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第二部「創世神降臨」編
光と謎の黒ローブ
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ゾディアに解放されたカレンの心は揺れていた。
クロトにそんな姿を見られるくらいなら、いっそそうするべきではないか、と。
表情は生気を失い、目は虚ろ。
心はへし折れる一歩手前だ。
だがそれでも、カレンの頭の中にはクロトが居る。
そんな答えを、クロトが望まないことは分かる。
思い浮かぶのは、クロトと過ごした日々。
人生の中で、最高の幸せを味わったとき。
いつまでも、クロトとともに、幸せでいたい。
だから決して、膝を折りはしない。
最期までクロトに相応しい女で居たいから。
カレンは再び立ち上がり、剣を構えた。
「なっ・・・貴様、何のつもりだ!?」
「返答していなかったか?貴様に跪くなど、絶対に御免だ。」
カレンは光の灯った瞳でゾディアを見据え、そう言った。
既に涙は無く、体中から闘気がほとばしっている。
ゾディアは完全に予想外だったようで、怒り狂った。
カレンの心を折ったと確信していたのだろう。
「クソッ!クソがっ!何故我に屈服しない!?何故だあああああっ!!」
「分からないか?ならば教えてやろう。」
二度と折れないだろう心を宿したカレンは、こう告げた。
「私の心はクロトに預けている。貴様にも、私自身にも、折れる訳が無い。」
<特殊条件10「失われない希望」を確認>
<特殊条件1~10を確認>
<全ての効果発動が保留中です>
<特殊条件11「最初にして最後の光」を確認>
<スキル「光魔法」を習得しました>
「ああああああああああああ!!!!」
カレンの言葉にキレたゾディアは、「星神剣・超新星」を発動させた。
どうにかする方法など、カレンには思いつかない。
光魔法も習得したばかりで、今のままでは役立たずだろう。
襲いくる膨大なエネルギーを前に、カレンは両目を閉じた。
「チェンジ・ザ・ワールド」
突如その場に現れた謎の黒ローブ。
如何なる方法によってか、超新星を消し去ってしまった。
「なっ!?貴様、どうやっ「デス・ザ・ワールド」て!?」
黒ローブがゾディアの言葉を意に介さず、何かを呟いた。
次の瞬間、ゾディアはその場に崩れ落ち、屍となった。
「イレイズ・ザ・ワールド」
その言葉の後には何も起こらなかった。
カレンは訳も分からず呆然としている。
目の前の黒ローブが何者なのか分からないし、敵味方も不明。
そもそも、性別すら分からない。
だというのに、妙な安心感を覚えている自分を不思議に思う。
黒ローブがカレンに近づくが、カレンは警戒しない。
目の前の存在は間違いなく自分の味方だと、直感が言っているのだ。
そして、黒ローブはカレンに話しかける。
「――――――――――――」
「なっ・・・!?」
男の話をにわかには信じられないカレン。
だが、嘘を吐いているようにも見えないし、嘘感知の魔道具も作動しない。
黒ローブの言葉を信じるしかなかった。
「――――――――――――」
「っ・・・だが、それは・・・!」
「――――――――――――」
「・・・・・・そうか。・・・分かった。それだけでいいのだな?」
「―――」
用が済んだのか、黒ローブはその場を去った。
「・・・私に、できるだろうか?」
一人残されたカレンは、不安げにそう呟いたのだった。
カレンが行方不明になってから十五日。
梟の止まり木亭はちょっとした騒ぎになっていた。
「カレンさんが無事に帰ってきてくださって、ホッとしました。」
「心配を掛けたようで済まない。天の塔で少々苦戦してしまってな・・・」
何事もなかったかのように帰ってきたカレンを、一同は出迎えた。
「天の塔・・・どこで苦戦したんですの?」
「恥ずかしながら、牡羊の試練で長々と眠ってしまった。」
「ん・・・。私、と・・・同じ、だね・・・?」
「自分から眠ったエメラとは違うと思うのだが・・・。」
頬を掻いて恥ずかしそうにしているカレンにナツメが問いかけた。
「カレン殿は隕石を見なかったのでござるか?」
「それは見たな。ただ、クロトならどうとでもするのではないかと思ったのだ。」
「・・・それならば納得だ。」
「僕を何だと思ってるのかな・・・?」
顔を引き攣らせたクロトだが、あまり正面から否定はできない。
結局なんとかできているわけなので。
「ゴホン。ところでクロト。」
「ん?どうかしたの?」
