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第一部「六色の瞳と魔の支配者」編
閑話 「悠久」と「金翼」
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ここはエルフの里のすぐ近く。
二人の冒険者が里から出て来たところである。
片方は、レファイス。
Sランク冒険者にして、「悠久」の異名を持つ、数少ないエルフの冒険者。
「それで、解決出来そうな人間に心当たりはあるか?」
「カレンが褒めていたクロトなのです!」
もう片方は、ユフィアス。
こちらもSランク冒険者で、「金翼」の異名を持つ。
当然、エルフだ。
「やはりそうなるか・・・。ユフィはクロトと仲が良かったのか?」
「東国ジャンゼパールで仲良くなったのです!」
「・・・そう言えば、クロトから土産を貰ったな。」
「・・・はっ!?レフィへのお土産を忘れていたのです!」
随分・・・と言う程でも無いが、それなりに前の事を今更思い出したユフィ。
相変わらずのユフィに呆れる、レフィことレファイス。
「そのことは、いい。それより、他に心当たりは無いのか?」
「無いのです!」
「即答か、ユフィ・・・。」
「クロトより頭がいい人間が居たら怖いのです!」
尋ねられたユフィは、そんなことを自信満々に断言した。
「それについては、同感ではあるが・・・。」
ラシアルドの町でのクロトとの模擬戦を思い出して、しみじみと同意したレフィ。
「だとしたら、やはりクロトの元へ向かうしかないか・・・。」
「クロト、引き受けてくれるのです・・・?」
「分からん・・・・・・が、とりあえずは頼んでみるしかない。」
十中八九、世界樹の事を明かせば引き受けてくれると推測はしている。
しかし、如何せん、クロトの行動はレフィにも全く読めない。
明日突然、世界征服に乗り出しても驚かない自信がある。
(万が一そうなったら、クロトの側につくのは決定的だな・・・。)
王都感謝祭で、一時的とはいえ集まったクロトの知人たちを思い浮かべる。
どう考えても、敵対するのはバカバカしいほどの戦力だ。
「そう言えば、クロトは眠っていたはずだが・・・目を覚ます頃か?」
「四十日くらいだとカレンから聞いたのです!」
「ならば、もうそろそろか・・・。とりあえずは王都に向かうか。」
「なのです!」
行き違いにならないよう、王都で待ち構えておこうと決めた二人。
その時、前方から皇帝種の魔物が現れた。
「魔物なのです!」
「肩慣らしに丁度いいか・・・。」
戦闘の準備を始めるレフィとユフィ。
レフィは念のため、ユフィに忠告しておく。
「ユフィ、分かっているとは思うが、金翼は使うなよ?」
「分かっているのです!私もあまり使いたくはないのです!」
ユフィは滅多なことでは金翼を発動しない。
それは、出し惜しみしているのではなく、過剰威力になりがちだからだ。
それと、発動のリスクが、余りにも重すぎる。
金翼が無くともSランク下位並には戦えるので、それほど問題は起こらないが。
二人に向かってきた魔物は、時間を掛けずに討伐される。
長年かけて培ってきた二人の連携は、とても強力だった。
「・・・やはり、大したことは無いか。」
「レベルも低そうだったのです!」
どうやら、二人には物足りなかったようだ。
「母さんも、外に出られればいいのだが・・・。」
「お母さんは、里の事を心配し過ぎなのです・・・。」
二人の話題は母親の事へ移っていく。
二人の母親は、以前人間の町へ行っていたこともある。
だが、ここしばらくは、里から殆ど出て居ない。
出る理由が無いと言われれば、それまでなのだが・・・。
「クロトが、いい刺激を与えてくれればいいのだがな・・・。」
「きっと、何かしらの変化はあるのです!」
レフィとユフィは、母親の事を心配しながら、歩みを進める。
目指すは、カラーヴォイス王国王都、ヴォイザード。
レフィとユフィの母親、そしてクロト。
両者の邂逅が、全く予想しなかった方向に転ぶなど。
この時の二人は、欠片も予想しては居なかった。
かくして、クロトが、一つの大きな転換を迎えるときは、着々と迫っていた。
だがしかし、決して案ずることなかれ。
