異世界隠密冒険記

リュース

文字の大きさ
上 下
481 / 600
第二部「創世神降臨」編

VS深橙龍2

しおりを挟む
 もう一度ステータスを確認し直すクロト。




深橙龍
種族 魔物 亜神 幻想種
レベル 151
HP  18000
MP  27990
筋力  99999
防御力 99999
魔力  99999
速力  99999
幸運    140


ユニークスキル
深橙龍2



 どうやら、常にMPを消費し続けるというデメリットがあるようだ。


 クロトは試しに闇輪を生成してみたが、99999のまま変化なし。

 恐らく、本来なら240000の能力値。

 それを半減させても99999を超えるので無意味ということだろう。

 99999を超えられないのは神格の有無が関わっていると推測される。


 クロトは闇輪を消して、現有戦力で戦い抜くことを決めた。


 なお、アクアは神になったせいか、自分以外の補助を魔力に受けられない。

 水神突破を使わない限り、魔力は99999から変動しないだろう。

 そしてその水神突破は、現状では効果時間などに難があるのだ。


「GYAAAAAA!」

「アクア!」


 深橙龍はクロトよりアクアを与しやすしと判断してそちらへ向かった。

 後衛から倒すのは戦闘の基本だが、今回は例外だった。


「水神魔法・明鏡止水!」

「GYA!?」


 アクアの姿が目の前から消えて、行き場を失う深橙龍。

 そこへ隠密者を発動させたクロトが襲い掛かる。

 龍や竜には隠密者が効きづらいが、それでも全く効かない訳ではない。

 それ故に、要所要所で使うのだ。


「神天八奏連閃・龍絶!」

「GYUOOOOOO!?」


 アクアを探すことに気をとられていた龍は直前までクロトに気づけなかった。

 クロトによる八連撃は、その右翼を切断することに成功する。


 片翼の半分を失いバランスを崩している龍に、姿を隠したアクアが追撃。


「水神魔法・神氷天絶波!」

「GYUAAAAAAAA!?」


 攻撃手段の一つである尾の一部に氷刃が集中し、斬り飛ばした。

 龍は激しい痛みに悲鳴を上げている。


 だが、そこは龍たるもの意地があるのか、悲鳴を上げつつも反撃。

 攻撃時に姿を現したアクアにブレスを放った。

 その超高温ブレスは、まともに喰らったらまず助からない威力だ。

 魔力が99999のアクアでも無事では済むまい。


「水天神魔法・凍てつく太陽ゼロ・サンシャイン!」


 アクアは水神魔法と天神魔法を組み合わせたオリジナル魔法を発動。

 まるで太陽と錯覚するような巨大な氷の球体が生成され、ブレスと激突。


「はあああああああっ!!」

「GYAAAAAAAAAAA!!」


 深橙龍のブレスとアクアの魔法は拮抗。

 ブレスが少しずつ神氷を溶かしているが、神氷は龍に迫っている。

 どちらも魔力99999を全力行使した最大級の一撃で、お互いに全力だ。


 決着は・・・引き分け。

 魔法は龍に辿り着く寸前に、破壊された。


 そして、この瞬間を狙っていた者が一名。


「創世十六夜連閃・神断!」

「GAAAAAAAAA!?!?」


 立ち込める水蒸気の中に隠密しつつ転移で飛び込んだクロト。

 龍の左翼を十六連撃で、根元から斬り飛ばした。

 翼がなくなった龍は上手く空を飛べず、地面に墜落していく。


 本当はここでアクアが追撃したいところだが、それは難しい。

 先程の、国を一つ更地にしてしまうレベルの大技で、消耗が激しいのだ。

 クロトも、接近して追撃するのはリスクが高いと判断して法術で追撃。


「天神法術・天落世界!」


 ドゴオオオオッ!という轟音とともに、落下していた龍が地面に叩きつけられた。


 大地はひび割れ酷いありさまだが、龍はまだ生きている。

 いや、生きているどころか、三割以上HPを残している。

 恐ろしいほどタフな生命体である。


 クロトとアクアは空を飛びながら止めとなる魔法の準備をする。

 クロトと分身は龍を逃がさないように押さえつける役。

 アクアは龍を確実に絶命する役だ。


「「「「天神法術・天落世界!」」」」

「水天神魔法・雷神の鉄槌トールハンマーっ!!」

「GAAAAAAAAAAAAA!!」


 多元天落世界に押さえつけられながらも、ブレスでアクアの魔法を迎撃する龍。

 全てのMPを込めた、正真正銘全力のブレス。


 ・・・そのブレスは、超巨大な雷が纏っていた神水が相殺してしまった。


 結果、直径百メートルはあるかという雷柱はそのままの威力で深橙龍に炸裂。


「GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!?」


 深橙龍は耐える。

 いつか迎える攻撃の終わりを目指して、ひたすらに耐える。



