異世界隠密冒険記

リュース

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第二部「創世神降臨」編

星十二天「双魚」

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 クロトは現在、海中にある転移魔法陣の前に居る。

 相当分かり辛い場所にあり、よく見つけてくれたものだと感嘆する。


「クロトさん、一緒に行くのは私だけでよろしいのですか?」

「ああ、この先は海底らしくて、十全に動ける人間は限られるからね。」


 海中でも普通に会話できる二人にしか、まともに戦うことはできないだろう。

 わざわざアーティファクトを使う必要も無いと感じての人選だ。


 クロトとアクアは軽く頷き合って、同時に魔法陣へ乗った。







「予想通り、魚、か・・・。」

「魚、ですね・・・。」


 紋章とレリーフは、魚。

 そうだろうと予想していたが、大正解だったようだ。


 敵は、星十二天「双魚」。

 能力値は平均的で、2000前後。

 レアスキル「双魚の摂理」と「完全水中機動」

 双魚ではあるが、一体だけ。


 レアスキル「双魚の摂理」は、水中において全能力値五倍。

 切り札として、MPを全て消費することで、大渦を発生させることが可能。

 この大渦は、挑戦者ををダンジョン外へ排出することもできる。

 排出後は、大渦により、再侵入が困難に。


 レアスキル「完全水中機動」は、水中にて速力二倍。

 さらに、水中での行動全体に補正がかかる。


 その能力値は、速力が二万、他が一万となるだろう。




「アクア、行けそう?」

「はい。特殊な力場の解析も終わりましたので、ここの水も操れます。」

「さすがアクア。それなら楽勝だね。」


 クロトは珍しく楽観的になっている。

 だが、それも当然の事かもしれない。




 ボス部屋に入って十秒後、ボスである魚の討伐が確認された。




 作戦は簡単。

 ボス部屋に入ってすぐ、アクアが部屋内にあった水を操る。

 魚の周辺から水を奪い、魚は文字通り、陸に打ち上げられた魚状態に。

 水の中では無いので、能力値は2000まで下降。


 そして、その水を用いて、アクアが魔法を使用。

 空間切断を纏った「水神魔法・神氷大刃」により、魚は捌かれた。

 空間切断を使えるのは、アクアが天の叡智を獲得しているからだ。


 かくして、クロトの出番すら無く、討伐は完了。

 クロト単体でまともに戦えば、かなりの強敵なのだが、相手が悪かった。






 手に入ったアーティファクトはアクアへ。


 名称・ピスケスの鱗

 所持者の能力値を二倍にし、水中での行動に補正がかかる。

 所持者の半径一メートル以内の空間に、その体積を超える水があることが条件。

 アイテムボックス内の水では不可。


 中々に困難な条件だが、アクアは楽々とクリア。

 水を自由自在に操るアクアからすれば、余りにも簡単過ぎる。

 いや、それ以前の問題があった。


「どうやら、私自身が水と見なされているのだと思います。」

「アクア自身が?水神魔法の効果かな・・・?」

「ええ、恐らくは。その線で少し研究してみます。」


 アクアはまだまだ、強くなるつもりのようだ。

 その慢心知らずは、クロト譲りかもしれない。










 アクアと別れたクロトは、ある推測を立てていた。

 即ち、転移魔法陣の存在する場所に法則性があるのではないか、と。


 水瓶と双魚は、水関連の場所に。

 獅子は、森の近くに。

 牡牛は、森の中の開けた草原に。

 巨蟹は、岩場?らしき場所に。

 射手は、火口の中に。


 それぞれ、その動物をイメージして然るべき場所である。

 唯一、射手だけは不明。

 射手座と言えば、クロトは赤を思い出すのだが・・・関連は不明。


 残る星座は、乙女、蠍、山羊、天秤、双子、羊、の六種。


 クロトは、それぞれのイメージを思い浮かべ、魔法陣のある場所を推測。

 特に、本命である蠍については、熱心に。

 なぜ本命が蠍なのかは、その時が来れば分かるだろう。




 推測し終えた後、魔法存在をそれらの場所へ、大量に派遣した。

 これで、少しは調査が進むと思われる。


(ただ・・・砂漠は苦戦するよね、間違いなく。)


 クロトは、蠍でイメージした砂漠の捜索をする魔法存在たちに、黙祷を捧げた。


 だだっ広い砂漠で小さな魔法陣を捜すのは、さぞ骨が折れることだろう。

 担当の魔法存在たちは泣いてもいい。






 六か所目の黄道の迷宮は、アクアを更に強化。

 この先の迷宮捜索にも、大きな進歩があると推測できる。


 クロトは後日、お手柄の警備隊長ネクトに、更なるボーナスを追加。

 一部の者しか持たない、ミカゲ財閥の幹部証明書も渡しておいた。

 ローナ含む数人しか持たない証を貰い、泣いて喜んだネクトであった。

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