異世界隠密冒険記

リュース

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第一部「六色の瞳と魔の支配者」編

今後の展望と天使狩り

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 永遠の眠り亭を出たクロトは、自宅へ帰って来たのだが・・・。


「うん?アリスさん、僕に何か御用でしたか?」

「っ、ええ、そうなの。クロト君が帰って来たと聞いて、顔を見に、ね。」


 家の前をアリスがうろうろしていたので、声を掛けたクロト。

 アリスは動揺しながらも、そう答えた。


 アリスに挨拶をしていなかったことを思い出し、申し訳なさそうに告げた。


「すみません、挨拶もせずに。・・・よろしければ、上がっていきますか?」

「っ!?・・・そ、そうね。では、少しだけお邪魔しようかしら。」


 アリスは以前、神天魔の法衣を纏ったクロトを見て、様々な衝動に襲われた。

 さすがに今では収まっているが、思い出してしまうのはやめられない。

 そこへ、クロトから家へのお誘いがあり、思わずその誘いを受けてしまった。


(何も無い、わよね・・・?招待を受けただけだし、何も起こらない、はず。)


 アリスは胸の鼓動が激しくしながら、クロトに続いて家の中に入って行った。

 スキルの効果で、自分の想いには気づかれないのをいいことに。





 結局、お土産の受け渡しをして、多少雑談しただけだった。

 アリスは帰路につきながら、ため息を吐く。


(私、何を期待していたのかしらね・・・バカみたい。)


 何も無かったため、寂寥感を覚えている自分に自己嫌悪するアリス。


(・・・もう、忘れましょう。明日からも仕事があるんだから。)


 アリスは気持ちを切り替えて、止まっていた足を再び動かし、歩き出した。








 クロトはグレンの工房で武具を受け取り、ドレファトの町を去った。

 魔王の侵略開始まで、あと八日。





 クロトは王都を歩きながら、この先の目標を考えていた。


(やっぱり、魔王の一件が片付いたら、世界を見て回りたいかも・・・。)


 東国ジャンゼパールは殆ど見て回ったので、残り四つの国などを、だ。


 武具の強化はのんびりやっていくつもりだが、一応の目算ぐらいは立てる。

 そして、最大の目標が・・・。


(やっぱり、この世界の成り立ちを知りたいな・・・。)


 瞳のバケモノなどを知ってから、そう思うようになったクロト。


(まあ、そちらの準備は着々と進んでいるし、焦る必要もないよね?)


 当面の目標は、

 一つ、世界創世の成り立ちを探る。

 二つ、世界の観光。

 三つ、装備を含めた自分の強化。


 おおよそそんな所かと思ったところで、思考を打ち切った。


 なお、恋人たちとの結婚は、目標とは少し違うので除外している。






 その翌日、クロトは数人の同行者と共に、レクスシールの町へ来ていた。

 現在居るのは、天使の迷宮の前。

 同行者は、ヴィオラ、アクア、カレン。


「さて、セラフィム狩りを始めようか。」


 クロトの声を合図に、四人は迷宮に入っていった。



 クロトが天使の迷宮に来たのは、セラフィムを狩るため。

 では、なぜセラフィムを狩るのか。

 それは、迷宮の攻略が関係している。


 以前クロトは疑問に思った。

 天使の迷宮は、どうすれば攻略したことになるのか、と。

 過去に攻略はされていないが、迷宮である以上、クリアは存在するはず。


 そこで思い出したのが、五十体倒すと、敵が次の段階に移行する仕組み。

 エンジェルを五十体狩ればアークエンジェルが登場する。

 では、セラフィムを五十体討伐したらどうなるのか。


 そこに攻略の鍵があると睨んだクロトは、こうしてセラフィム狩りに来たのだ。


 メンバーは、手の空いている人を誘った。


 クロトたちが旅行に行っている間に、大きく成長したヴィオラ。

 ユニークスキルを完全に使いこなして、剣での対人戦では、およそ敵なしに。

 あのカレンとすら、剣で渡り合えるようになった。
 
 元からその素養はあったので、一皮剥ければ、成長は早かった。

 剣術の強いセラフィムなら、相性が良いだろう。


 旅行中、クロトに認められるほど、大きく成長したアクア。

 水と氷の扱いは、まさに人外級。

 彼女による後衛からの援護があれば、前衛の負担が大きく減る。


 旅行中、クロトと恋仲になったカレン。

 その剣術は、未来を見て因果を誘導するヴィオラと渡り合える程。

 前衛としてはクロトと並んで、途轍もなく頼りになる存在だ。


 後衛が少ない分はクロトの分身で補う。

 分身の操作性が向上しているので、後衛に一体回しても余裕があるだろう。



 いずれも一騎当千の猛者たち。

 四人による天使狩りが始まった。


 聞きようによっては、とてもヤバいことをしようとしている集団であった。

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