異世界隠密冒険記

リュース

文字の大きさ
上 下
260 / 600
第二部「創世神降臨」編

旅の続きへ

しおりを挟む
 分身がウーズを始末出来たのを確認したクロト。

 絶対遮断の派生項目、絶対圧縮も試せたので、万々歳だ。


「それじゃあ、王都へ送るから。後はそこに居る従業員に聞いてね?」

「はい、分かりました!」





 クロトはファーナを王都へ送り、戻って来た。

 ファーナの家は、放置するのも勿体ないので、収納行きに。



「さて・・・旅を続けようか。」

「ん・・・。」

「キュキュ!」

「ピューイ!」


 そして、二人と二匹の旅が再開された。









 次に目指すのは、ファーナから聞いていた、ブルースの町。

 ファーナの母親が、以前住んでいた町だそうだ。


 ブルースの町の次は、ダクブレアの町、そして毒雨の都となる。





「双子山・・・?」

「うむ。かなり前の話になるが、そう呼ばれておったんじゃよ。」


 途中で通りかかった乗合馬車に乗せて貰った二人。

 その馬車に乗っていた乗客の老人から、そんな情報を入手した。


「その話、初めて聞きましたね・・・。」

「若い者は知らなくても無理はなかろう。何分、昔の事じゃからの。」

「ん・・・。今は、ただの山・・・としか・・・?」

「そうじゃよ。いつの頃からか、双子山とは呼ばれなくなってしもうた。」


 そう言って、少しだけ、時の流れを悲しむような表情を見せる老人。


 双子と聞いてピンとくるものがあったクロト。

 財閥の情報収集では手に入らなかった情報だった。


「貴重なお話を聞かせて頂いて、ありがとうございました。」

「ん・・・。ありが、とう・・・おじい、ちゃん・・・。」

「ふぉっふぉっふぉっ。気にするでないよ、楽しく話させて貰ったからの。」


 思わぬところで思わぬ情報を手に入れて、クロトは喜んだ。

 亀の甲より年の功、とは、よくいったものだ。







 ブルースの町で老人と別れ、早速、双子山へ向かう。

 するとそこは、同じ大きさで、とても小さな二つの山が。


 周囲を捜してみると、やはり隠蔽された転移魔法陣が存在した。


「あった・・・。年寄りの知識は侮れないね・・・。」

「ん・・・。」


 二人は馬車の老人に感謝しつつ、魔法陣に乗った。



 転移先には黄道の迷宮。

 紋章とレリーフは、双子。


 ボスは、星十二天「双子」。

 レアスキル「双子の摂理」と「ダブルアップ」を保持。

 能力値は平均的で、2000ずつ。


 レアスキル「双子の摂理」は、己の存在を二つに分けることが可能。

 その際、能力値を二倍にして再分配可能。

 今回の場合、元の能力値合計の二倍、約16000を分配できる。

 切り札として、MPを全て消費し、相手の能力値をコピーする。


 レアスキル「ダブルアップ」は、能力値を二倍にするスキル。

 双子の片割れにもかけることで、最大四倍の能力値上昇になる。




「エメラ、スキルの破壊は無しで行こう。」

「ん・・・。頼って、ばかり、は・・・危険、だから・・・?」

「そういうこと。使わなくても、勝てるはずだから。」

「ん・・・。了解・・・。」


 エメラの「風雷神剣・万断」は強すぎる。

 その分、乱用は控えなければ、戦闘技術が落ちて危険。


 そんなクロトの意図をすぐさま読み取ったエメラは、それを承諾。

 クロトの作戦に耳を傾けるのだった。


 二人は、幾らか質疑応答をした後、ボス戦に挑んだ。







 戦闘開始と同時に、双子は文字通り、双子になった。

 以後、双子Aと双子Bと呼称。


 能力値の分配は、Aが若干物理寄りで、Bが若干魔法寄り。

 悪くない選択ではある。

 極振りにするのは、並大抵の覚悟では出来ないだろう。

 特に、機動力のある前衛が二人居るのだから。


 クロトとエメラは前衛、リュノアとフェニアは後衛で戦う。

