276 / 600
第二部「創世神降臨」編
闇ギルド「人食い花」
しおりを挟む
「・・・えっ?・・・・・・・・・・・・えええええっ!?」
ディアナが大声を上げて驚愕を露わにしている。
そして、自らの体を抱いて後ずさった。
自分から提案しておきながら、今更な反応だが。
「あ、あ、あ、あんたっ!?興味ないと言っておきながら、私を狙って・・・!?」
「うん?まあ、ずっと機会を狙っていたのは間違いないね。」
「な、な、にゃ、にゃにを言って・・・!?一体いつから・・・!?」
「いつからというと・・・王都感謝祭の辺りかな?」
「・・・・・・。」
ディアナは絶句してしまった。
まさか、その頃から狙われていたなど、考えもしていなかったのだ。
自分は既に、クロトのことを好いている訳では無い。
だが、有象無象の相手よりも遥かに良いのは確か。
それこそ、抱かれてしまっても嫌ではないと思えるくらいに。
(あれ・・・?私はいつからクロトを好きで無くなったの・・・?)
懸命に頭の中を探るが、欠片も思い出せない。
クロトは自分には勿体ないくらいのいい男。
それを、何故そんな簡単に諦めることが出来たのか。
その辺りの理由がポッカリ抜け落ちている。
いや、初めからそんなものは存在していないと感じる。
(これは一体、どういうことなの・・・?)
頭を捻っても答えは出ない。
そんな中、クロトがディアナに声を掛ける。
「じゃあ、対価についての詳細を話そうか。」
「っ!?そ、そうね・・・!」
一気に現実に引き戻されて、どもるディアナ。
今はそれどころでは無かったと思い出し、頭を切り替える。
「とりあえず、これに目を通しておいて?僕はすぐに動くから。」
「えっ?ええ・・・ありがとう。」
クロトはディアナに書類を渡すと、さっさと転移して行った。
アイシアが心配なので、この場で抱かれなかった事には安心する。
だが、妙な不満感を覚える。
それはすぐに消え去ったので、渡された書類に目を通す。
「・・・雇用契約書?」
いきなりポカンとしてしまうディアナ。
よくよく考えれば、体を売ったのに、書類というのはおかしい。
数十秒間、必死に理解しようと努め、ようやく分かった。
「・・・・・・ああああっ!?なんて勘違いをしていたのよおおおっ・・・!?」
そう、体を好きにする=雇われる、という意味だと気づいたのだ。
「ッ!ッ!・・・あああっ!?恥ずかしい・・・っ!」
ディアナは真っ赤になって悶え始めたのであった。
その頃クロトは、とある建物に乗り込んで・・・否、乗り込まずに破壊した。
「うわぁぁぁっ!?」
「何だ何だっ!?」
「一体何事だっ!?」
建物に捕まっていたアイシアは既に救出済みなので、遠慮なく再び破壊。
他に捕まっている人は・・・運が悪く無ければ死にはしないだろう。
「またかぁぁぁぁ!?」
「いい加減にしろぉぉぉ!?」
それにしても、嬉々として破壊活動をするクロトは、酷い絵面である。
「待て待て待てぃ!俺様は元Sランク冒険グハッ!?」
「「「「用心棒が一撃でやられたっ!?」」」
名乗ろうとしていた男が居たが、面倒という理由で瞬殺したクロト。
ちなみに、片手間に石を投げるだけという適当具合であった。
目の前にある壊れかけの建物を見たクロトは・・・。
「・・・さらに破壊で。」
「「「「「鬼かっ!?」」」」」
こうして、闇ギルド「人食い花」のアジトは壊滅した。
「鬼とは失敬な。周囲に被害が出ないように、加減してあげたのにね・・・。」
瓦礫に押しつぶされた構成員は、遠のく意識の中、こう思った。
それは絶対、優しさとは言わない。
「アイシアは・・・何もされていないね。ディアナの迅速さが吉と出たか。」
「あ、はい・・・。助けて頂いてありがとうございました、クロトさん。」
「お礼はいらないよ?ディアナから対価を貰っているからね。」
「対価、ですか・・・?」
アイシアはそちらについても気になったようだが、今は目先の問題。
「あの、私の隣にいる方はどちら様で・・・?」
「この子?ウチの従業員だよ。さっき攫われたから、一緒に助けたんだよね。」
「かかか会長様でしたかっ!大変お手数をお掛けして・・・!」
「気にしないで?従業員を守るのも、僕の役目だから。」
ディアナとの話の最中、財閥幹部のネクトからクロトに連絡が入った。
フルーリエの町で活動するミカゲ財閥系列店の従業員が攫われた、と。
クロトがすぐに動いたのには、そういう理由があったのだ。
ちなみに、警備隊長ネクトは、現在シレーマの町で職務中。
やはり、幹部クラスともなれば、凄い人材の集まりのようだ。
ディアナが大声を上げて驚愕を露わにしている。
そして、自らの体を抱いて後ずさった。
自分から提案しておきながら、今更な反応だが。
「あ、あ、あ、あんたっ!?興味ないと言っておきながら、私を狙って・・・!?」
「うん?まあ、ずっと機会を狙っていたのは間違いないね。」
「な、な、にゃ、にゃにを言って・・・!?一体いつから・・・!?」
「いつからというと・・・王都感謝祭の辺りかな?」
「・・・・・・。」
ディアナは絶句してしまった。
まさか、その頃から狙われていたなど、考えもしていなかったのだ。
自分は既に、クロトのことを好いている訳では無い。
だが、有象無象の相手よりも遥かに良いのは確か。
それこそ、抱かれてしまっても嫌ではないと思えるくらいに。
(あれ・・・?私はいつからクロトを好きで無くなったの・・・?)