その転換は、誰も不幸にはならないことなのだから。
クロトが目覚めるまで、残り数日の出来事であった。
二人の冒険者が里から出て来たところである。
片方は、レファイス。
Sランク冒険者にして、「悠久」の異名を持つ、数少ないエルフの冒険者。
「それで、解決出来そうな人間に心当たりはあるか?」
「カレンが褒めていたクロトなのです!」
もう片方は、ユフィアス。
こちらもSランク冒険者で、「金翼」の異名を持つ。
当然、エルフだ。
「やはりそうなるか・・・。ユフィはクロトと仲が良かったのか?」
「東国ジャンゼパールで仲良くなったのです!」
「・・・そう言えば、クロトから土産を貰ったな。」
「・・・はっ!?レフィへのお土産を忘れていたのです!」
随分・・・と言う程でも無いが、それなりに前の事を今更思い出したユフィ。
相変わらずのユフィに呆れる、レフィことレファイス。
「そのことは、いい。それより、他に心当たりは無いのか?」
「無いのです!」
「即答か、ユフィ・・・。」
「クロトより頭がいい人間が居たら怖いのです!」
尋ねられたユフィは、そんなことを自信満々に断言した。
「それについては、同感ではあるが・・・。」
ラシアルドの町でのクロトとの模擬戦を思い出して、しみじみと同意したレフィ。
「だとしたら、やはりクロトの元へ向かうしかないか・・・。」
「クロト、引き受けてくれるのです・・・?」
「分からん・・・・・・が、とりあえずは頼んでみるしかない。」
十中八九、世界樹の事を明かせば引き受けてくれると推測はしている。
しかし、如何せん、クロトの行動はレフィにも全く読めない。
明日突然、世界征服に乗り出しても驚かない自信がある。
(万が一そうなったら、クロトの側につくのは決定的だな・・・。)
王都感謝祭で、一時的とはいえ集まったクロトの知人たちを思い浮かべる。
どう考えても、敵対するのはバカバカしいほどの戦力だ。
「そう言えば、クロトは眠っていたはずだが・・・目を覚ます頃か?」
「四十日くらいだとカレンから聞いたのです!」
「ならば、もうそろそろか・・・。とりあえずは王都に向かうか。」
「なのです!」
行き違いにならないよう、王都で待ち構えておこうと決めた二人。
その時、前方から皇帝種の魔物が現れた。
「魔物なのです!」
「肩慣らしに丁度いいか・・・。」
戦闘の準備を始めるレフィとユフィ。
レフィは念のため、ユフィに忠告しておく。
「ユフィ、分かっているとは思うが、金翼は使うなよ?」
「分かっているのです!私もあまり使いたくはないのです!」
ユフィは滅多なことでは金翼を発動しない。
それは、出し惜しみしているのではなく、過剰威力になりがちだからだ。
それと、発動のリスクが、余りにも重すぎる。
金翼が無くともSランク下位並には戦えるので、それほど問題は起こらないが。
二人に向かってきた魔物は、時間を掛けずに討伐される。
長年かけて培ってきた二人の連携は、とても強力だった。
「・・・やはり、大したことは無いか。」
「レベルも低そうだったのです!」
どうやら、二人には物足りなかったようだ。
「母さんも、外に出られればいいのだが・・・。」
「お母さんは、里の事を心配し過ぎなのです・・・。」
二人の話題は母親の事へ移っていく。
二人の母親は、以前人間の町へ行っていたこともある。
だが、ここしばらくは、里から殆ど出て居ない。
出る理由が無いと言われれば、それまでなのだが・・・。
「クロトが、いい刺激を与えてくれればいいのだがな・・・。」
「きっと、何かしらの変化はあるのです!」
レフィとユフィは、母親の事を心配しながら、歩みを進める。
目指すは、カラーヴォイス王国王都、ヴォイザード。
レフィとユフィの母親、そしてクロト。
両者の邂逅が、全く予想しなかった方向に転ぶなど。
この時の二人は、欠片も予想しては居なかった。
かくして、クロトが、一つの大きな転換を迎えるときは、着々と迫っていた。
だがしかし、決して案ずることなかれ。
その転換は、誰も不幸にはならないことなのだから。
クロトが目覚めるまで、残り数日の出来事であった。
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