異世界隠密冒険記

リュース

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第一部「六色の瞳と魔の支配者」編

VSヘキサアイズ4 決着

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 触手を斬り飛ばされたヘキサアイズは、目に見えて動きが悪くなった。

 単に触手が五本に減ったから、というだけではない。


 クロトは先程の攻撃で、初めてヘキサアイズの内部に傷をつけた。

 ダメージ自体は通っていても、皮膚を貫通できなかったのだ。

 そしてその際、必殺の一撃を混ぜた猛毒を体内へ侵入させた。


 現在進行形で、ヘキサアイズは存在を蝕まれ続けている。

 普通の生命ならあっという間にお陀仏なのだが、さすがは神。

 動きが悪くなるという程度で済んでいる。



 三十分後、残りの触手は一本。

 ヘキサアイズのHPは、残り三百万にまで減っていた。

 このままではギリギリ間に合わないが、ちゃんと策はある。


「クロト、切り札を切る!三十秒だ!」

「承知したよ!」


 カリスが切り札の準備を始め、クロトと分身のみでヘキサアイズを抑える。


「黒天神九曜連閃・龍絶!」

「%$%#$#!#%%」


 残った一本の触手で迎撃するヘキサアイズ。

 神である自分が追い詰められていると、ようやく気付いたようだ。

 今までと違い、形振り構っていない。

 結界の破壊を完全に諦め、クロトを潰すことだけに専念している。


 クロトは触手に剣を弾かれ、吹き飛ばされた。


 追撃に移ったヘキサアイズの前に、分身が立ちはだかる。

 
「黒天神十六夜連閃・龍絶!」

「%$#$”$%$!」


 ヘキサアイズは分身も同様に吹き飛ばし、何かを準備しているカリスの元へ。


「「二重合成魔法・天地邂逅!」」


 後衛の足止めも入るが、ダメージが増えること覚悟で先へ進む。

 そしてカリスの目の前まで辿り着いた。


「四千九十六式魔法陣『停滞世界』・・・発動!」


 魔法存在たちを動かして配置していた魔法陣を起動させたクロト。

 神をも縛る阻害術式は、数秒間だけ時間を稼いだ。

 その値千金の魔法陣は、カリスの準備を終わらせた。



「邪神顕現・・・発動!」


 カリスは、体全体が黒い靄で覆われた。

 邪神顕現は、己の邪神力を引き出す最終奥義。

 数十秒だけ、能力値が上昇する。

 まだ邪神としては未熟であるため、上昇率は二倍に届かない。


 しかしそれでも、能力値は百万前後、ヘキサアイズに僅かに劣る程度。


 ヘキサアイズ百万 VS クロト九十二万&カリス百万


「邪神剣・邪神ノ断罪!」


 停滞世界で行動を阻害されているヘキサアイズ。

 そこに、世界の憎しみを込めた一撃が放たれる。


 触手で迎撃しようとするヘキサアイズ。

 その瞬間を狙い再隠密していたクロトが割り込む。


 触手を切り落としたいが、神瞳加速は五分程、再使用まで時間が掛かる。

 ゆえに、ここまで秘匿してきた、隠密神の絶対遮断を発動。

 一日に一度、あらゆるものを遮断する。

 創世スキルの優先度を誇る遮断。


 クロトは隠密者応用で、その遮断を剣に纏わせる。


「創世一閃・神断!」


 クロトの新技は、ヘキサアイズの触手を、一閃しただけで切断した。


「$#$#$”$%#%#%&$%$#%!?」


 敵の悲鳴らしき声を聞き流し、クロトは直ちに距離をとる。


 無防備となったヘキサアイズに、カリスの「邪神剣・邪神ノ断罪」が炸裂。

 ここまでの戦いで最大級の大ダメージを与えた。

 更に、ヘキサアイズは憎しみに縛られ動きが鈍る。


 残りHPは百万。

 残り時間は二十五分程。


 ヘキサアイズは、進退窮まった。







 それから十分後。



「「二重合成魔法・天地邂逅!」」

「魔王神剣・殺戮!」

「「黒天神無限連閃・龍絶!」」


 後衛がヘキサアイズの動きを制限・誘導。

 カリスが剣による範囲攻撃で飽和させる。

 そしてクロト二人による神瞳加速を用いた剣技が炸裂。

 永久機関から引き出したエネルギーをありったけぶつける。


「$#%$#$%$$%!?!?!?」


 大ダメージを受け、滅茶苦茶に暴れるヘキサアイズ。

 完全に取り乱している。


 クロトはその間に悠々と離脱。

 激痛に耐えながらもヘキサアイズのHPを確認。


 残りHPは約十万。

 残り時間は十五分。


 勝利は目前に迫っている。


 そして、この時を今か今かと待っていた・・・クロトの本体。


 これまで戦っていたクロトは、全て分身。

 神の瞳を習得したことで、分身を四体まで十全に扱えるようになったのだ。



 全ては、ヘキサアイズの最後の悪足掻きを防ぐため。


 そして、訳の分からないまま分身体を絶命させるため。

 きっと、本体をこの上なくビビらせることが出来るだろう。

 しばらくの間、ちょっかいを控えるくらいには。


 制限されていない、隠密神の権能も用いた、とどめの一撃。





「神剣・隠密神ノ凶閃」




 原理上、認識できないソレは、ヘキサアイズを両断。







 この日、神殺しが誕生した。




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