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第一部「六色の瞳と魔の支配者」編
エピローグ12
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エリスは綺麗な金髪を靡かせ、荷造りをしながら、昨夜の事を思い出していた。
「先生、ですか・・・?」
「うん、先生だよ。ブルータル王国で似たようなことをやっていたよね?」
「っ、そうですが・・・それで、先生というのは・・・?」
エリスの質問を受けて、クロトは詳細を話し始めた。
クロトが所有し、経営をしている孤児院が、王都に存在する。
かつてはとある貴族が任されていたのだが、酷い経営状態だった。
クロトは膨れ上がる所持金を減らすために、孤児院の乗っ取りを始めた。
詳細は省くが、現在はクロト所有の元、まともに経営されている。
そして、クロトの悪い癖?が出た。
孤児院の運営をより良くするために、細かい内容にまで手を出し始めた。
クロトからすれば微妙過ぎる経営システムに、我慢ならなかったのだ。
そして、その改革の中で最後まで困っていた事。
孤児たちへ簡単な教育を受けさせるために必要な、先生役の不在だ。
こればかりは、簡単には見つからなかった。
そんな知識のある者なら、学園などで働くからだ。
今回、エリスにその手のノウハウがあることを見抜いて、取引を持ち掛けた。
曰く、カラーヴォイス王国で先生をやらないか、と。
雇用条件は、月に50万ゴールド。別途ボーナスあり。
住み込みで働いてもらうことも可能。
孤児たちに、クロトの指定する教育を受けさせること。
教え方について、ある程度はエリスの裁量を認める。
そんな感じの内容だった。
「・・・・・・。」
エリスは呆然としていた。
覚悟を決めて尋ねたのに、悪いことどころか、良いことしかなかったからだ。
「・・・それでは、私のメリットが大きすぎると思いますが?」
「そうでもないよ?意外と条件が厳しいからさ。」
クロトも、何人かは知識のある人間を見つけたのだ。
だが、みんな一様に、教育に向いた性格では無かった。
教師というのは、意外と難しい仕事なのだ。
エリスに自覚は無いようだが。
「それで、どうするの?受けるなら、アリシアも一緒に来てもらうけど。」
「・・・・・・。」
エリスは沈黙した。
自分にとって、どんな悪い条件でも受けるつもりだった。
しかし、ここまで良い条件を示されると、逆に疑ってしまう。
ひょっとしたら、アリシアが目的なのでは、とか。
流石にそれは無いとエリスも思っているが・・・。
そんな迷いを見抜いたクロトは、背中を押すことにした。
「・・・受けないならいいよ。話はこれで終わりだよ。」
瓶を仕舞って立ち去る振りをするクロト。
それに対するエリスの反応は劇的だった。
「っ!?待って、待ってください!受けます!」
「そっか。じゃあ、よろしくね。出発は三日後だから、そのつもりで。」
クロトはそれだけ言い残し、精霊花の蜜を置いて、その場から消えた。
「・・・・・・っ!」
エリスはしばし呆然としていたが、すぐに瓶を開けて蜜を飲んだ。
すると、今まで自分を苛んでいた激痛が、ピタリと収まるのが分かった。
「えっ・・・?」
あまりにも急激に良くなった為、驚きの声を零してしまったくらいだ。
そして、自分の状況を理解したエリス。
娘を残して逝かずに済む嬉しさ。
辛い思いを娘にさせずに済むことへの安堵。
そういった感情がエリスを満たしていき、止まっていた涙が再び溢れ出す。
「うぅ・・・良かった・・・っ!」
そこで、アリシアが目を覚ました。
「・・・お母さん?どこか痛いの・・・?」
エリスは慌てて涙を拭って、アリシアの言葉を否定した。
「ううん、違うの。お母さん、病気が治ったの。」
「・・・ほんと?ほんとのほんとに?」
「ええ、本当よ。・・・ほら。」
エリスは起き上がり、長い間出来ていなかった、娘への抱擁をしたのだった。
エリスは荷造りを終えて、手伝いをしていたアリシアを捜す。
すると、クロトの首に手を回し、背中にぶら下がっているのを見つけた。
エリスがアリシアに、クロトのことを話したため、懐いてしまったのだ。
クロトはどうしたものかと、微妙な困り顔だ。
シビアで冷たいことには定評のあるクロト。
しかし、純粋に慕ってくれている幼子を拒絶出来る程、人の心を失っていない。
これで容赦なく拒絶したら、鬼畜の謗りは免れないだろう。
エリスは微笑ましく思いながら、クロトに再び、お礼をしに行ったのだった。
名前 クロト・ミカゲ
種族 人間(?)
