異世界隠密冒険記

リュース

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第二部「創世神降臨」編

ハーブレラの町

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「それじゃあ、これで決まりということで。」

「ええ。特殊な部隊というのは気になるけど、問題ないわ。」



 ディアナの雇用条件は単純明快。


 普段は冒険者として活動しても問題ないが、ミカゲ財閥の一員となって貰う。

 そして、有事の際は財閥の特殊部隊に加わって働いてもらう。

 給料として、平時は月二十万ゴールドの給料を支払う。

 有事の給料は、状況次第で変わるが、一日一千万は確約。


 ・・・と、これだけだ。


「じゃあ、そういうことで・・・この身分証を持っておくようにね?」


 クロトが渡した身分証を、ディアナは受け取った。


「何々・・・『対神部隊・第八席『ディアナ』』・・・私に何やらせる気なの?」


 ディアナは文字列を見て、恐る恐る尋ねた。


 そんな問いかけに対してクロトは・・・・・・


「さて、契約も終わったし、今日はもう休もうかな。」

「ちょっと待ちなさい!?どういうことかちゃんと説明しなさいよっ!?」


 クロトは意図的にスルーして、転移でディアナ達を部屋へ送り届けたのだった。







「・・・あっ、戻って来ちゃいましたね。」

「クロトっ!説明ぐらいしなさいよっ!」

「ディアナ先輩、叫ぶと迷惑になりますよ?」


 アイシアはディアナを宥める。


「・・・あれ、これは何でしょうか?」

「アイシア?・・・どれのことよ?」


 それは、アイシアにしか認識できないように置かれた、アイシア用の身分証。

 それと一緒に、説明書も。


「えっと・・・『ミカゲ財閥、ディアナ専任誘導員『アイシア』』・・・。」


 仕事内容は、可能な限りディアナの傍に居て、上手く宥める事。




「あの、ディアナ先輩・・・?」


 アイシアが、俯いて何も言わないディアナの心配をする。


 やがて、ばっ、と顔を上げた後、叫んだ。





「クロトっ!!どういう意味よっ、これはっ!?」


 ディアナはクロトの部屋を目指して駆けだした。




「ああっ、待ってください!?先輩にバレたら減給だと説明書にっ・・・!」







「・・・ディアナ、夜這いに来たの?」

「なっ・・・!?違うわよっ!?」


 クロトの部屋に来たは良いが、眠そうなクロトの発言で赤くなるディアナ。


 結局その後、説明書を貰っただけで、いいようにあしらわれたのだった。









 翌日、クロトたち四人は、とある場所へ向かっていた。


「・・・悪いわね、付き合わせて。」

「構わないよ。契約の内なんだから。」

「・・・契約通り。私も問題は無い。」

「私は当然、問題ありませんよ。」



 四人が向かっているのは、快癒の霊泉、という危険地帯の一つ。

 フルーリエの隣町、ハーブレラの町から行くのが一番近い場所である。


 快癒の霊泉自体は危険では無く、良い薬草が沢山生息している。

 ディアナの知人が患っている病も、そこで取れる薬草が必要。


 だが、霊泉へ至るための道は一つしかなく、そこには強い魔物が現れる。

 クロトたちの協力があった方が有難いとのことで、契約に盛り込んだのだ。


 ヴィオラも、ちゃんと対価は貰っている。




 途中に危険な場所も無く、二日ほどでハーブレラの町へ辿り着いた。


「まずは簡単な情報収集からかな。二人一組で行こう。」

「・・・クロト。組み分けは、どうする?」


 クロトは、三人を見回す。

 戦力的には、自分とヴィオラを分けたい。

 またディアナ達に何かあると面倒なので。


「僕とアイシア、ヴィオラとディアナ、かな?」

「・・・了解した。」


 ディアナとアイシアにも異論は無さそうなので、決定。


「じゃ、行動開始。」


 四人は二手に別れて、情報収集を開始した。





 こちらは、クロト&アイシア。


「・・・なるほどね。」

「アイスを食べながら言われても・・・・・・何がなるほどなんですか?」

「ん?アイスは寒い所で食べても美味しくないな、って。」

「情報収集はどうなったんですか・・・。」


 勿論、ちゃんと情報収集もするつもりだ。


「それでご老人、快癒の霊泉について何かご存知の事はありませんか?」

「そうじゃのぅ・・・あそこの湯につかると、体の調子が良くなるぞい?」


 そう言いつつ、クロトに貰った羊羹を食べるご老人。


「体の調子が・・・。何か特別な効能でもあるんでしょうか・・・?」

「さぁてのぅ・・・そこまでは何とも・・・。」

「そうですか・・・。お話ありがとうございました。」

「ありがとうございました。」


 これ以上の情報は出てこないと見て、会話を切り上げたクロトであった。





 一方の、ヴィオラ&ディアナ。


「・・・・・・。」

「・・・・・・。」


 二人の間に話題は無く、黙々と情報を集めていった。


 ヴィオラは会話が無くとも平気だが、ディアナはとても気まずい思いをした。





「そういやぁ、嬢ちゃんが探してる解石草を、以前見たことが・・・。」

「その話、詳しくお願い!」

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