 フェニアは能力値が低いので、リュノアの防御に専念する。


 クロトは予定通り、物理寄りの双子Aに接敵。

 能力値はクロトの方が高く、剣戟はクロト優勢。


 エメラは風を操って魔法を跳ね返しながら、魔法寄りのBに接敵。

 両者の平均能力値はほぼ同じだが、接近戦のため、エメラ優勢。


 双子は状況の悪さを感じて、いきなり切り札を切ってくる。

 能力の再分配を行い、全ての能力値をBへ移動。

 そしてAは、1だけ残ったMPを消費し、クロトの能力値をコピー。

 更にダブルアップを発動し、AとBの能力値が四倍になった。


 Aの能力値はクロトの二倍である平均12000ほど。

 Bの能力値は平均16000で、やはり魔法寄り。


 この段階でクロトは、光輪と闇輪を生成。

 Aは平均6000へ、Bは平均8000へ。

 クロトは平均5000ほどで、エメラは平均4000ほどに。


 エメラは模倣の鏡を用いて能力値100%上昇で、平均8000になった。



 再び、どちらの戦いもクロトたち優勢になった。

しおりを挟む
感想 1,172

あなたにおすすめの小説

異世界転生、防御特化能力で彼女たちを英雄にしようと思ったが、そんな彼女たちには俺が英雄のようだ。

Mです。
ファンタジー
異世界学園バトル。 現世で惨めなサラリーマンをしていた…… そんな会社からの帰り道、「転生屋」という見慣れない怪しげな店を見つける。 その転生屋で新たな世界で生きる為の能力を受け取る。 それを自由イメージして良いと言われた為、せめて、新しい世界では苦しまないようにと防御に突出した能力をイメージする。 目を覚ますと見知らぬ世界に居て……学生くらいの年齢に若返っていて…… 現実か夢かわからなくて……そんな世界で出会うヒロイン達に…… 特殊な能力が当然のように存在するその世界で…… 自分の存在も、手に入れた能力も……異世界に来たって俺の人生はそんなもん。 俺は俺の出来ること…… 彼女たちを守り……そして俺はその能力を駆使して彼女たちを英雄にする。 だけど、そんな彼女たちにとっては俺が英雄のようだ……。 ※※多少意識はしていますが、主人公最強で無双はなく、普通に苦戦します……流行ではないのは承知ですが、登場人物の個性を持たせるためそのキャラの物語(エピソード)や回想のような場面が多いです……後一応理由はありますが、主人公の年上に対する態度がなってません……、後、私(さくしゃ)の変な癖で「……」が凄く多いです。その変ご了承の上で楽しんで頂けると……Mです。の本望です(どうでもいいですよね…)※※ ※※楽しかった……続きが気になると思って頂けた場合、お気に入り登録……このエピソード好みだなとか思ったらコメントを貰えたりすると軽い絶頂を覚えるくらいには喜びます……メンタル弱めなので、誹謗中傷てきなものには怯えていますが、気軽に頂けると嬉しいです。※※

マスターズ・リーグ ~傭兵王シリルの剣~

ふりたけ(振木岳人)
ファンタジー
「……あの子を、シリルの事を頼めるか? ……」  騎士王ボードワンが天使の凶刃に倒れた際、彼は実の息子である王子たちの行く末を案じたのではなく、その後の人類に憂いて、精霊王に「いわくつきの子」を託した。 その名はシリル、名前だけで苗字の無い子。そして騎士王が密かに育てようとしていた子。再び天使が地上人絶滅を目的に攻めて来た際に、彼が生きとし生ける者全ての希望の光となるようにと。  この物語は、剣技にも魔術にもまるで秀でていない「どん底シリル」が、栄光の剣を持って地上に光を与える英雄物語である。

異世界営生物語

田島久護
ファンタジー
相良仁は高卒でおもちゃ会社に就職し営業部一筋一五年。 ある日出勤すべく向かっていた途中で事故に遭う。 目覚めた先の森から始まる異世界生活。 戸惑いながらも仁は異世界で生き延びる為に営生していきます。 出会う人々と絆を紡いでいく幸せへの物語。

