異世界隠密冒険記

リュース

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第二部「創世神降臨」編

結界作動準備

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「・・・と、そういう訳で、開発していた結界は完成したよ。」

「そうか。これでようやく、母さんが引きこもりを脱却できるな。」

「引きこもり!?レフィはそんな風に思っていたの!?」


 食卓にて、セーラは愕然としながら声を荒げた。


「思っているもなにも、引きこもりそのものではないか。」

「で、でもっ!私には里を守るという使命がっ・・・!」

「それは分かっている。寧ろその使命が無ければ、とっくに追い出しているぞ?」

「ここは私の家よっ!?」


 そう当然の主張をしたが、レフィは知らん顔だ。

 クロトは苦笑しながら、黄昏の門のことを伝え、協力を要請した。


「・・・そう。黄昏の門が人間の町に・・・。」

「セーラは黄昏の門に因縁もあるし、来てくれるかなと思って誘いにきたんだ。」

「そ、そうね・・・。二度と里が危険に侵されない為にも、何とかしたいわね。」


 本心からそのように言っているのは分かるが、どこか様子がおかしい。

 レフィは嫌な予感がして問い詰める。


「まさかとは思うが母さん、外に出ないつもりか・・・?」

「っ・・・!」


 問いへの反応から予想が正しかったと確信したレフィは唖然とした。

 里のことはもう大丈夫なのに、何故そんなことを考えているのか、と。


「セーラ・・・もしかして、僕のことが嫌、だとか?」

「違うわっ!そんなのあり得ない!ずっとあなたの傍に居たい!」

「では、どうして母さんは・・・?」


 まるで分からないといった様子のレフィだが、クロトは予想がついてしまった。


「・・・外に出るのが怖いんだね?」

「っ・・・うん、そうなの。人間の町なんて二百年以上行ってないから・・・!」

「なっ!?」


 本当に引きこもりみたいなことを言い出したセーラ。

 レフィは開いた口が塞がらない。

 クロトはどうしたものかと頭を捻り始めた。










 とりあえず問題を棚上げして結界の作動準備に取り掛かることになった。

 あって困るような結界でもないので作動させることは決定事項。

 レフィにジト目を向けられ続けており、セーラは居心地が悪そうだ。


「それじゃあ作動させるから、セーラは準備してね?」

「え?準備、って・・・?」


 世界樹の根元にてそんなことを言われてポカンとしている様子。

 今まで全く準備が必要などとは聞かされていなかったのだ。


「それほど手間は掛からないよ。これに着替えてもらうだけだから。」

「えっ・・・?ちょっと待って!それを着るって・・・本気なの!?」


 クロトがセーラに見せたのは・・・改良に改良を重ねた、真・巫女服であった。

 機能の都合上、大変露出が多いのだが・・・。


「・・・ま、それは些細な問題だよね。」

「些細じゃないわよ!クロト君っ、流石に冗談よね・・・!?」


 戦慄しながら真偽を問うが、クロトの表情に変化はない。

 それは、紛れもなく本気だという意思表示に他ならない。

 セーラは後ずさって、傍に居る家族へ助けを求める。


「レフィ!ユフィ!助けてっ!」

「甘んじて受けるのだな、母さん。母さんはクロトに迷惑を掛け過ぎている。」

「私は見てみたいのです!」

「そんなっ!?」


 セーラに味方は居なかったようだ。

 クロトは二コリと笑って、こう告げた。


「全会一致で賛成だね。さあ、覚悟はできたかい?これは、里の為なんだ。」


 そう言われてしまっては絶対に断れないセーラであった。










「ううっ・・・クロト君、早く結界を・・・!この姿は恥ずかしいのっ・・・!」

「うん、分かった。でも非常に眼福だから、あと一時間くらいね。」

「クロト君っ!!」


 セーラは涙目になっているが、それも致し方なし。

 真・巫女服は本当に露出度が高いのだ。


 スカート(?)から伸びる色白の太腿。

 開いた胸元から見える、エルフにしては大きな胸の造形。

 袖の隙間からところどころ覗いている、こちらも色白でしなやかそうな腕。

 布が存在しておらず、露わになっている肩や脇腹。

 首元から腰に掛けて服が大きく開けているために見える綺麗な背中。


「・・・やっぱりあと三時間はそのままでお願い。」

「クロト君っ!いい加減にしないと怒るわよっ!?」


 涙目で体を抱きながらクロトを睨みつけるセーラであった。


 ちなみにクロトも男性用の服に着替えを済ませている。

 男女差の問題で、そこまで露出は多く無いが、それでも目に毒だろう。

 レフィは微妙に居心地が悪そうだ。


「じゃあ、セーラが可哀そうだし、始めようか。」


 事前の打ち合わせ通り、セーラは世界樹に手を当てて意思を通わせる。

 クロトの方も、根元に配置された地底樹の地下茎に手を当てて意思疎通を図る。

 そして、セーラとクロトがあいている手の方を繋ぎ合わせる。


 これで、準備は完了だ。

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