懸命に頭の中を探るが、欠片も思い出せない。
クロトは自分には勿体ないくらいのいい男。
それを、何故そんな簡単に諦めることが出来たのか。
その辺りの理由がポッカリ抜け落ちている。
いや、初めからそんなものは存在していないと感じる。
(これは一体、どういうことなの・・・?)
頭を捻っても答えは出ない。
そんな中、クロトがディアナに声を掛ける。
「じゃあ、対価についての詳細を話そうか。」
「っ!?そ、そうね・・・!」
一気に現実に引き戻されて、どもるディアナ。
今はそれどころでは無かったと思い出し、頭を切り替える。
「とりあえず、これに目を通しておいて?僕はすぐに動くから。」
「えっ?ええ・・・ありがとう。」
クロトはディアナに書類を渡すと、さっさと転移して行った。
アイシアが心配なので、この場で抱かれなかった事には安心する。
だが、妙な不満感を覚える。
それはすぐに消え去ったので、渡された書類に目を通す。
「・・・雇用契約書?」
いきなりポカンとしてしまうディアナ。
よくよく考えれば、体を売ったのに、書類というのはおかしい。
数十秒間、必死に理解しようと努め、ようやく分かった。
「・・・・・・ああああっ!?なんて勘違いをしていたのよおおおっ・・・!?」
そう、体を好きにする=雇われる、という意味だと気づいたのだ。
「ッ!ッ!・・・あああっ!?恥ずかしい・・・っ!」
ディアナは真っ赤になって悶え始めたのであった。
その頃クロトは、とある建物に乗り込んで・・・否、乗り込まずに破壊した。
「うわぁぁぁっ!?」
「何だ何だっ!?」
「一体何事だっ!?」
建物に捕まっていたアイシアは既に救出済みなので、遠慮なく再び破壊。
他に捕まっている人は・・・運が悪く無ければ死にはしないだろう。
「またかぁぁぁぁ!?」
「いい加減にしろぉぉぉ!?」
それにしても、嬉々として破壊活動をするクロトは、酷い絵面である。
「待て待て待てぃ!俺様は元Sランク冒険グハッ!?」
「「「「用心棒が一撃でやられたっ!?」」」
名乗ろうとしていた男が居たが、面倒という理由で瞬殺したクロト。
ちなみに、片手間に石を投げるだけという適当具合であった。
目の前にある壊れかけの建物を見たクロトは・・・。
「・・・さらに破壊で。」
「「「「「鬼かっ!?」」」」」
こうして、闇ギルド「人食い花」のアジトは壊滅した。
「鬼とは失敬な。周囲に被害が出ないように、加減してあげたのにね・・・。」
瓦礫に押しつぶされた構成員は、遠のく意識の中、こう思った。
それは絶対、優しさとは言わない。
「アイシアは・・・何もされていないね。ディアナの迅速さが吉と出たか。」
「あ、はい・・・。助けて頂いてありがとうございました、クロトさん。」
「お礼はいらないよ?ディアナから対価を貰っているからね。」
「対価、ですか・・・?」
アイシアはそちらについても気になったようだが、今は目先の問題。
「あの、私の隣にいる方はどちら様で・・・?」
「この子?ウチの従業員だよ。さっき攫われたから、一緒に助けたんだよね。」
「かかか会長様でしたかっ!大変お手数をお掛けして・・・!」
「気にしないで?従業員を守るのも、僕の役目だから。」
ディアナとの話の最中、財閥幹部のネクトからクロトに連絡が入った。
フルーリエの町で活動するミカゲ財閥系列店の従業員が攫われた、と。
クロトがすぐに動いたのには、そういう理由があったのだ。
ちなみに、警備隊長ネクトは、現在シレーマの町で職務中。
やはり、幹部クラスともなれば、凄い人材の集まりのようだ。
0
お気に入りに追加
6,336
あなたにおすすめの小説
異世界転生、防御特化能力で彼女たちを英雄にしようと思ったが、そんな彼女たちには俺が英雄のようだ。
Mです。
ファンタジー
異世界学園バトル。
現世で惨めなサラリーマンをしていた……
そんな会社からの帰り道、「転生屋」という見慣れない怪しげな店を見つける。
その転生屋で新たな世界で生きる為の能力を受け取る。
それを自由イメージして良いと言われた為、せめて、新しい世界では苦しまないようにと防御に突出した能力をイメージする。
目を覚ますと見知らぬ世界に居て……学生くらいの年齢に若返っていて……
現実か夢かわからなくて……そんな世界で出会うヒロイン達に……
