異世界隠密冒険記

リュース

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第二部「創世神降臨」編

小旅行の終わり

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 しばらくして、ヴィオラとディアナが温泉から上がって来た。

 もう用事も無いが、二人の髪が乾くまで滞在することに。


 お風呂上がりの二人は、とても色っぽい。

 上気した頬と、濡れた髪。

 クロトはヴィオラに、しばし見惚れた。



「ヴィオラ、それとディアナも。これを使うと良いよ。」

「・・・これは?」


 我に返ったクロトに手渡された物を受け取って、首を傾げるヴィオラ。


「それはドライヤーという魔道具で、髪を乾かす道具。使い方は・・・。」


 クロトはヴィオラとディアナに使い方の説明をした。

 その後早速、ドライヤーを使い始める二人。


「ふーん?本当に暖かい風が出るのね・・・。凄いじゃない。」

「そうですね・・・。見たことがありませんが、販売されないのですか?」


 ディアナとアイシアはセミロングの髪ではあるが、重宝しそうではある。

 だがしかし、つい最近出来たばかりなので、残念ながら商品化はされていない。

 精々、オーダーメイドで作るくらいか。


「そんなに気に入ったなら、入社記念にあげるよ。あと、アイシアにも。」

「そう?じゃあ、ありがたく貰っておくわね。・・・ありがとう。」

「あっ、私のは青色なんですね。ありがとうございます。」


 さらっと好みの色を渡すあたり、中々に抜かりない。

 二人ともお礼を言って、有難くもらうことに。


「・・・クロト。私も貰っていいのか?」

「勿論。ヴィオラだけ駄目なんて言わないよ。」

「・・・感謝する。アクアたちにも渡せば、喜んでくれるはず。」

「そうだね。帰ったらそうさせて貰おうかな。」


 その後、程なくして髪は乾いたので、快癒の霊泉を立ち去った。









 ハーブレラの町を経由し、フルーリエの町へ帰って来たクロトたち四人。


 ディアナとアイシアは、解石草を持って、薬屋へ。

 薬師に薬を調合してもらうつもりなのだろう。


 ディアナの知人のことは二人に任せるとして、クロトは帰還日を考える。


 この辺りで一度、カラーヴォイスに戻るつもりなのだ。

 クロトはディアナたちが戻ってきたら、それを伝えるつもりでいる。


「ヴィオラ、旧レモニアで、他に行きたい場所はあるかな?」

「・・・今のところは存在しない。」

「ん、じゃあ、そろそろ帰るという方針に異論は無いね?」

「・・・何も問題は無い。」


 ヴィオラの賛同も貰ったので、帰還は本決まりとなった。






 それはそれとして、クロトとヴィオラは太陽の花畑へやって来ていた。


 目的は、太陽と月の生命花をもう一度採取すること。

 そして、以前の調査で見つけていた、転移魔法陣の確認である。


 実は、前回の帰り際に見つけていたのだが、眠かった為に後回しに。

 その後、色々あって来れなかったのだが、時間が出来たので出向いた訳だ。



 予め話は終えていたので、一言の会話も無く、二人は魔法陣に乗った。





 転移した先にあった黄道の迷宮。

 今回の紋章とレリーフは、羊。


 敵は、星十二天「牡羊」。

 レアスキル「牡羊の摂理」と「強制睡眠」


 ある意味今まで戦った星十二天の中で、一番曲者かもしれない。


 能力値は、防御力とHPに極振り。

 HPは20000で、防御力は9000。

 その他は殆どゼロで、MPだけ1。


 レアスキル「牡羊の摂理」は、魔法・物理攻撃99%減衰の効果があり。

 更に、毎分HPが1%回復し、眠っている間は、防御力と回復速度が二倍に。

 切り札として、MPを全て消費し、自らのHPを全回復させることが出来る。


 レアスキル「強制睡眠」は、周囲一キロ四方に居る存在を、強制的に眠らせる。

 またこれは、常時発動型のレアスキルである。




 どう考えても、牡羊の摂理が厄介過ぎる。


 魔法・物理攻撃無効ではなく、減衰というのがいやらしい。

 無効系では無いために、スキルを貫通してのダメージは望めない。

 これで無効化だったら、魔力の無い羊は、天神法術で一撃だったろう。


 その他の能力も、面倒な事この上ない。

 減衰効果と回復のせいで中々ダメージが入らず、削っても削っても、回復。

 もう少しで倒せそうになったら、MP1消費で全回復。

 もう一度削っている間にMPは回復し、再び全回復。



 いくらなんでも、コレは酷い。



 それに、強制睡眠によって眠らされ、攻撃自体が邪魔される。


 クロトは神天魔の法衣のおかげで問題は無いだろう。

 乙女のときに、最上級のレアスキルでも、耐性を貫通できないと判明したので。


 しかし、ヴィオラは強制睡眠に対抗できないだろうと推測される。

 一応、状態異常にあたるので回復は可能だが、眠っていては、自己回復は不可能。


 唯一、敵に攻撃能力が欠片も無いのが救いか。




 果たしてこの敵、どう倒すべきなのだろうか。

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