異世界隠密冒険記

リュース

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第二部「創世神降臨」編

フェニアを召喚

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 無事に全精霊不死鳥『フェニア』と契約を結ぶことが出来たエメラ。


 そこへ、住人である男が声を掛けて来た。


「な、なあ・・・大丈夫なのか?魔物なんだよな、そいつは。」

「ええ、大丈夫ですよ。召喚契約も結びましたから、人に危害は加えません。」


 クロトが安全だということを伝えると、今度は別の男性が疑問を投げかける。


「だがよ、そんな話は聞いたことが無いぜ・・・?」

「そうでしょうね。初めて使いましたから。」

「おいおい・・・本当に大丈夫なのかよ?」


 周囲の住人達も不安そうにしている。

 そこで、デモンストレーションを行うことにしたクロト。


「エメラ、フェニアを召喚石の中に帰還させてみて?」

「ん・・・。フェニア、帰還・・・して?」

「ピュイ!」


 フェニアが鳴き声を上げて応じた瞬間、その姿が掻き消えた。


「「「消えたっ!?」」」


 消えたところを見た人は、一様に驚いている。


「次は、召喚をお願い。文言は教えた通りに。」

「ん・・・。求めに、応じて、現れ出でよ・・・『召喚・フェニア』。」

「・・・ピュイッ!」


 召喚石が光り、一瞬の後、フェニアが現れた。


「「「今度は現れたっ!?」」」

「ピュイピュイ!」


 そして、エメラの肩に止まる。

 その過程で、フェニアが飛んだ場所に七色の光が描かれ、虹のようになった。


「「「「「おおおおおーっ!!」」」」」


 みんな、綺麗な虹に感嘆の声を上げた。


「・・・とまあ、こんな具合に。様々な事に配慮はしてありますのでご安心を。」


 住人たちは、顔を見合わせて、反応を決めかねている。

 そこで、クロトが最後の一押し。


「何かあっても、僕が対応しますので。ミカゲ財閥までご一報ください。」


 ギルドカードを見せながら、そう告げた。


「SSランクっ!?」

「ミカゲ財閥って、あのミカゲ財閥か!?」

「なるほど、それなら安心できるわね。」

「SSランク冒険者「深淵」の言葉となれば、問題はなさそうだな。」


 そんな訳で、住人たちからは受け入れられたのだった。

 この辺りの風潮に助けられた形だが、始めはこんなもの。

 徐々に広まって、認められればいいのだ。



 後日の話。

 クロトは部下に、そろそろ召喚契約魔法陣の宣伝をするよう、指示を出した。


 指示を受けた後、担当の者が中心となって、宣伝を開始。

 ほんの少しずつだが、人々に受け入れられるようになっていった。


 財閥が、これまで功績を積み重ねて来たゆえに、この浸透の速さなのだろう。







「ピュイ・・・。」

「・・・エメラ、なんて言っているの?」

「ん・・・。再誕、の・・・タイミング、を・・・間違えた、みたい・・・。」


 無限再誕は、スキルレベルが上がるほど、待機可能時間が長くなる。

 勿論、いつ再誕しても良いのだが、状況を選べるということだ。

 そしてフェニアは、そのタイミングに失敗した、と。


 町を歩くエメラの肩に乗りながら、過去を悔やむ様子のフェニア。

 まさに、一生の不覚、といった雰囲気だ。


 とりあえず、早急に一つレベルを上げたのだが、上昇率は平均9。

 初期のリュノアに迫る成長率となっている。


 そんな訳で、リュノアも収納から登場。


「ピュイ!?」

「キュキュ!」


 リュノアの登場にフェニアが驚愕している。

 同じ魔物として、創世種の格の違いを感じたのかもしれない。


 リュノアは驚くフェニアにはお構いなしに突撃。


「ピュイピュイッ!?」

「・・・キュ?」


 避けられてしまったリュノアは悲しげな声だ。

 良心が咎めた様子のフェニアは、リュノアに近づき、頭の上に乗った。


「・・・・・・ピュイ。」

「キュッ!」

「ピュイ・・・!」

「キュイ、キュキュイ!」


 何故か言葉は通じるようで、直ぐに仲良くなった。

 喧嘩にならなくて、胸を撫でおろしたクロトとエメラ。


 しばらく戯れた後、リュノアは収納へ、フェニアは召喚石へ、戻った。




 クロトとエメラはブライア高山を登ってみたが、特別なことは起こらず終い。


「情報通り、何も無いみたいだね。」

「ん・・・。でも、景色、は・・・綺麗、だよ・・・?」


 エメラの言う通り、明け方に太陽が昇る景色は、中々悪くない。


「エメラ、少しこっちを向いて?」

「ん・・・?どうし、たの・・・クロんむっ・・・!?」


 クロトはエメラにキスをした。

 少しだけ、気分が昂っていたようだ。


 だが、それはエメラも同様なのか、驚きはしたが、情熱的に舌を絡める。


「んんっ・・・んあ・・・んんん・・・!」


 二人のキスは、明け方が終わるまで続いた。

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