特殊な能力が当然のように存在するその世界で……
自分の存在も、手に入れた能力も……異世界に来たって俺の人生はそんなもん。
俺は俺の出来ること……
彼女たちを守り……そして俺はその能力を駆使して彼女たちを英雄にする。
だけど、そんな彼女たちにとっては俺が英雄のようだ……。
※※多少意識はしていますが、主人公最強で無双はなく、普通に苦戦します……流行ではないのは承知ですが、登場人物の個性を持たせるためそのキャラの物語(エピソード)や回想のような場面が多いです……後一応理由はありますが、主人公の年上に対する態度がなってません……、後、私(さくしゃ)の変な癖で「……」が凄く多いです。その変ご了承の上で楽しんで頂けると……Mです。の本望です(どうでもいいですよね…)※※
※※楽しかった……続きが気になると思って頂けた場合、お気に入り登録……このエピソード好みだなとか思ったらコメントを貰えたりすると軽い絶頂を覚えるくらいには喜びます……メンタル弱めなので、誹謗中傷てきなものには怯えていますが、気軽に頂けると嬉しいです。※※
マスターズ・リーグ ~傭兵王シリルの剣~
ふりたけ(振木岳人)
ファンタジー
「……あの子を、シリルの事を頼めるか? ……」
騎士王ボードワンが天使の凶刃に倒れた際、彼は実の息子である王子たちの行く末を案じたのではなく、その後の人類に憂いて、精霊王に「いわくつきの子」を託した。
その名はシリル、名前だけで苗字の無い子。そして騎士王が密かに育てようとしていた子。再び天使が地上人絶滅を目的に攻めて来た際に、彼が生きとし生ける者全ての希望の光となるようにと。
この物語は、剣技にも魔術にもまるで秀でていない「どん底シリル」が、栄光の剣を持って地上に光を与える英雄物語である。
異世界営生物語
田島久護
ファンタジー
相良仁は高卒でおもちゃ会社に就職し営業部一筋一五年。
ある日出勤すべく向かっていた途中で事故に遭う。
目覚めた先の森から始まる異世界生活。
戸惑いながらも仁は異世界で生き延びる為に営生していきます。
出会う人々と絆を紡いでいく幸せへの物語。
半分異世界
月野槐樹
ファンタジー
関東圏で学生が行方不明になる事件が次々にしていた。それは異世界召還によるものだった。
ネットでも「神隠しか」「異世界召還か」と噂が飛び交うのを見て、異世界に思いを馳せる少年、圭。
いつか異世界に行った時の為にとせっせと準備をして「異世界ガイドノート」なるものまで作成していた圭。従兄弟の瑛太はそんな圭の様子をちょっと心配しながらも充実した学生生活を送っていた。
そんなある日、ついに異世界の扉が彼らの前に開かれた。
「異世界ガイドノート」と一緒に旅する異世界
男女比1/100の世界で《悪男》は大海を知る
イコ
ファンタジー
男女貞操逆転世界を舞台にして。
《悪男》としてのレッテルを貼られたマクシム・ブラックウッド。
彼は己が運命を嘆きながら、処刑されてしまう。
だが、彼が次に目覚めた時。
そこは十三歳の自分だった。
処刑されたことで、自分の行いを悔い改めて、人生をやり直す。
これは、本物の《悪男》として生きる決意をして女性が多い世界で生きる男の話である。
攫われた転生王子は下町でスローライフを満喫中!?
伽羅
ファンタジー
転生したのに、どうやら捨てられたらしい。しかも気がついたら籠に入れられ川に流されている。
このままじゃ死んじゃう!っと思ったら運良く拾われて下町でスローライフを満喫中。
自分が王子と知らないまま、色々ともの作りをしながら新しい人生を楽しく生きている…。
そんな主人公や王宮を取り巻く不穏な空気とは…。
このまま下町でスローライフを送れるのか?
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~
甲賀流
ファンタジー
なんの特徴もない高校生の高橋 春陽はある時、異世界への繋がるダンジョンに迷い込んだ。なんだ……空気中に星屑みたいなのがキラキラしてるけど?これが全て魔力だって?
そしてダンジョンを突破した先には広大な異世界があり、この世界全ての魔力を行使して神や魔族に挑んでいく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。