異世界隠密冒険記

リュース

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第一部「六色の瞳と魔の支配者」編

孤高の道6

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 クロトの超絶技により、孤高の主の天剣は残り2本になった。

 分身と天剣で孤高の主を抑えて、この2本も数秒後には破壊された。


 クロトが背中に移動させた闇輪の効果は、一時間使用可能。

 まだまだ余裕はある。


 と、そこで、孤高の主の魔法剣がクロトを狙ってきたので、迎撃。

 驚いたことに、先程までより強力だ。

 臨界突破を行使した訳でも無いのに、だ。


 ここでクロトは、ユニークスキル「孤高の支配者」の全体像が分かった。


 一人でも戦えるように、自分が扱う全てに補正をかけることが出来る。


 それが孤高の支配者の効果。

 先程、天落世界を軽減したのは、防御力と魔力の強化。

 今の魔法剣の強さは、魔力と天剣術、筋力、速力あたりの強化だろうか。

 器用貧乏にならない為にあるような能力だ。

 現に、孤高の主は器用貧乏では無く、万能だ。


 今も、後衛の分身から放たれた天法術を相殺した。

 今のは、相殺という行動に補正をかけていたのだろう。


 ひょっとしたら、孤高の支配者というユニークスキルは振り分け制かもしれない。

 ふとそんなことを、クロトは思った。


 大変厄介ではあるが、クロトが優勢なことに変わりはない。

 更にここで、切り札を追加する。

 クロトは敵の天法術を吸収しつつ、後頭部に光輪を生成した。


 孤高の主がギョッとしたように見えたのは、気のせいではあるまい。

 光輪は、クロトの能力値を1,5倍にする。

 これで能力値さえ、僅かにクロトが上回った。


 孤高の主は追い詰められたと感じた。


 しかし、実際はそうでもない。

 光輪と闇輪の同時生成は十五分が限度。

 ひたすら防戦に専念すれば、十五分くらい凌げないこともない。


 だが、孤高の主はそのことを知らない。

 ゆえに、追い詰められたと感じたのだ。


 そうなることを分かって使ったクロトは、内心で笑みを浮かべる。

 孤高の主の焦りが、手に取るように分かるのだ。


 数秒ごとに傷が増えていく孤高の主は、後が無いと判断。

 臨界突破を行使した。

 それを待っていたクロトは、ほぼ同時にアーティファクトを使用。


 使用したのは模倣の鏡。

 鏡の前でスキルを使うと、そのスキルを鏡に閉じ込めることが出来る。

 そして鏡の使用者は、そのスキルを使用可能になる。

 ただし、模倣するスキル使用者の承諾が必要。

 一度使用するごとに模倣し直す必要あり。

 使用回数制限は10回。


 現在、鏡が模倣しているのは、マリアの瞳のスキル。

 ユニークスキル「限界超越せし極薄橙の天瞳」である。


 瞳の効果は、スキルレベル1につき能力値を20%上昇させる。

 また、スキルレベル1につき、他のスキルのレベルを1つ上昇させる。

 マリアの瞳のスキルレベルは4。

 能力値80%上昇とスキルレベル4上昇の効果があるということだ。

 効果時間は、スキルレベル1につき5分。今回は20分だ。


 彼我の戦闘力差を比較してみる。


 孤高の主は、天剣術9。

 能力値平均が、

 元々が3000で、臨界突破9により2,8倍。

 孤高の支配者により2倍。

 3000×5,6=16800

 そこにクロトが生成した闇輪の効果で能力値が半減。

 16800÷2=8400

 天剣術9と能力値平均8400というのが、今の孤高の主の戦闘力だ。


 対するクロトは、始祖天剣術9。

 能力値平均が、

 元々が平均2000ほどで、橙の瞳の効果で1,8倍。

 光輪の効果で1,5倍。

 2000×2,7=5400

 始祖天剣術13相当と能力値平均5400前後。

 そこに天剣36本と分身が二体。



 戦闘は拮抗。


 そして、それを確認したクロト。


「天界突破!」


 切り札の天界突破9を行使して、能力値はさらに、2,8倍に。

 5400×2,8=15120


「ブレイン・アクセラレーション!」


 天脳加速も使用し、クロトが孤高の主を圧倒する。


 クロトが使用した光輪と闇輪は15分程で効果が終了する。

 それまでに決着をつけなければ、戦況は逆転してしまう。

 そうなれば、クロトは生きて帰れないだろう。


 分身二体も天界突破を発動し、全力で戦う。

 分身の戦闘力は、孤高の主とほぼ同じ。

 天界突破以外の効果が無い分、能力値が低いのだ。


 後衛の天落世界が発動し、孤高の主を上から押さえつける。

 僅かに動きが鈍る孤高の主。

 そこへ天剣全てを使って、押さえつける。


 敵がそれを突破した瞬間を狙い、分身が剣技を放つ。


「極天龍十六夜連閃・神絶!」


 咄嗟に剣を盾にして防ぐ孤高の主。

 剣の絶対破壊により、盾にした剣を破壊。

 しかし、剣を盾にする行動に補正をかけたのか、分身の攻撃はそこで中断。


 隙の出来た分身に、殴り掛かる孤高の主。

 格闘術に補正をかけたのか、高レベルの拳だ。

 分身が死ねばクロトも死ぬが、焦りは無い。


 予め命令を出しておいた六十四体の魔法存在たちが、魔法陣を起動。

 

 起動したのは、行動阻害魔法陣だった。

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