異世界隠密冒険記

リュース

文字の大きさ
上 下
173 / 600
第一部「六色の瞳と魔の支配者」編

ダンジョンボス部屋?

しおりを挟む
 クロトたち四人は、順調に天使を狩って行った。


 あっという間にセラフィム戦になったのだが・・・。


「・・・5SR!天紫剣・如月!」

「了解した!絶剣九曜連閃!」

「はい!水神魔法・神水重縛!」


 ヴィオラが行動予知をして、それを身振りも交え、手短に伝える。

 今回は、五秒後に右上からの攻撃、という意味だ。


 アクアはそれを聞いて、魔法を発動。

 五秒立つ寸前に、指定の場所に捕縛魔法を発動した。


 完全に不意を突かれ、完璧に捕縛されたセラフィム。

 水神魔法で完璧に捕まえられたら、天種でも逃げ出すのは不可能に近い。


 ヴィオラの予知の早さ。

 それと、アクアの強力かつ正確かつ一瞬で発動する魔法。

 二つがあってこそ、生み出せる状況。

 本来なら、捕縛にはもっと沢山、手順を踏むのだ。


 そこへ、ヴィオラとカレンの剣技が炸裂。

 セラフィムは、急所に大技を受けて、大ダメージ。

 
 セラフィムは脱出が困難とみて、天法術を発動・・・できなかった。

 感知したアクアに、待機させていた神氷魔弾を喰らって魔力を乱されたのだ。


 致命的な隙が出来たセラフィムに、全力攻撃が繰り出される。


「天紫剣・春夏秋冬!」

「絶剣九曜連閃!」

「水神魔法・神氷絶波!」


 ヴィオラの限定的魔法剣、カレンの千変万化する剣、アクアの波紋。

 すべてを喰らったセラフィムは、そのまま絶命した。




「・・・僕の出番は?」


 やることが無かったクロトは、思わずそう零したのだった。











 戦闘を終えたクロト以外の三人。

 どこにも怪我は無く、まさに圧勝。

 おそらく、時間を掛ければ、一人でも倒せたのではないだろうか。


 クロトは三人に労いの言葉を掛けた。


「アクア、ヴィオラ、カレン、お疲れ様。完璧だったと思うよ?」


 それに対し、アクアが胸を撫でおろしながら発言した。


「カレンさんがクロトさん抜きで戦おうと言い出した時は、どうなることかと。」

「それは、クロトに頼ってばかりではいけないと思ってな・・・。」

「・・・クロトが居ると、あっという間に終わるから、丁度良かった。」


 確かに、良い経験になったようだし、無駄にはならないだろう。


 とはいえ、あまり時間もないので、次からはクロトも参戦する予定だ。


「じゃあ、次のセラフィムを倒しに行こうか。」


 クロトは天の瞳を確認して、最寄りのセラフィムの所まで先導した。








「神天一閃・龍絶!」


 アクアの魔法に捕まったセラフィムを、クロトが真っ二つにした。

 戦闘開始後、僅か数分のことだ。


 クロトは一度戦ったことのある魔物には、まず負けない。

 ありとあらゆる戦闘データを完璧に計算し尽くし、最適の行動をとるからだ。


 臨界突破を行使して、能力値平均が3000オーバーのセラフィム。

 それがあっさりと葬られてしまった。


 クロトは孤高シリーズによって、以前にも増して存在を感知出来なくなった。

 神水晶との相乗効果もあり、セラフィムは、まるでクロトに気づけなかった。

 高レベルの天感をもってしても、である。

 絶命する瞬間、理不尽という思いで満たされていたことは、想像に難くない。



「・・・やはり、あっという間だった。」



 そんなヴィオラの呟きが、不思議と周囲に響いたのだった。







 その後、次々とセラフィムを狩っていくクロトたち。

 文字通り、ただの狩りになっている。


 そして、五十体目をカレンが仕留めたところで、ダンジョンに異変が起きた。


「ん?ダンジョンの構造が、部分的に変わった?」

「クロト?どうかしたかのか?」


 クロトの呟きを聞きつけたカレンが、クロトに尋ねる。


「えっと・・・向こうの方に、部屋ができたみたいだね。」

「部屋、ですか・・・。もしかして・・・?」

「・・・ダンジョンコアがあるかも。」

「その可能性は高いね。もっとも、ダンジョンボスが居るだろうけど。」


 ダンジョンなのだから、当然ダンジョンボスは居るだろう。

 クロトはそう思った上で、どんな敵なのか推測する。


「ダンジョンボスか・・・。どのような魔物だろうか・・・。」


 カレンも気になるようで、魔物のことを考え込んでいる。

 アクアとヴィオラも考え始めたので、クロトはそれを遮るように告げる。


「とりあえず、近くまで行ってみよう。今考えても、不確定過ぎるから。」


 クロトの意見に頷く一同。

 先導に従い、その部屋へ向かって歩き始める。









 クロトたちはダンジョンボスが居ると思われる、部屋の前まで来た。


 早速部屋の中を天眼で覗いてみると・・・・・・。



しおりを挟む
感想 1,172

あなたにおすすめの小説

異世界転生、防御特化能力で彼女たちを英雄にしようと思ったが、そんな彼女たちには俺が英雄のようだ。

Mです。
ファンタジー
