異世界隠密冒険記

リュース

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第二部「創世神降臨」編

地底樹の復活

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「それじゃあ、始めるよ?」

「・・・・・・うん。」


 クロトの言葉に頷くリオン。

 リオンはあの後、クロトにしきりに可愛いと褒められて、機嫌を直した。

 まだ頬が赤いままで、傍から見れば、美少女としか思えない。


 それでいいのかリオン。




 王城の中庭で、地底樹を復活させる。


 復活に必要な物は、地底樹がクロトとリオンに伝える。

 意志を受け取る者は、それに専念しなくてはならないので、一人一役だ。


 リオンが地底樹の意志を受け取り、それをクロトに伝える。

 リオンから伝えられたクロトが、必要な物を集めて来て、地底樹の根源に与える。


 アクアやヴィオラ、エメラ、マリア、カレン。

 ファーナ、ナツメ、エドワード国王、アイリス王妃。


 皆が見守る中、儀式は始まった。




 リオンが地底樹の根源に手を振れ、その意志を感じ取っていく。


 最低限必要な精神力さえあれば、意志を感じ取るのは容易い事。

 なにせ、リオンはずっと、地底樹の意志と共にあったのだから。

 心を通わせることくらい、朝飯前である。


「君は、ずっと僕の友達でいてくれたのに、気づけなくてごめんね・・・。」


 地底樹は非活性状態でも、リオンのことを感じ取っていた。

 清く温かいリオンの心に触れて、少しずつ、意識を覚醒させていった。


 地底樹グランディアにとってリオンは、かけがえのない、友。

 リオンは初めから、一人ぼっちなどでは無かったのだ。


「必ず君を、この地に再誕させてみせるから、もう少しだけ待っていて・・・?」


 地底樹の根源が、肯定するかのように、僅かに点滅した。


 リオンは瞳から涙を流しながらも、クロトへ必要なことを伝えていく。


「・・・生命の真透水、生命の土塊、太陽と月の生命花。」


 クロトは言われた物を、アイテムボックスから取り出していく。


「命の水、循環結晶、水霊結晶、神秘結晶、聖歌結晶、霊木、大地の恩恵。」


 リオンの言葉は、まだ止まらない。


「人魚の涙、黄金林檎、中和の光、全天結晶、魔力結晶、大海の恩恵。」


 ここまでは、全て揃っている。


「精霊結晶、青結晶、黄結晶、再誕の種、天の雫、世界樹の雫、太陽の鏡。」


 ここに来て、未入手のアイテムが。

 黄結晶と太陽の鏡はクロトも持っていない。


「法理の種、純水結晶、創世結晶、天の祝福、聖結晶、聖なる光、地底樹の根源。」


 そこでリオンが言葉を止めた。

 必要な物は、これで全てのようだ。


 足りないのは、黄結晶、太陽の鏡、聖なる光の三つ。

 まずは、黄結晶から。


「エメラ、アクア。ライドリアース砂漠で、黄の主を倒してきて欲しい。」


 つい先日、魔法存在から目撃情報が入っていた為、入手に問題は無い。

 場所を示して、アクアとエメラに頼んだ。


「ん・・・。任せ、て・・・?」

「はい、行ってきます。」


 アクアとエメラは、直ちに転移して行った。


 続いて、太陽の鏡。


「カレン、これを持ってグレンさんの所へ行って欲しい。」


 クロトが渡したのは、一本の剣と、グレンへの頼みを書いた紙。


 剣の方は、アーティファクト。

 名称・太陽の剣

 オーガの迷宮にて、初踏破報酬として貰った剣。

 本来は、月影の剣と星影の剣、二本の剣とセットとなる剣である。

 三刀流をする気は無く、効果も微妙なので、無用の長物だ。


 グレンへの手紙には、剣から太陽の鏡を取り外すように書いてある。



 最後に、聖なる光。

 シャドウの影布とルナの光布、中和の光、変幻結晶。

 これらを合成し、表裏の松明で燃やすと、聖なる光の完成。


 一瞬で作り方を導き出したのは、流石の思考速度である。


 アクアとエメラ、カレンも帰ってきて、全ての材料は揃った。

 リオンに確認しつつ、地底樹の根源に吸収させていく。


 数分後、クロトは全ての素材を地底樹の根源に吸収させ終わった。

 皆が静かに見守っていると・・・。







 ドクンッ!!





 地底樹の根源が脈動したかと思うと、大地へと吸い込まれるように消えていった。





 ドクンッ!!





 地底樹が大地と共鳴し、再び脈動。

 地底樹の消えた地面を基点として、同心円状に、大地の力が広がっていく。

 それは、その場に居る全員が、黄色の波紋として視認することが出来た。




 そして一時間後。



 ゴゴゴゴゴゴゴッ!!



 そんな地鳴りと共に、地底樹の上半分が、大地より出現。




 長らく眠りについていた地底樹グランディアは、この瞬間、間違いなく。







 この世界に、再誕した。


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