異世界隠密冒険記

リュース

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第二部「創世神降臨」編

快癒の霊泉へ

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 情報収集を終えて、集まったクロトたち四人。

 軽く情報交換した後で、快癒の霊泉へ向かう。


「ねぇ、クロト。今更だけど、どうして手を貸してくれたの?」

「契約だから・・・って、そういうことを聞きたいんじゃないか。」

「ええ。何故契約に盛り込んだのか、という事よ。」


 ディアナは、どうにも納得がいかないようだ。

 クロトも、興味のないことはしないのだが、今回は事情が異なる。


「まず第一に、ディアナの給料をカット出来る。」

「えええっ!?あれ、減らされてたのっ!?」


 ディアナは、どう反応すべきか困ってしまった。

 給料を知らぬ間にカットされていた事へ怒ればいいのか。

 カットされてもあれだけ貰えることを感謝すればいいのか。


「ちなみに、あれで五十%カットね。」

「それは減らし過ぎよっ!」


 すぐにクロトの発言で、態度を定めることが出来たが。

 半額というのは、さすがに無いだろう、と。


「何故か・・・ディアナは安月給でこき使わないといけない気がしてね・・・。」

「意味が分からないわよっ!でも、あれで半額なら、元は、月四十万・・・。」

「クロトさんって、本当にお金持ちなんですね・・・。」


 ディアナとアイシアは、あらためて実感したクロトの資金力に惚けている。


「・・・クロトの凄さは、今更。」


 ヴィオラは別段、驚かない。


 クロトは、惚けているディアナに、一つ忠告を。


「ディアナ、お金に釣られて寄って来ても、僕は君には靡かないからね?」

「何の話よっ!?・・・というか、何でまた私が振られたことになってるのよ!?」

「ディアナ先輩、少しだけクラッと来ましたか?」

「アイシアっ!?馬鹿なことを言わないで!」


 ディアナはアイシアに詰め寄る。

 その強烈な反応に、アイシアはたじろぐ。


「ちょっ、先輩・・・?冗談ですから落ち着いてください・・・!」

「・・・あっ。・・・ごめんなさい、熱くなり過ぎたわ。」


 落ち着いたディアナに、成り行きを見守っていたヴィオラが一言。


「・・・ディアナは意外と乙女思考?」

「!?!?!?」



 結論、ヴィオラにデリカシーを求めてはいけない。





 道中に現れる魔物を倒しつつ、快癒の霊泉へ近づいていく。


 目的地までの道は、皇帝種もそれなりに出現する、山奥の秘境。

 確かにディアナ達だけでは厳しかったと思われる。


 何とか、ワニ型の皇帝種、エンペラークロコダイルを討伐したディアナ。

 だが、かなり消耗しているのが伺える。


 とはいえ、単独な上、魔力開放無しで勝ったのだから、十分と言えるだろう。


 しかし、そこは危険地帯。

 次なる皇帝種、エンプレススワンが空から奇襲をかけて来た。


 ディアナが対応するのは厳しそうなので、リュノアが迎撃。


「キュキュ!」


 敵は呆気なく漆黒魔法に捕縛され、黒竜魔法で焼き尽くされた。

 リュノアのレベルは60台に突入しており、並の皇帝種では歯が立たない。


 クロトはクロトで、忍び寄っていたハイドロスネーク皇帝種を迎撃。


「神天一閃・龍絶」


 一瞬で姿を眩ませて、一瞬で蛇を一刀両断。

 こちらも、問題など起こるはずも無く、快勝だ。


 なお、ヴィオラとアイシアは、この場には居ない。

 道が二本あったため、二手に別れて進行中なのである。



「はあ、はあ、はあ・・・流石に、キツイ、わね・・・。」

「お疲れ様、ディアナ。」

「キュイ。」


 肩で息をしているディアナの頭を、リュノアが翼でポンポンと叩く。

 まるで、妹分に対する扱いだ。


「クロト、この子は何なの?何か、不当な扱いをされているような気が・・・。」

「キュイ?」


 リュノアのつぶらな瞳にみつめられ、途中で言葉を止めてしまったディアナ。

 その後も、リュノアに撫でられ続けるディアナ。



「ふむ・・・。アイシアのこともあるし、ディアナは年下に弱いのかな?」

「・・・違うわよ。」

「じゃあ、今の微妙な間は何かな?」

「・・・・・・。」


 クロトの問いかけには答えず、そっぽを向くディアナであった。






 その頃、ヴィオラとアイシアは小休止にしていた。


「・・・アイシアは、クロトをどう思っている?」

「えっ?・・・それは、異性としてどうか、ということですか?」

「・・・相違ない。」


 ヴィオラはそのことを、ずっとアイシアに尋ねたかった。

 クロトに何人婚約者が出来ても良いのだが、把握はしておきたい。

 そんな思いからの問いかけだった。


「えっと・・・頼りになる良い人ですけど、それだけですね。」

「・・・異性としての好意は無い、と?」

「はい、ありませんね。」


 心の底から断言したアイシア。

 ヴィオラは嘘が無いかを見定める為、じっとその瞳を見つめるのだった。

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