性別 男性
年齢 18
レベル 99
HP 3910
MP 3740
筋力 1882
防御力 1883
魔力 1865
速力 2263
幸運 70
ユニークスキル
隠密者ー気配遮断5/5ー暗殺 3/3
\
ー魔力遮断5/5ー魔法遮断3/3ー暗殺魔法2/2
\ \
-存在遮断5/5ー存在創造3/3ー魔法存在2/2ー必殺の一撃1/1
-隠密者応用5/5
始祖天剣術・速9 天神法術4
レアスキル
天の瞳10 天眼10 天の叡智10 天感10 天界突破9 天力3
スキル
言語理解9 格闘術9 アイテムボックス10 生活魔法10
解体10 連携10 闇魔法8
スキルポイント 残り41
「先生、ですか・・・?」
「うん、先生だよ。ブルータル王国で似たようなことをやっていたよね?」
「っ、そうですが・・・それで、先生というのは・・・?」
エリスの質問を受けて、クロトは詳細を話し始めた。
クロトが所有し、経営をしている孤児院が、王都に存在する。
かつてはとある貴族が任されていたのだが、酷い経営状態だった。
クロトは膨れ上がる所持金を減らすために、孤児院の乗っ取りを始めた。
詳細は省くが、現在はクロト所有の元、まともに経営されている。
そして、クロトの悪い癖?が出た。
孤児院の運営をより良くするために、細かい内容にまで手を出し始めた。
クロトからすれば微妙過ぎる経営システムに、我慢ならなかったのだ。
そして、その改革の中で最後まで困っていた事。
孤児たちへ簡単な教育を受けさせるために必要な、先生役の不在だ。
こればかりは、簡単には見つからなかった。
そんな知識のある者なら、学園などで働くからだ。
今回、エリスにその手のノウハウがあることを見抜いて、取引を持ち掛けた。
曰く、カラーヴォイス王国で先生をやらないか、と。
雇用条件は、月に50万ゴールド。別途ボーナスあり。
住み込みで働いてもらうことも可能。
孤児たちに、クロトの指定する教育を受けさせること。
教え方について、ある程度はエリスの裁量を認める。
そんな感じの内容だった。
「・・・・・・。」
エリスは呆然としていた。
覚悟を決めて尋ねたのに、悪いことどころか、良いことしかなかったからだ。
「・・・それでは、私のメリットが大きすぎると思いますが?」
「そうでもないよ?意外と条件が厳しいからさ。」
クロトも、何人かは知識のある人間を見つけたのだ。
だが、みんな一様に、教育に向いた性格では無かった。
教師というのは、意外と難しい仕事なのだ。
エリスに自覚は無いようだが。
「それで、どうするの?受けるなら、アリシアも一緒に来てもらうけど。」
「・・・・・・。」
エリスは沈黙した。
自分にとって、どんな悪い条件でも受けるつもりだった。
しかし、ここまで良い条件を示されると、逆に疑ってしまう。
ひょっとしたら、アリシアが目的なのでは、とか。
流石にそれは無いとエリスも思っているが・・・。
そんな迷いを見抜いたクロトは、背中を押すことにした。
「・・・受けないならいいよ。話はこれで終わりだよ。」
瓶を仕舞って立ち去る振りをするクロト。
それに対するエリスの反応は劇的だった。
「っ!?待って、待ってください!受けます!」
「そっか。じゃあ、よろしくね。出発は三日後だから、そのつもりで。」
クロトはそれだけ言い残し、精霊花の蜜を置いて、その場から消えた。
「・・・・・・っ!」
エリスはしばし呆然としていたが、すぐに瓶を開けて蜜を飲んだ。
すると、今まで自分を苛んでいた激痛が、ピタリと収まるのが分かった。
「えっ・・・?」
あまりにも急激に良くなった為、驚きの声を零してしまったくらいだ。
そして、自分の状況を理解したエリス。
娘を残して逝かずに済む嬉しさ。
辛い思いを娘にさせずに済むことへの安堵。
そういった感情がエリスを満たしていき、止まっていた涙が再び溢れ出す。
「うぅ・・・良かった・・・っ!」
そこで、アリシアが目を覚ました。
「・・・お母さん?どこか痛いの・・・?」
エリスは慌てて涙を拭って、アリシアの言葉を否定した。
「ううん、違うの。お母さん、病気が治ったの。」
「・・・ほんと?ほんとのほんとに?」
「ええ、本当よ。・・・ほら。」
エリスは起き上がり、長い間出来ていなかった、娘への抱擁をしたのだった。
エリスは荷造りを終えて、手伝いをしていたアリシアを捜す。
すると、クロトの首に手を回し、背中にぶら下がっているのを見つけた。
エリスがアリシアに、クロトのことを話したため、懐いてしまったのだ。
クロトはどうしたものかと、微妙な困り顔だ。
シビアで冷たいことには定評のあるクロト。
しかし、純粋に慕ってくれている幼子を拒絶出来る程、人の心を失っていない。
これで容赦なく拒絶したら、鬼畜の謗りは免れないだろう。
エリスは微笑ましく思いながら、クロトに再び、お礼をしに行ったのだった。
名前 クロト・ミカゲ
種族 人間(?)
性別 男性
年齢 18
レベル 99
HP 3910
MP 3740
筋力 1882
防御力 1883
魔力 1865
速力 2263
幸運 70
ユニークスキル
隠密者ー気配遮断5/5ー暗殺 3/3
\
ー魔力遮断5/5ー魔法遮断3/3ー暗殺魔法2/2
\ \
-存在遮断5/5ー存在創造3/3ー魔法存在2/2ー必殺の一撃1/1
-隠密者応用5/5
始祖天剣術・速9 天神法術4
レアスキル
天の瞳10 天眼10 天の叡智10 天感10 天界突破9 天力3
スキル
言語理解9 格闘術9 アイテムボックス10 生活魔法10
解体10 連携10 闇魔法8
スキルポイント 残り41
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