異世界学園バトル。 現世で惨めなサラリーマンをしていた…… そんな会社からの帰り道、「転生屋」という見慣れない怪しげな店を見つける。 その転生屋で新たな世界で生きる為の能力を受け取る。 それを自由イメージして良いと言われた為、せめて、新しい世界では苦しまないようにと防御に突出した能力をイメージする。 目を覚ますと見知らぬ世界に居て……学生くらいの年齢に若返っていて…… 現実か夢かわからなくて……そんな世界で出会うヒロイン達に…… 特殊な能力が当然のように存在するその世界で…… 自分の存在も、手に入れた能力も……異世界に来たって俺の人生はそんなもん。 俺は俺の出来ること…… 彼女たちを守り……そして俺はその能力を駆使して彼女たちを英雄にする。 だけど、そんな彼女たちにとっては俺が英雄のようだ……。 ※※多少意識はしていますが、主人公最強で無双はなく、普通に苦戦します……流行ではないのは承知ですが、登場人物の個性を持たせるためそのキャラの物語(エピソード)や回想のような場面が多いです……後一応理由はありますが、主人公の年上に対する態度がなってません……、後、私(さくしゃ)の変な癖で「……」が凄く多いです。その変ご了承の上で楽しんで頂けると……Mです。の本望です(どうでもいいですよね…)※※ ※※楽しかった……続きが気になると思って頂けた場合、お気に入り登録……このエピソード好みだなとか思ったらコメントを貰えたりすると軽い絶頂を覚えるくらいには喜びます……メンタル弱めなので、誹謗中傷てきなものには怯えていますが、気軽に頂けると嬉しいです。※※

異世界営生物語

田島久護
ファンタジー
相良仁は高卒でおもちゃ会社に就職し営業部一筋一五年。 ある日出勤すべく向かっていた途中で事故に遭う。 目覚めた先の森から始まる異世界生活。 戸惑いながらも仁は異世界で生き延びる為に営生していきます。 出会う人々と絆を紡いでいく幸せへの物語。

半分異世界

月野槐樹
ファンタジー
関東圏で学生が行方不明になる事件が次々にしていた。それは異世界召還によるものだった。 ネットでも「神隠しか」「異世界召還か」と噂が飛び交うのを見て、異世界に思いを馳せる少年、圭。 いつか異世界に行った時の為にとせっせと準備をして「異世界ガイドノート」なるものまで作成していた圭。従兄弟の瑛太はそんな圭の様子をちょっと心配しながらも充実した学生生活を送っていた。 そんなある日、ついに異世界の扉が彼らの前に開かれた。 「異世界ガイドノート」と一緒に旅する異世界

なぜか俺だけモテない異世界転生記。

一ノ瀬遊
ファンタジー
日本で生まれ日本で育ったこの物語の主人公、高崎コウが不慮?の事故で死んでしまう。 しかし、神様に気に入られ異世界クラウディアに送られた。 現世で超器用貧乏であった彼が異世界で取得したスキルは、 彼だけの唯一無二のユニークスキル『ミヨウミマネ』であった。 人やモンスターのスキルを見よう見まねして習得して、世界最強を目指していくお話。 そして、コウは強くカッコよくなってハーレムやムフフな事を望むがどういう訳か全然モテない。 バチくそモテない。 寄ってくるのは男だけ。 何でだ?何かの呪いなのか!? ウオォォォ!! プリーズ、モテ期ィィ!! 果たしてこの主人公は世界最強になり、モテモテハーレム道を開けるのか!?

攫われた転生王子は下町でスローライフを満喫中!?

伽羅
ファンタジー
 転生したのに、どうやら捨てられたらしい。しかも気がついたら籠に入れられ川に流されている。  このままじゃ死んじゃう!っと思ったら運良く拾われて下町でスローライフを満喫中。  自分が王子と知らないまま、色々ともの作りをしながら新しい人生を楽しく生きている…。 そんな主人公や王宮を取り巻く不穏な空気とは…。 このまま下町でスローライフを送れるのか?

無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~

甲賀流
ファンタジー
なんの特徴もない高校生の高橋 春陽はある時、異世界への繋がるダンジョンに迷い込んだ。なんだ……空気中に星屑みたいなのがキラキラしてるけど?これが全て魔力だって? そしてダンジョンを突破した先には広大な異世界があり、この世界全ての魔力を行使して神や魔族に挑んでいく。

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。

召喚されたリビングメイルは女騎士のものでした

think
ファンタジー
ざっくり紹介 バトル! いちゃいちゃラブコメ! ちょっとむふふ! 真面目に紹介 召喚獣を繰り出し闘わせる闘技場が盛んな国。 そして召喚師を育てる学園に入学したカイ・グラン。 ある日念願の召喚の儀式をクラスですることになった。 皆が、高ランクの召喚獣を選択していくなか、カイの召喚から出て来たのは リビングメイルだった。 薄汚れた女性用の鎧で、ランクもDという微妙なものだったので契約をせずに、聖霊界に戻そうとしたが マモリタイ、コンドコソ、オネガイ という言葉が聞こえた。 カイは迷ったが契約をする。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。