぼせば、既にめくられたカードをめくるのは悪手でしかない。
天の叡智の並列思考があれば記憶可能かもしれないが、スキルは使用禁止だ。
エメラはそのことに思い至って実行するべきか悩んだ。
「・・・はい、また一ペア揃ったよ。エメラが取りこぼしたおかげだね。」
「っ・・・!」
「うぅぅ・・・このままだと勝てない・・・。」
エメラはペアの存在を見落としていたことに驚愕した。
やはり、先程考えた手は悪手と考えて中止することに。
(まあ、今のは適当にめくって当たったんだけどね。)
エメラが自分の考えに気づいたことを察したクロトは早速行動に出たのだ。
エメラに最善手を打たれては勝率が大幅に下がる。
だから、ファーナがペアを揃えるリスクを負って、ブラフをかけたのだ。
仮に失敗してファーナがペアを揃えても、それほど痛くはないと考えて。
最終結果は、クロト十一ペア、ファーナ五ペア、エメラ十ペア。
終盤はエメラとファーナが次々とペアを取った。
クロトは過半数を揃えられなかったのだが・・・。
エメラとファーナの二人が取り合うことで、残りを分け合う形に。
ファーナが覚えてそうなペアを残した、クロトによる最後の一手の影響だ。
ペア数が圧倒的に少なかったファーナの敗北は決定的だったので。
そういう訳で、神経衰弱はクロトの勝利で幕を閉じた。
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