異世界隠密冒険記

リュース

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第二部「創世神降臨」編

アイシアのやけ酒

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 クロトは用事があってシンクレア王国の王都に来ていた。

 用事を済ませた後、王都の中をぶらついていると、マップに反応が。


(これは・・・アイシア?レモニア領からこっちの方に来ていたんだね。)


 それについては、別段おかしなことでもない。


(でも、元気が無いみたいだね。どうかしたのかな?)


 アイシアも立派な社員なので、相談に乗るくらいはしても良いと思うクロト。

 アイシアの居る酒場に場所に近づいていくのだった。









 とある酒場にて、アイシアはやけ酒を飲んでいた。



(ディアナ先輩の馬鹿っ!もうあんな人なんて知りません!)


 大変珍しいことだが、果たして何があったのか。

 実は、深いようでそれほど深くない訳がある。


 ディアナとアイシアは、王都にて一時的に別行動をとることに。

 アイシアは目的を果たしてディアナとの合流を図った。


 問題があったのはここから。

 待ち合わせの場所と時間は決めていたのに、待てど暮らせどディアナが来ない。
 

 何かあったのかもしれないと思い、ディアナを探し始めたアイシア。

 フルーリエの町で自分が攫われた時のことを思い出し、顔が青ざめた。

 流石に王都でそんなことは起こらないという判断だったのだが・・・。


 情けない話だが、預かった通信機でクロトに連絡しようかと考え始めた頃。

 ディアナは無事に見つかった。


 だが・・・。


(年の近い女の人と話し込んでいただけなんて・・・!)


 それだけなら別に良いのだ。

 心配を掛けた事を軽く叱って、再会を喜べばいい。


 しかし、そうは問屋がおろさなかった。


「あっ、アイシア、明日は一日この人と一緒に町を回ることになったのよ。」

「・・・そうですか。明日、ですか。」


 普段であれば問題は無かった。

 だが、明日は特別な日で、ディアナとアイシアが初めて会った日。

 一日中一緒にお祝いをする予定だったのだ。


 アイシアは適当に返答してから、その場を去った。

 そして今、酒場でやけ酒を飲んでいる、と。


「うぅ・・・。ディアナ先輩なんて・・・。」


 恐らく、翌日にはちゃんと切り替えていることだろう。

 アイシアはしっかり者なのだ。


 しかし、今回は入った酒場が悪かった。


(あれ・・・?体が動かない・・・?)


 体の自由がきかないことに、今更ながら気づいたアイシア。

 いくら酔っているからといって、これはおかしい。


 そう思っていると、酒場の従業員と思しき者たちが、アイシアを捕まえた。


(えっ!?これ、誘拐・・・いや、体が目的!?酒場もグル!?)


 男たちのいやらしい笑みから、そのように推測したアイシア。

 アイシアは成人を迎え、体も育ってきたので、欲望の対象として見られたのだ。


 裏通りにあるこの酒場は、犯罪の片棒を担ぐ場所だった。

 アイシアの酒に薬を盛って、体の自由を奪う。

 後はベッドでお楽しみということだ。


 普段なら、こんな怪しい酒場に入りはしないのだが・・・。

 ディアナの一件で落ち込んでいて、判断力が鈍っていたようだ。


(先輩の悪口なんて言ったから、罰が当たったのかな・・・?)


 アイシアはもはや諦めムードに。

 若干、自暴自棄の色も混ざっているかもしれない。

 だがそこで、聞き流せない言葉が。


「おい、コイツには仲の良い相方が居るらしいぜ?偉くいい女だとか。」

「くくっ、だったらコイツを餌にしておびき出そうぜ?」

「そうしようぜ?コイツの目の前で犯してやったら面白そうだな!」


(そんなっ!?ディアナ先輩が危ないっ!)


 自分の事よりディアナを心配する辺り、相当好きなのだろう。

 また、ディアナだったらアイシアの解放を条件に為されるがままになる。

 長い付き合いなので、それくらいは分かっていた。


(っ!体が動かないっ!どうすれば・・・・・・そうだ、通信機が!)


 本当に情けない話だが、クロトに連絡すれば、助けてはくれるだろう。

 もちろん、相応の対価は必要になるだろうが。


 しかし、そう上手くはいかない。

 アイシアの体をまさぐっていた男が、通信機を発見。


「おい・・・コイツこんなもん持ってやがったぜ・・・?」

「あ?・・・これ、ミカゲ財閥のマークか!?」

「まさか、関係者か!?だったらやべぇんじゃ!?」


 このままなら助かるかもしれない。

 そんな希望はすぐに打ち砕かれた。


「あ?だったらもう手遅れだ。どうせなら最後に良い思いをさせてもらおうぜ!」

「乗った。俺もそうさせてもらうわ。」

「俺は降りるぜ?幾ら美人でも、割に合わねぇ。」


 反対派の男たちは引き上げ、数名の男が残った。


「さっさと部屋に運ぼうぜ?」

「おう、時間もねぇしな。」


 アイシアはディアナを助けられないと思い、絶望した。













「はいはい、そこまでにしてもらおうかな。」


 アイシアの様子がおかしいことに気づいたクロトが、その場に現れた。

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