異世界隠密冒険記

リュース

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第二部「創世神降臨」編

VS深海竜2

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「ゴッドアイ・アクセラレーション!」


 敵の攻撃手段である二つの爪が使えない今、勝負に出るべきだと判断したクロト。

 その身を十倍に加速させ、剣技を放つ。


「神天龍十六夜連閃・三極!」


 極星、極毒、極黒。

 三種類の十六連撃、計四十八連撃が、深海竜を襲う。


 元々能力値は互角であったために、十倍に加速したクロトを目で追えない。

 四十八連撃の内、六撃を回避できただけでも奇跡的だろう。


 クロトの剣技はガリガリと深海竜のHPを削る。

 残りが半分を切ったところで剣技は終了し、クロトは激痛に襲われる。


「ぐっ・・・!」


 飛ぶことすらままならずに、落下していく。

 深海竜は、その隙を逃さない。


 ユニークスキル「深海竜」による、深海竜の水撃を発動。

 超威力を誇るブレスが、クロトを襲う。


 それに対するアクアの反応は、クロトの防御では無かった。

 神瞳加速を発動する前のクロトの言葉から、正確な意味を理解していたのだ。

 フォローというのはクロトのフォローではない。


「水神魔法・神水竜巻!水神魔法・水神圧壊!」


 二つの魔法を待機させ、更に次々と神水竜巻を生成していく。

 勝利を手にするための詰め。

 それを行うためのフォローだ。


 クロトへ向かうブレスは、竜形態に戻ったリュノアが対応。


「キュオオッッ!」


 リュノアは「滅竜魔法・滅竜吐息」を発動。

 急な作戦変更だったが、上手く行ったようだ。

 レアスキルでしかない滅竜魔法だが、敵のブレスを呑み込むことに成功。


 能力の間にも相性というものがあるらしい。

 リュノアが出来るというので、任せてみた、という訳だ。


 自分のブレスを合成して、深海竜へ返すリュノア。

 そのブレスは水と炎が混ざり合った、超威力に。


「GYAAAAAAAAAAAAAA!?」


 ブレス後で隙が出来ていた深海竜は、そのブレスをまともに喰らった。

 幾らかは耐性で減衰出来ていたが、それでも大ダメージに。


 残りHPは三割に。

 そのタイミングで、アクアが生成し続けていた魔法を、一斉に解き放つ。


「水神魔法・水神の抱擁!」


 大量の拘束魔法が深海竜に殺到し、その動きを完全に止めた。

 大ダメージ直後で回避も防御も出来ない、そんなタイミングでの発動。

 本来なら完全な拘束など不可能に近いが、今回はそれが成功した。


 深海竜が迂闊に左の爪で攻撃してきた時、一瞬でここまでの展開を閃いたクロト。

 精密過ぎる策が、アクアによる深海竜の完全拘束へ導いたのである。


 激痛から立ち直ったクロトが、深海竜の真下から接近。

 とどめの攻撃へ打って出る。


「創世十六夜連閃・神断!」

「GYUOOOOOO!!」


 しかし、敵も意地があるのか、ボロボロの状態ながらクロトを迎撃。

 完全に拘束されているというのに、深海竜はその鋭い爪で攻撃する。

 意地というのは侮れない。

 最初より遅い攻撃だったので、クロトはそれを何なく回避。


 回避は予想通りだったのか、もう片方の爪で、回避予測地点に攻撃していた。

 クロトはそれも読んでおり、純白十二翼に切り替えていた翼を使う。


「純白の翼神!」


 純白の翼神は、防御と精度に秀でる技。

 高速戦闘の中でも、爪の一撃を正確に弾いた。

 創世神器の全力防御は伊達じゃ無いようだ。


 ここで、深海竜による本命の攻撃。

 強大なる敵であるクロトを最大限評価して、温存してきた、尾での一撃。


 これは流石に予想外だろう。

 そんな表情を浮かべる深海竜。


 その一撃は、紛うことなくクロトに直撃。





「尾での攻撃くらい、計算済みに決まってるよ。少し頭が足りなかったね。」


 月影神の龍剣と星影神の龍剣。

 二つの剣の効果で、深海竜の認識を少しだけ、ずらしていた。


 竜の尾は、クロト本体のギリギリを掠め、幻のクロトを消し去った。

 そしてクロトは、深海竜の顔の、すぐ前に来ることに成功。


 深海竜は、目を見開いて驚愕している。

 もし自分が尾で出鱈目な攻撃をしていたら、クロトの命は無かったかもしれない。

 それでも、自分の目と鼻の先へ来て、最大級のダメージを与えることを選択した。

 何故そんな危険な真似を、平気な顔で出来るのか、とでも言いたげだ。


「まあ、知能が高そうな君が出鱈目な攻撃をするはずが無いものね。」


 深海竜の思いを感じ取った訳ではあるまいが、そう呟いたクロト。

 直後、絶対遮断を纏った十六連撃が、深海竜の頭に炸裂した。






 HPが殆どゼロになった深海竜。

 大技の後で止まっているクロトから逃走を選択した。

 その表情からは、恐怖と畏怖が伺える。


 今までに戦った人間とは、ナニカが決定的に違う。

 そんな感想を抱いたようだ。


 深海竜は、境界を越えて、世界の外側へ・・・・・・







「逃がす訳ないだろう?勝負は君が選択を誤った段階で、決まっていたんだ。」




 境界で待機していたクロトの分身たちが一斉に攻撃。

 深海竜の息の根を止めたのであった。

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