 深橙龍は知らない。

 範囲を絞った雷神の鉄槌に、終わりなど無いことを。


 数十秒後、トールハンマーが深橙龍のHPをゼロにした。

 後に残ったのはボロボロの死体と、死体が存在する深い穴であった。

しおりを挟む
感想 1,172

あなたにおすすめの小説

異世界転生、防御特化能力で彼女たちを英雄にしようと思ったが、そんな彼女たちには俺が英雄のようだ。

Mです。
ファンタジー
異世界学園バトル。 現世で惨めなサラリーマンをしていた…… そんな会社からの帰り道、「転生屋」という見慣れない怪しげな店を見つける。 その転生屋で新たな世界で生きる為の能力を受け取る。 それを自由イメージして良いと言われた為、せめて、新しい世界では苦しまないようにと防御に突出した能力をイメージする。 目を覚ますと見知らぬ世界に居て……学生くらいの年齢に若返っていて…… 現実か夢かわからなくて……そんな世界で出会うヒロイン達に…… 特殊な能力が当然のように存在するその世界で…… 自分の存在も、手に入れた能力も……異世界に来たって俺の人生はそんなもん。 俺は俺の出来ること…… 彼女たちを守り……そして俺はその能力を駆使して彼女たちを英雄にする。 だけど、そんな彼女たちにとっては俺が英雄のようだ……。 ※※多少意識はしていますが、主人公最強で無双はなく、普通に苦戦します……流行ではないのは承知ですが、登場人物の個性を持たせるためそのキャラの物語(エピソード)や回想のような場面が多いです……後一応理由はありますが、主人公の年上に対する態度がなってません……、後、私(さくしゃ)の変な癖で「……」が凄く多いです。その変ご了承の上で楽しんで頂けると……Mです。の本望です(どうでもいいですよね…)※※ ※※楽しかった……続きが気になると思って頂けた場合、お気に入り登録……このエピソード好みだなとか思ったらコメントを貰えたりすると軽い絶頂を覚えるくらいには喜びます……メンタル弱めなので、誹謗中傷てきなものには怯えていますが、気軽に頂けると嬉しいです。※※

半分異世界

月野槐樹
ファンタジー
関東圏で学生が行方不明になる事件が次々にしていた。それは異世界召還によるものだった。 ネットでも「神隠しか」「異世界召還か」と噂が飛び交うのを見て、異世界に思いを馳せる少年、圭。 いつか異世界に行った時の為にとせっせと準備をして「異世界ガイドノート」なるものまで作成していた圭。従兄弟の瑛太はそんな圭の様子をちょっと心配しながらも充実した学生生活を送っていた。 そんなある日、ついに異世界の扉が彼らの前に開かれた。 「異世界ガイドノート」と一緒に旅する異世界

なぜか俺だけモテない異世界転生記。

一ノ瀬遊
ファンタジー
日本で生まれ日本で育ったこの物語の主人公、高崎コウが不慮?の事故で死んでしまう。 しかし、神様に気に入られ異世界クラウディアに送られた。 現世で超器用貧乏であった彼が異世界で取得したスキルは、 彼だけの唯一無二のユニークスキル『ミヨウミマネ』であった。 人やモンスターのスキルを見よう見まねして習得して、世界最強を目指していくお話。 そして、コウは強くカッコよくなってハーレムやムフフな事を望むがどういう訳か全然モテない。 バチくそモテない。 寄ってくるのは男だけ。 何でだ?何かの呪いなのか!? ウオォォォ!! プリーズ、モテ期ィィ!! 果たしてこの主人公は世界最強になり、モテモテハーレム道を開けるのか!?

攫われた転生王子は下町でスローライフを満喫中!?

伽羅
ファンタジー
 転生したのに、どうやら捨てられたらしい。しかも気がついたら籠に入れられ川に流されている。  このままじゃ死んじゃう!っと思ったら運良く拾われて下町でスローライフを満喫中。  自分が王子と知らないまま、色々ともの作りをしながら新しい人生を楽しく生きている…。 そんな主人公や王宮を取り巻く不穏な空気とは…。 このまま下町でスローライフを送れるのか?

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。

召喚されたリビングメイルは女騎士のものでした

think
ファンタジー
ざっくり紹介 バトル! いちゃいちゃラブコメ! ちょっとむふふ! 真面目に紹介 召喚獣を繰り出し闘わせる闘技場が盛んな国。 そして召喚師を育てる学園に入学したカイ・グラン。 ある日念願の召喚の儀式をクラスですることになった。 皆が、高ランクの召喚獣を選択していくなか、カイの召喚から出て来たのは リビングメイルだった。 薄汚れた女性用の鎧で、ランクもDという微妙なものだったので契約をせずに、聖霊界に戻そうとしたが マモリタイ、コンドコソ、オネガイ という言葉が聞こえた。 カイは迷ったが契約をする。

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。