半分異世界

月野槐樹
ファンタジー
関東圏で学生が行方不明になる事件が次々にしていた。それは異世界召還によるものだった。 ネットでも「神隠しか」「異世界召還か」と噂が飛び交うのを見て、異世界に思いを馳せる少年、圭。 いつか異世界に行った時の為にとせっせと準備をして「異世界ガイドノート」なるものまで作成していた圭。従兄弟の瑛太はそんな圭の様子をちょっと心配しながらも充実した学生生活を送っていた。 そんなある日、ついに異世界の扉が彼らの前に開かれた。 「異世界ガイドノート」と一緒に旅する異世界

【完】真実をお届け♪※彷徨うインベントリ※~ミラクルマスターは、真実を伝えたい~

桜 鴬
ファンタジー
スキル無限収納は、別名を亜空間収納といわれているわ。このスキルを所持する人間たちは、底無しとも言われる収納空間を利用出来るの。古の人間たちは誰もが大気中から体内へ無限に魔力を吸収巡回していた。それ故に誰もが亜空間を収納スペースとして利用していた。だけどそれが当たり前では無くなってしまった。それは人間の驕りからきたもの。 やがて………… 無限収納は無限では無く己の魔力量による限りのある収納となり、インベントリと呼ばれるようになった。さらには通常のスキルと同じく、誰もが使えるスキルでは無くなってしまった……。 主を亡くしたインベントリの中身は、継承の鍵と遺言により、血族にのみ継承ができる。しかし鍵を作るのは複雑て、なおかつ定期的な更新が必要。 だから…… 亜空間には主を失い、思いを託されたままの無数のインベントリが……あてもなく……永遠に……哀しくさ迷っている………… やがてその思いを引き寄せるスキルが誕生する。それがミラクルマスターである。 なーんちゃってちょっとカッコつけすぎちゃった。私はミラクルマスター。希少なスキル持ちの王子たちをサポートに、各地を巡回しながらお仕事してまーす!苺ケーキが大好物だよん。ちなみに成人してますから!おちびに見えるのは成長が遅れてるからよ。仕方ないの。子は親を選べないからね。あ!あのね。只今自称ヒロインさんとやらが出没中らしいの。私を名指しして、悪役令嬢だとわめいているそう。でも私は旅してるし、ミラクルマスターになるときに、王族の保護に入るから、貴族の身分は捨てるんだよね。どうせ私の親は処刑されるような罪人だったから構わない。でもその悪役令嬢の私は、ボンキュッボンのナイスバディらしい。自称ヒロインさんの言葉が本当なら、私はまだまだ成長する訳ですね!わーい。こら!頭撫でるな!叩くのもダメ!のびなくなっちゃうー!背はまだまだこれから伸びるんだってば! 【公開予定】 (Ⅰ)最後まで優しい人・㊤㊦ (Ⅱ)ごうつくばりじいさん・①~⑤ (Ⅲ)乙女ゲーム・ヒロインが!転生者編①~⑦ 短編(数話毎)読み切り方式。(Ⅰ)~(Ⅲ)以降は、不定期更新となります<(_ _*)>

男女比1/100の世界で《悪男》は大海を知る

イコ
ファンタジー
男女貞操逆転世界を舞台にして。 《悪男》としてのレッテルを貼られたマクシム・ブラックウッド。 彼は己が運命を嘆きながら、処刑されてしまう。 だが、彼が次に目覚めた時。 そこは十三歳の自分だった。 処刑されたことで、自分の行いを悔い改めて、人生をやり直す。 これは、本物の《悪男》として生きる決意をして女性が多い世界で生きる男の話である。

攫われた転生王子は下町でスローライフを満喫中!?

伽羅
ファンタジー
 転生したのに、どうやら捨てられたらしい。しかも気がついたら籠に入れられ川に流されている。  このままじゃ死んじゃう!っと思ったら運良く拾われて下町でスローライフを満喫中。  自分が王子と知らないまま、色々ともの作りをしながら新しい人生を楽しく生きている…。 そんな主人公や王宮を取り巻く不穏な空気とは…。 このまま下町でスローライフを送れるのか?

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。