異世界隠密冒険記

リュース

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第二部「創世神降臨」編

黄昏の門攻略報酬

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 ギルドからの報酬は金銭などが主であったが、他にも幾つか報酬があった。

 その内の一つが、ギルドへの貢献度大幅加算及び、ギルドランクの昇格だ。


 晴れてレベル100となったヴィオラはS+ランクへと昇格。

 レベル99で上昇がとまってしまったナツメも、S+ランクへ昇格。


 セーラは、二百年以上前にギルド登録していたが、現在は失効している。

 そこを、クロトとガイア、国王の計らいで、当時と同じランクで再登録。

 ランクは予想通りというべきか、S+である。


 そんなにポンポン昇格させていいのかという話だが、それほど問題は無い。

 現在、S+ランク冒険者が不足している状態なので。

 権力濫用については、今更か。




 S+ランクパーティー「黒白の翼」

 SSランク冒険者「深淵」 クロト
 S+ランク冒険者「水姫」 アクアリア
 S+ランク冒険者「紫剣」 ヴィオラ
 S+ランク冒険者「風姫」 エメラフィア
 S+ランク冒険者「絶剣」 カレン
 S+ランク冒険者「抜刀」 ナツメ
 S+ランク冒険者「深緑」 セーラ
    無職「自宅警備員」 マリア



「・・・というのが現在マリアが置かれている状況だね。」

「わざわざ文字に書き起こす必要がありましたの!?それもこんなに大きく!」

「当たり前じゃないか。マリアを揶揄いやすくするための下準備だもの。」

「どうしてクロトはいつもいつもそうなんですのおおおおおっ!」


 猛るマリアをニコニコしながら見つめるクロトと、苦笑いの一同。


「こうやって改めて目にすると、凄い人たちなんだなぁ、と思い出しますね。」

「リンカ!早く壁に貼られたこれを剥がしてくださいましっ!!」


 永遠の眠り亭にて、しみじみと呟くリンカに、マリアが食ってかかった。


 現在、食堂の一角で昇格祝いをしている最中。

 そんな中、マリアが壁に貼られたメンバー表を見つけてしまったのだ。

 明らかにクロトの仕込みだったが、ツッコまずにはいられなかった様子。


「私としては、「黒白の翼」という名前が生きていた事に驚きなのだが・・・。」

「すっかり忘れていたでござるなぁ・・・。」


 カレンとナツメが懐かしむようにそう呟いた。

 黒白の翼というパーティー名は、東国旅行時につけられたものだ。

 あれ以来すっかり使われなかったのだが、クロトはちゃんと覚えていたようだ。


「恐らく、マリアさんを揶揄う為に引っ張り出したのでしょうね・・・。」

「よく分かったね、アクア。大正解だよ。」

「クロトおおおおおおっ!!」


 アクアの的を射た発言をクロトが肯定し、マリアが更に猛る。


「ん・・・。ヴィオラ、お疲れ、さま・・・。」

「・・・エメラも。」


 そんなマリアのことを意に介さず、乾杯しているヴィオラとエメラ。

 相変わらず、不思議と気が合う様子だ。


「あなたがリンカちゃんね?初めまして、私はセーラ。よろしくね?」

「あっ、はい・・・!よろしくお願いします・・・!」


 セーラはだいぶん砕けてきて、マリア以外の恋人は、ちゃんづけで呼び始めた。

 マリアだけ例外なのは・・・言うまでもなかろう。


「クロト君に聞いたわよ?辛い時最初に思い浮かぶのはリンカちゃんだ、って。」

「ク、クロトさんがそんなことをっ・・・!?わ、私っ・・・・・・ッッ!」

「もう・・・!どうしてこんなに可愛いのかしらっ!」

「ひゃうっ!?」


 赤くなって照れるリンカを、セーラはギュッと抱き締めた。


「クロトっ、聞いてますの!?」

「聞いてるよ?報酬の一つに一日デート権が欲しいんでしょ?」

「誰がそんなことを言いましたのっ!?壁に貼られたメンバー表の話ですわ!」

「デート権、いらないの?」

「・・・・・・欲しいですわ。」


 マリアが怒りで赤くなっていた顔を羞恥の色で染め直した。


「あ、リンカ。今度の連休初日に一緒に出掛けてみない?」

「は、はい!是非また、クロトさんと・・・デ、デートしたいです・・・!」

「そっか。それじゃあ、プランは考えておくね?」

「はい!」


 犬耳がパタパタ動き、尻尾がブンブン振られている様子を幻視したクロト。

 思わずリンカの頭をよしよしと撫でてしまった。


「リンカ、幸せそうでござるなぁ・・・。」

「ちょっ、ナツメ!揶揄わないでよっ!」

「いやいや、拙者は事実を言っただけでござるよ?」


 ニヤニヤしながらそう告げるナツメ。

 リンカの顔は真っ赤になった。


 非常にカオスな空間が生まれているが、喧嘩などは一切ない。

 本人たちの性格とクロトの人徳がなせる業だろうか。


(・・・さて、明日からはいよいよ、ラファエルの器作りだね。)


 クロトは相変わらず行方不明のアリスの心配をしながらも、そう思ったのだった。

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