異世界隠密冒険記

リュース

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第二部「創世神降臨」編

プロローグ15

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「ありがとうございました、グレンさん。」

「気にするな。またいつでも来るといい。」

「はい、そうさせてもらいます。」


 クロトは装備を受け取り、工房を出た。


 エルフの里を後にしてから、最初に訪れたのはドレファト。

 タウラスの角を何とか出来ないか相談しに、工房を訪れた。


 タウラスの角は、所持する者の筋力が三倍になる代わりに、防御力がゼロになる。

 キャンサーの甲羅なみにピーキー過ぎる仕様なのだ。


 結果として、剣に上手く組み込めたらしく、かなり良い効果に。

 任意のタイミングで数秒間、筋力を二倍にできるらしい。

 デメリット効果は無し。


 つくづく、グレンには頭が上がらないクロトであった。

 もっとも、グレンも似たような思いを、クロトに持っているのだが。

 どこの誰が、神を殺せる男を尊敬しないというのか。


 なお、ヘキサアイズの解析は順調で、創世結晶についても聞いた。

 創世がどうのこうのと言っていたが、クロトをして理解不能。

 その辺りの事は、一から勉強しなければ分からない。


 唯一分かったのは、武具に組み込んだら酷いことになるらしい、ということ。


 予定通り、ラファエルの体づくりにのみ使うことになった。







 工房を後にしたクロトは、次の目的地に考えを巡らせていた。

 残りの必要材料は、何処にあるのかが、まるで分からない。


 ほぼ全ての国の蔵書を漁っても、不明のまま。

 エルフの里にも、モノと情報、どちらも無かった。

 宝物庫には、多少なりとも期待していたのだが・・・。


 やはりこの先は、殆ど手探りになりそうだ。

 もう何度目になるか分からないが、のんびりやっていこうと決めた。


 とりあえずは、学園の禁書庫にあった情報。

 黄道の迷宮らしき目撃情報のある場所へ向かうことに。









 今回は、みんな忙しかったのでクロト一人。

 場所は、深淵の森の近く。

 だだっ広い草原が広がっている場所。


 情報によると、酔っ払いがこの辺りを歩いている時に、城を見たのだとか。

 野営で酒を飲んで出歩いたらしいが、それはどうでもいい。

 よくそんな情報を記録していたなと感心はするが。

 学者ってすごい。


 それはさておき。


 城を見たというのは、誤って転移魔法陣に踏み込んだのではないかと推測。

 戻って来られたのは、再び転移魔法陣に乗ったから。

 この説明で一応、筋は通っている。


 クロトもそう思ったので、わざわざ調べに来たのだが・・・。




(ここって・・・アクアと通った道だよね?)


 魔法陣を見つけたのは、かつてアクアと通った道。

 クロトがこの世界、ジェネシスアイに来てすぐのことだ。


(あの頃は、魔法陣を見つける技術なんて無かったから、仕方ないか。)


 マップからも微妙に外れていた為、これまで気づけなかったようだ。

 クロトは過去を懐かしみながらも、魔法陣に飛び乗った。





(獅子、か・・・ハズレだね・・・。いや、当たり外れとは違うか。)


 神の瞳でステータスを解析。


(意外と普通・・・じゃないね、やっぱり。)


 名称は、星十二天「獅子」。レベル85。

 能力値はバランス型だが、速力が高めで2000。

 レアスキル「獅子の摂理」と「百獣の王」を保持。


 レアスキル「獅子の摂理」は、戦闘時に能力値上昇。

 スキルレベル10の状態では、実に十倍。

 ただし、レベルが己よりも下の場合に限る。

 敵のレベルが己より高い場合は、五倍どまり。

 切り札として、MPを全て消費し、獣型の魔物を百体まで召喚できる。


 レアスキル「百獣の王」は、配下の獣型魔物を強化できる。

 強化率は二倍で、対象に出来るのは百体まで。



 能力値五倍は厄介だが、光輪と闇輪を生成すれば、問題なく勝てるだろう。

 同時発動の効果時間は、現在のところ三十分。

 神界突破は使えないが、模倣の鏡による橙の瞳もある。

 負ける要素は無いと判断して、単独戦闘を決めた。


(あっ、リュノアと一緒に戦おうかな・・・。)


 一人と一匹だけでの戦いは、あまり経験していないことを思い出した。

 リュノアは現在、レベル49となり、進化は目の前と推測される。


 どちらの理由も一緒に戦うには十分過ぎると考え、リュノアを収納から出した。


「きゅ・・・・・・キュッ!?」


 どうやら睡眠中だったようだ。

 
「リュノア、これから戦闘なんだけど、一緒に戦おう?」

「キュ?・・・キュキュ!」


 寝起きとは言え、やる気十分のようだ。

 相変わらず幼体の姿で居るのは、クロトに甘えやすいから。

 まだ生まれてから一年未満。

 甘えたい盛りはまだまだ続くだろう。


「キュ、キュ・・・?」

「うん?ああ、少し体を動かしたいんだね?三十分くらいでいいかな?」

「キュ!」

「よし。じゃあ、僕も準備運動をしておくから、三十分後ね?」

「キュッ!」




 そして、丁度三十分後。

 クロトとリュノアはボスへ挑んだ。

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