異世界隠密冒険記

リュース

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第二部「創世神降臨」編

解石草と温泉

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「クロト!解石草があったわ!」

「そうみたいだね。ディアナの手に入れた情報通り、か・・・。」

「ふふん!少しは私の事、見直したかしら?」


 ディアナは胸を張って、クロトに自慢する。


「見直すも何も・・・一度も見損なったことなんて無いよ?」

「っ、また・・・。クロトは天然の女誑しよね・・・。」


 ディアナは呆れながらも、解石草を採取して収納。


「それで、先へ進むということでいいのよね?」

「そのつもりだけど、ディアナたちには強制しないよ?」


 契約には無い部分なので、クロトは送り届けることも考えていたのだが・・・。


「はぁ・・・。クロトが嫌ではないなら、最後まで付き合うわよ。」

「そっか。じゃあ、お願いしようかな。」


 断る理由も無いので、有難く受け入れることにした。









 快癒の霊泉付近の合流地点で、ヴィオラとアイシアが合流。

 そちら側の情報にあった場所でも解石草が採取できたようだ。


 その後、四人で数十分ほど歩いたが、魔物が現れない。

 事前に入手した、霊泉の近くに魔物が現れない、という話は本当のようだ。



 やがて、快癒の霊泉と思しき場所に到着。


「・・・温泉、か?」


 ヴィオラの第一印象通り、そこは温泉のようになっていた。

 霊泉そのものの情報は殆ど無かったので、これには驚かされた一同。


 クロトが湯加減を確認してみると、丁度いい温度だった、


「ヴィオラ、入りたいの?」

「・・・興味はある。」


 ヴィオラはうずうずしており、温泉に興味津々の様子。

 この世界、温泉という概念は浸透していないのだ。


(温泉業・・・流石に手を出しづらいね・・・。)


 そう判断して、そちら側の思考は打ち切り、目の前の温泉を解析。

 すると、ただのお湯ではなかったようで、快癒の水が含まれていると分かった。

 お湯であるので、快癒の湯、と呼ぶべきか。


 効果は、軽い健康増進で、かすり傷程度の治療なら可能。


(命の水の下位互換、かな・・・?組み合わせ次第で命の水になりそうだ。)


 それはさておき。


「入りたいなら、入ってもいいよ?」

「・・・流石に人目が気になる。」


 そういうことには余り頓着しないヴィオラ。

 しかし、クロト以外の男に裸体を晒すのは御免だと思っている。


「そこは・・・この結界魔法陣でも起動すれば問題ないよ。」


 結界内に侵入は出来ないし、内部の様子も見えない優れものだ。

 結界の説明を聞いたヴィオラは入ることに決めた。


 そして、見送る体勢のクロトを見て、お願いするように尋ねた。


「・・・クロト。一緒に入らないのか・・・?」

「・・・・・・いや、僕が入ったら、ディアナとアイシアが困るから、ね。」


 二人は先程から、入れば気持ちよさそうな温泉に目が釘付け。

 一言も発することなく、色々と葛藤している。


 いくらヴィオラのうるうるした瞳で見られても、頷く訳にはいかないだろう。


 とりあえず、ディアナとアイシアに、意見を求める。

 二人が入らないなら、クロトが入っても問題は無いので。


「ディアナ、アイシア。二人はどうする?」


 二人はうんうん迷いながらも、割とすぐに決断した。


「・・・私は入るわ。滅多に無い機会だもの。」

「・・・私は、遠慮しておきます。お風呂に入る用意もありませんから。」


 ディアナが入浴を決意し、アイシアは諦めた。






 そんな訳で現在、ヴィオラとディアナが温泉に浸かっている。

 クロトとアイシアは、結界内の少し離れた場所で待機だ。


「すみませんクロトさん。ディアナ先輩がご迷惑をおかけして・・・。」

「ディアナは悪くないし、アイシアも謝らなくていいよ?」


 クロトは本心から謝罪の必要は無いと思っている。


 ディアナは躊躇ってはいたが、クロトが近くで入浴することを認めた。

 自分のせいでクロトやヴィオラを残念がらせるのは気が引けたのだろう。


 だが、それはそれとして、クロトは恋人持ち。

 恋人でもない女性と混浴というのは、あまりよろしくない。

 不誠実云々を除いても、それは同じ。


 また、ディアナは、またとない機会だが、クロトはいつでも来られる。

 ヴィオラと一緒に入りたいなら、また来ればいい。

 ヴィオラもそれを理解して、今は不満など無く、温泉に浸かっている。


 つまり、やはり誰かが謝る必要など無いということだ。


「まあ、ヴィオラの涙目は、中々破壊力があって困ったけどね・・・。」


 ヴィオラの涙目のお願いを中々断れなかった自分は、さぞ頼りなかっただろう。

 クロトは頬を掻きながら、恥ずかしいところを見られたな、と思った。


「うっ、その頼りない感じは色々と駄目です!いつも通り完璧でいてください!」

「えっ?別に今までも、完璧さの欠片も無かったと思うけど・・・?」

「それでも!その情けなさそうな反応は・・・なにかダメです!」


 自分の好みを著しく刺激されたアイシア。

 普段とのギャップもあり、クラッときてしまったらしい。


 慌てて押しとどめることで、何とか平静を保った。

 まあ、クロトの頼りない姿は激レアなので、今後は大丈夫だろう。

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