異世界隠密冒険記

リュース

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第二部「創世神降臨」編

二度目のデートプラン

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「おやお二人さん、昨夜はお楽しみだったようだねぇ・・・?」

「ええ。とても楽しませていただきましたよ。」

「クロトさんっ・・・!!」


 部屋で、生まれたままの姿にて抱き合いながら、しばらくのんびりと過ごした。

 そして、少し遅い朝食の時間にしようということになって、階下に降りた。

 女将さんに見つかって最初に言われたのが、今の言葉だ。


「あれまぁ・・・。随分と堂々として・・・。」

「恥じることでもありませんからね。献身的なリンカがとても可愛くて・・・!」

「クロトさんっ!!恥ずかしいから言わないでっ!!」


 我慢の限界がきたリンカは、耳まで赤くしながらそう叫んだ。


 食堂に居た客たちが事情を察して、血の涙を流しそうになっている。

 そんな男たちに見せつけるように、クロトはリンカを引き寄せ、抱き締めた。


「ひゃっ・・・!」

「「「「あああああっ!?」」」」


 リンカの人気は、相変わらず高いようだ。

 きっと、リンカの初めてがクロトに捧げられても、変わらない人気だろう。


 だが、それはそれとして、恨みが籠った視線がクロトに向けられた。


 クロトを責めながらも満更でもなさそうな顔をするリンカ。

 より一層恨みの視線がクロトに向けられる。

 クロトの正体を知っていてやっているのだから、相当肝が太い。


 リンカが愛されていることを再認識し、視線を柳に風と受け流すクロト。


「さて、朝食を頂こうかな。」

「この中でですか・・・!?」


 リンカには、少々刺激的な朝食になりそうだ。









「リンカちゃん!初経験おめでとう!」

「あ、ありがとうございます!ですがっ、大声で言わないでくださいっ!」


 朝食後、リンカは宿の常連さんたちに囲まれてしまった。

 男性が多いが、女性も居る。

 たった今の発言は、当然の如く女性のものだ。

 男性の発言だったら、クロトから制裁を喰らっていたかもしれない。


「それでリンカ、どうだったの!?」

「どうだった、とは・・・?」

「分かってるくせに!初めてはよかったのか、ってこと!」

「ッ!ッッ!?」


 リンカは何も言えずに俯いてしまった。


 正直に答えるならば、想像を絶するくらいに良かった、という答えになるだろう。

 だが、そんなこと、言えるはずがない。


 詳細に語るならば、甘く、蕩けそうな、幸せの極みを経験した時間だった。

 えらく抽象的な表現だが、そうとしか言えないのだ。

 次々と押し寄せる最上級の快楽のせいで、意識が途切れ途切れなのだから。


(あんな気持ちいいの、初めて・・・。また、してほしいなぁ・・・。)


 俯きながらも、リンカはそう思わずにはいられない。

 すっかり虜になってしまったようだ。

 危うく火照りそうになった体を、必死で沈めたリンカであった。










 リンカとクロトは、今日一日一緒に過ごすことになっている。


「リンカ、どこか行きたい場所はあるかな?」

「行きたい場所・・・。」


 リンカは幾つか候補を思い浮かべた。

 いつか、クロトとデートで行ってみたいと思っていた場所があったのだ。


 アクアに聞いた海上デート。

 ヴィオラに聞いた花畑。

 ナツメに聞いた東国の星空。


 どれも捨てがたく、うんうんと迷い始めた。

 自分では決められそうにないので、クロトの意見も聞いてみることに。


「リンカと一緒なら、どこへ行っても楽しいと思うけど・・・。」

「っ・・・。」


 何気なく零れたその言葉が、胸の鼓動を速くする。

 何故こんなにあっさりと、自分が欲しい言葉をくれるのか。

 昨日あれだけ結ばれたのにおかしいかもしれないと思いつつ、胸が高鳴る。


「じゃあ、海に出て、夜は東国で星を見る、というのはどうかな?」

「はい!行ってみたいです!」

「決まり、だね。」


 クロトはリンカに微笑みかけた。

 リンカは、またしても胸の鼓動が跳ねるのを自覚した。


 クロトが意図してやったかは不明だが、リンカの候補と被るプラン。

 これだから、この男はモテるのだ。





 クロトは普段着へと着替えを済ませ、宿の前でリンカを待っていた。

 リンカの服装を予想しながら、のんびりと待っている。

 リンカの事を考えていると欠片も退屈しないのは、実にクロトらしい。





「クロトさん、お待たせしました・・・!」

「・・・・・・。」


 クロトは絶句した。


 リンカの服装は、ラフな長袖シャツと上着、黒いふわっとしたスカート。

 スカートから覗きそうになる綺麗な太腿がクロトの視線を引き付ける。


「ッ!?」

 
 鋼の意志力で慌てて目を逸らすと、上目遣いで自分を見つめるリンカの顔が。

 その表情はとても不安そうで、クロトの視線を掴んで離さない。

 この世界では十人並でしかない容姿だが、クロトは最高に可愛いと思った。


「その・・・似合ってませんか・・・?でしたらすぐに着替えて・・・!」

「ダメ。そのままがいいよ。最高に可愛いから。」

「えっ・・・?」


 真顔でそう告げられ、面食らうリンカ。

 今回はあまり自信が無かったらしい。


 クロトの頬が薄っすらと赤いことに気づいて、ようやく事実だと認識した。

 リンカは、クロトよりも頬が赤くなった。


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