異世界隠密冒険記

リュース

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第二部「創世神降臨」編

カレンの写真

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「カレン、ちょっといいかな。」

「ん?どうした、クロト?」


 剣を振っていたカレンに、クロトは話しかけた。


「ついでにカレンの写真も撮りたいんだけど・・・。」

「ついで、なのか・・・?」

「うん、ついでだよ。」


 クロトが断言すると、カレンは落ち込んでしまった。


 他の恋人たちが写真を撮られているのは知っていた。

 次は自分の番かとソワソワしていたのだが、待てど暮らせど一向に来ない。

 仕方が無いので剣を振って時間を潰していたところに、ようやくクロトが来た。

 そこで、ついでなどと言われれば、普通は落ち込む。


「話しかけた時の返事、声が上ずってたよ?」

「うるさい!別に期待していた訳ではないぞ!?」

「ふーん?まあ、僕が個人的に欲しいだけだから、嫌なら良いよ?」

「なっ・・・個人的!?」


 そう聞かされて喜んでしまう自分を恥ずかしく思うカレン。

 しかし、表情には出さずに冷静に返答する。


「そうか・・・。まあ、構わない。」

「とても嬉しそうだね?」

「心を読まないでくれっ!?」


 誤魔化しを見破られた時の恥ずかしさは一際。

 カレンは羞恥で頬を赤く染めた。






「ゴホン。・・・それで、どんな写真を撮りたいんだ?」


 落ち着きを取り戻したカレン。

 耳にかかった銀の長髪を後ろに流しながら、カレンは尋ねた。

 そんなカレンの様子を、パシャリと一枚。


「・・・クロト?」

「うん。やっぱりカレンは、今の動作が良く映えるね。」

「何か特別なことをしただろうか・・・?」


 カレンは無意識にやっていたことらしい。


「ああ。耳にかかった髪を後ろに流す動作は、とても色っぽくて美しいよ。」

「っ!?」


 自分の行動を顧みて、そういえばそんなこともしていたかもしれないと思った。

 よくよく思い出せば、クロトが熱い視線を向けていたような気も・・・。


「ク、クロトは、私のその動作が好き、なのか・・・?」

「うん、大好きだよ。勿論、カレン自身も大好きだけどね。」

「っ・・・クロト、それは反則だっ・・・!」


 カレンはクロトから直球の好意をぶつけられて、顔が熱くなる。

 真っ赤になっているだろうな、と思いつつ、我慢できずにクロトに抱き着く。


「っ・・・カレン、どうしたの?珍しいね?」

「・・・・・・。」


 今度はクロトが動揺させられる番だった。

 カレンがそんな行動に出るなど、初めてと言ってもいいかもしれない。

 さしものクロトでも動揺はする。


 カレンがここまで積極的となると、無明の洞窟の一件以来だろうか。


「カレン・・・?」

「・・・最近、私に構ってくれなかっただろう?だから、今は私の時間だ。」

「あ、はい・・・。」


 どうやら、スキンシップが不足していたらしい。

 普段表に出さない、というよりは、過度なスキンシップを望まないカレン。

 その反動のようなものなのだろう。


 クロトはカレンの綺麗な髪を、優しく撫でた。

 カレンは暫くの間、クロトの優しい手を堪能した後、思い切って望みを告げた。


「クロト・・・部屋へ、連れて行ってもらえないか・・・?」

「・・・ああ、いいよ。」


 その言葉の意味するところを正確に感じ取ったクロト。

 カレンの上気した頬にクラクラしながらも、何とか返答して、転移を発動。


 その直後クロトは、恥ずかしがって顔を逸らしているカレンの唇を強引に奪った。


「んっ、あっ・・・クロト、もっと私を、愛してくれ・・・!」

「カレンっ・・・!」


 我慢の効かなくなったクロトは、カレンをベッドに押し倒し、再度唇を奪う。


「んんっ・・・!」


 クロトはカレンの魅力的な肢体に、手を這わせていく。


「んあっ!ああっ・・・クロト・・・クロトっ!」


 うわごとのように自分の名を呼ぶカレンの思考は、既に一色に。

 つまり、早くクロトに抱いて欲しい、という思いで満たされていた。

 クロトに触れられて自制心が鈍っていた為、その想いを正直に漏らしてしまう。


「ああっ・・・クロトっ、早く私をっ・・・抱いてくれっ・・・!」

「ッ!?ッッ!!」


 カレンのとろけ切ったような艶のある顔に、クロトの理性も溶けていく。

 気づいたときには、かなり強引に服を脱がせ、カレンに覆いかぶさっていた。


「カレン・・・良い、よね・・・?」


 最後の理性をかき集め、何とか意思の確認をしたクロト。

 それは、決まり切っている答えを、念のために確かめるに過ぎない行為。


「ああ・・・!クロト、早くっ・・・!」

「カレンっ!」


 我慢の限界が来たクロトはカレンの返事に被せるように叫ぶ。

 そして、気が済むまで、カレンを抱いたのだった。

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