異世界隠密冒険記

リュース

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第二部「創世神降臨」編

観光と神素材

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「ドレファトの町と言えばここ、闇ギルド「終末の鐘」。」

「これは明らかに観光名所ではありませんわ!」

「・・・・・・え?」

「何故そんなに不思議そうな顔なんですの!?絶対違いますわよ!?」


 流石に闇ギルドが観光名所というのはあり得ないだろう。


「・・・まあいいか。少し挨拶していくね。」

「クロト・・・闇ギルドと関りがあったんですのね・・・。」

「ちなみに、ヴィオラの帰る場所でもあるよ?」

「ヴィオラは裏家業の者でしたのっ!?」


 驚愕の事実が明らかになり、思わず叫んでしまうマリア。

 クロトは廊下を歩きながらも、マリアを窘める。


「マリア、人の家で騒がないで。迷惑になるよ?」

「うぐっ・・・正論ですのに、どうにも釈然としませんわね・・・。」


 そうこうしている内に、カザロフの部屋へ到着。


「カザロフ、居るよね?」

「何故ドアを開けずにすり抜けるんですのっ!?」

「・・・習慣、かな?」

「いい加減普通に入って来やがれ!」


 カザロフがクロトに怒鳴った。

 出し抜けに現れられると、寿命が縮まるような気がするらしい。


「カザロフ、こっちはマリア。とっても可愛い僕の恋人だよ。」

「帰れ!用もないのに来るんじゃねぇ!」

「クロト・・・本当に知り合いですの?」


 マリアが不安そうに尋ねるが、この二人は、大体こんな感じだ。


「大丈夫だよ、マリア。カザロフはマリアと同じでツンデレだから。」

「わたくしはツンデレではありませんわっ!」

「・・・途轍もなく馬鹿にされた気がするんだが?」


 カザロフは、意味が分からずとも不愉快になった。


「それで?結局何しに来たんだ?」

「うん?こっちのマリアに町の観光名所を案内している最中だよ?」

「いつからウチは観光名所になったんだ!」

「えっ?時々、町の人が見学に来てるよ?」

「なんでそうなった!?それにっ、そんな話は聞いてないぞ!?」


 カザロフの心からの疑問に、クロトは正直に答えてあげた。


「僕が門番を買収しておいたから、報告は上がらないよ?」

「帰れっ!」



 クロトは追い出されてしまった。








「大丈夫なんですの、さっきのは?」

「大丈夫。いつもあんな感じだし。」

「・・・そうなんですの。」


 マリアはそういうものかと納得したのだった。


「最後に工房へ寄っていくけど、いいかな?」

「もちろん構いませんわよ。・・・例の素材の事ですわね?」

「ああ、そうだよ。本当は眠る前に渡しておきたかったんだけど・・・。」

「あの時は、そんな時間すらありませんでしたわね。」


 二人が話しているのは、当然ヘキサアイズのことだ。

 クロトはグレンに解析を頼むつもりでいる。

 自分でも解析できないことは無いが、やはりグレンの方に一日の長がある。






 グレンの工房にやって来た二人。


「グレンさん、素材の解析をお願いします。」

「ああ、お前さんか。今度は何を持って来た?ゲイザーでも歓迎だが。」

「えっと・・・見た方が早いので、ここに出しますね。」


 クロトはそう告げると、躊躇いも無く、ヘキサアイズを取り出した。


「・・・なっ!?」


 グレンは腰を浮かせて、ヘキサアイズに見入っている。


「どうですか?」

「どうって・・・何てものを持って・・・コレは、紛れもなく・・・神。」

「ええ、神ですね。六分の一だけですけど。名前はヘキサアイズです。」

「・・・神殺しとは、恐れ入った。」


 グレンは感嘆の声を漏らし続けている。

 神殺しなど、言うのは簡単でも、実行するのは不可能に近いのだ。


 ちなみに、全てクロトが回収したので、カリスの取り分は無い。

 死体から注意を逸らすために、カリスに剣を向けたという訳だ。


 とことん抜け目ない男である。


「グレンさんの装備のおかげですよ。それで、解析は出来そうですか?」

「・・・可能だ。神であっても素材であるならば、可能だ。」


 流石はグレンさんと思いながら、詳細を尋ねてみる。


「時間はどれくらい掛かりそうですか?」

「やってみんと分からんが・・・かなり掛かるのは間違いない。」

「そうですか。でしたら、気長に待っています。」


 クロトは幾らでも待つという意思を伝えて、会話を締めたのだった。







 工房を後にしたクロトとマリア。


「マリア、工房では影が薄かったね?」

「武具の話はイマイチ分かりませんもの、それは仕方ありませんわ。」

「そっか。まあ、そうだよね。・・・そういう訳で、デートを続けようか。」

「どういう訳ですのっ!最近その悪い癖が無くなったと喜んで居たんですのに!」

「知ってるよ?マリアを揶揄うために戻してみたんだ。」

「いい加減、面白半分で揶揄うのはやめてくださいましっ!?」


 クロトをポカポカ叩く、赤い顔のマリア。




 そんな具合にイチャつきながらも、二人は王都へ転移したのだった。

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