そう反応したクロトに、カレンは耳打ちした。
「その、だな・・・今日の夜、時間はあるだろうか・・・?」
クロトにそんな姿を見られるくらいなら、いっそそうするべきではないか、と。
表情は生気を失い、目は虚ろ。
心はへし折れる一歩手前だ。
だがそれでも、カレンの頭の中にはクロトが居る。
そんな答えを、クロトが望まないことは分かる。
思い浮かぶのは、クロトと過ごした日々。
人生の中で、最高の幸せを味わったとき。
いつまでも、クロトとともに、幸せでいたい。
だから決して、膝を折りはしない。
最期までクロトに相応しい女で居たいから。
カレンは再び立ち上がり、剣を構えた。
「なっ・・・貴様、何のつもりだ!?」
「返答していなかったか?貴様に跪くなど、絶対に御免だ。」
カレンは光の灯った瞳でゾディアを見据え、そう言った。
既に涙は無く、体中から闘気がほとばしっている。
ゾディアは完全に予想外だったようで、怒り狂った。
カレンの心を折ったと確信していたのだろう。
「クソッ!クソがっ!何故我に屈服しない!?何故だあああああっ!!」
「分からないか?ならば教えてやろう。」
二度と折れないだろう心を宿したカレンは、こう告げた。
「私の心はクロトに預けている。貴様にも、私自身にも、折れる訳が無い。」
<特殊条件10「失われない希望」を確認>
<特殊条件1~10を確認>
<全ての効果発動が保留中です>
<特殊条件11「最初にして最後の光」を確認>
<スキル「光魔法」を習得しました>
「ああああああああああああ!!!!」
カレンの言葉にキレたゾディアは、「星神剣・超新星」を発動させた。
どうにかする方法など、カレンには思いつかない。
光魔法も習得したばかりで、今のままでは役立たずだろう。
襲いくる膨大なエネルギーを前に、カレンは両目を閉じた。
「チェンジ・ザ・ワールド」
突如その場に現れた謎の黒ローブ。
如何なる方法によってか、超新星を消し去ってしまった。
「なっ!?貴様、どうやっ「デス・ザ・ワールド」て!?」
黒ローブがゾディアの言葉を意に介さず、何かを呟いた。
次の瞬間、ゾディアはその場に崩れ落ち、屍となった。
「イレイズ・ザ・ワールド」
その言葉の後には何も起こらなかった。
カレンは訳も分からず呆然としている。
目の前の黒ローブが何者なのか分からないし、敵味方も不明。
そもそも、性別すら分からない。
だというのに、妙な安心感を覚えている自分を不思議に思う。
黒ローブがカレンに近づくが、カレンは警戒しない。
目の前の存在は間違いなく自分の味方だと、直感が言っているのだ。
そして、黒ローブはカレンに話しかける。
「――――――――――――」
「なっ・・・!?」
男の話をにわかには信じられないカレン。
だが、嘘を吐いているようにも見えないし、嘘感知の魔道具も作動しない。
黒ローブの言葉を信じるしかなかった。
「――――――――――――」
「っ・・・だが、それは・・・!」
「――――――――――――」
「・・・・・・そうか。・・・分かった。それだけでいいのだな?」
「―――」
用が済んだのか、黒ローブはその場を去った。
「・・・私に、できるだろうか?」
一人残されたカレンは、不安げにそう呟いたのだった。
カレンが行方不明になってから十五日。
梟の止まり木亭はちょっとした騒ぎになっていた。
「カレンさんが無事に帰ってきてくださって、ホッとしました。」
「心配を掛けたようで済まない。天の塔で少々苦戦してしまってな・・・」
何事もなかったかのように帰ってきたカレンを、一同は出迎えた。
「天の塔・・・どこで苦戦したんですの?」
「恥ずかしながら、牡羊の試練で長々と眠ってしまった。」
「ん・・・。私、と・・・同じ、だね・・・?」
「自分から眠ったエメラとは違うと思うのだが・・・。」
頬を掻いて恥ずかしそうにしているカレンにナツメが問いかけた。
「カレン殿は隕石を見なかったのでござるか?」
「それは見たな。ただ、クロトならどうとでもするのではないかと思ったのだ。」
「・・・それならば納得だ。」
「僕を何だと思ってるのかな・・・?」
顔を引き攣らせたクロトだが、あまり正面から否定はできない。
結局なんとかできているわけなので。
「ゴホン。ところでクロト。」
「ん?どうかしたの?」
そう反応したクロトに、カレンは耳打ちした。
「その、だな・・・今日の夜、時間はあるだろうか・・・?」
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