異世界隠密冒険記

リュース

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第二部「創世神降臨」編

生命の土塊

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 クロトはヴィオラを起こそうと試みるも、中々起きてくれない。


 そこで、クロトはヴィオラにキスをした。


「・・・んぅ、んん・・・うぁ・・・ぁん・・・・・・っ!?」


 ヴィオラはようやく目を覚ましたが、クロトは止まらない。

 更に舌を絡めていき、ヴィオラを喘がせる。


 ヴィオラは、碌に抵抗できずに為されるがままになったのだった。






「・・・クロト、大胆だった。」

「ヴィオラを起こすだけのつもりだったんだけど、ね・・・?」

「・・・やり過ぎ感は否めない。」

「ヴィオラが可愛過ぎて、つい・・・。」

「・・・むぅ。」


 そんなことを言われてしまっては、文句など言えなくなるヴィオラ。


「・・・それで、何をしている?」

「うん?少しだけ土を貰おうかと思ってね。」


 クロトは花畑の中心にある土を、少しだけ頂いて収納。


 すでに解析済みであり、名称は、生命の土塊。


 土塊からは、強い生命力を感じる。

 中心部にあった土塊が、花畑の秘密だったようだ。


 ちゃんと、少し頂いても花畑に影響が出ないことは、確認済みである。


 それと、もう一つ気になる事が・・・。


「ヴィオラ、あそこの部分だけ花が咲いてないのは、おかしいと思わない?」


 クロトが指さしたのは、木とは反対の端にある、十センチ四方の場所。


「・・・?それほど不自然とは思わない。」

「なるほど。やっぱり何らかの隠蔽が掛かっているのかもね。」


 違和感を覚えないことに違和感を持ったクロトは、ヴィオラにも尋ねたのだ。

 そして、ヴィオラの返答を聞いて、何かあると確信した。


「そんな訳で、夜中まで待ってみようか。丁度昼寝もしたところだし。」

「・・・了解した。」








 それから十時間ほど経って、時刻は深夜。

 花の咲いていない場所に、変化が表れる。



 ・・・月の光を浴びて、一輪の花が咲き誇った。



 名称、太陽と月の生命花。



「・・・隠蔽の効果は、月の色が強いのかな?」

「・・・クロトの月影神の龍剣も、近い効果がある。」

「月の方も気になるけど、今は後回しだね。」


 クロトは一輪だけの花を有難く積ませて貰う。


「・・・さて、用も済んだし帰ろうか。」

「・・・そうしたい。少しだけ眠くなってきたからな。」


 ヴィオラは目を擦りながら賛同した。


「昼間あれだけ寝たのに、ヴィオラは猫みたいで可愛いね。」

「・・・猫ではない。」


 二人は仲良く談笑しながら、町へ帰って行った。





「ところで、可愛い、という部分は否定しないんだ?」

「・・・っ!?違う、そんなつもりでは・・・!私は、可愛くなど・・・!」

「可愛いよ?まあ、仮に可愛くなくとも、変わらずに愛し続けるけどね。」

「・・・むぅぅぅぅっ!」


 ヴィオラは、クロトに可愛いと連呼され、とても可愛く唸ったのであった。









「そう言えば、魔力云々の話はなんだったのかな?」

「・・・ッ!」











 その日から数日休んで、生活リズムも元に戻ったある日。


 クロトの元に面倒ごとが持ち込まれた。




「お願いクロト、力を貸して!」

「随分と焦って・・・。相当困っているみたいだね、ディアナ?」

「そうなのよ・・・!実は・・・・・・・・・・・・ということがあって。」

「うん、面倒だからお断りで。」

「そこをなんとかっ!」




 ディアナの話を要約すると、実に面倒な予感のするお願い事だった。


 ディアナが、かつてフルーリエの町に住んでいたのは知っての通り。

 この町に居た知人を訪ねて行ったところ、なんと行方不明となっていた。


 その知人は妙な組織に捕まっていて、それを取り戻したは良いが、更に問題が。

 知人が重い病気にかかっており、薬が必要と判明。


 アイシアと手分けして薬の情報収集をしていた所、今度はアイシアが行方不明。

 待ち合わせの時間に、待ち合わせの場所へ来なかったらしい。


 それが、つい先ほどの事。

 最後にアイシアを見掛けたのが三十分前。


 状況から鑑みるに、捜索は急を要すると判断して、クロトに助けを求めに来た。



 これを、面倒ごとと言わずして、何と言うのか。



「うん、やっぱりお断りで。面倒ごとは御免なんだ。」

「お願いよっ!私で良ければ何でもするからっ!」


 ディアナは頭を下げて頼み込んで来るが、クロトは冷たい目で見つめる。


「何でもすると言っても、君に僕を動かせる対価なんて無いよね?」

「それは・・・また封印?の件で協力を・・・。」

「前回、これからの協力も惜しまないという条件で契約したよね?」


 クロトに否定されたディアナは必死で考える。

 だが、SSランク冒険者にしてミカゲ財閥会長を動かせる対価など思いつかない。


 かくなる上は、自分の目玉を抉り出そうかと考えた。

 特殊なスキルを宿した瞳は、それなりに貴重なものになるはず。


 勿論、途轍もなく怖いし、考えただけで体が震えてくる。

 しかしそれでも、アイシアが酷い目に合うよりはマシ。


 そう思考して提案しようとするが、その前に。

 ダメもとで別の提案をしてみた。


「なら・・・私の体を好きにしてもいいわ。」


 ディアナは、クロトに鼻で笑われてもおかしくないと思ったのだが・・・。






「ん、いいよ。その条件で引き受けた。」

「・・・えっ?・・・・・・・・・・・・えええええっ!?」

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