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第一部「六色の瞳と魔の支配者」編
リュノアの特訓
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この日、ギルドの訓練場で、模擬戦が行われていた。
クロトたちが一人ずつ、黒幼竜のリュノアと戦うのだ。
結果としては、当然の如く、リュノアの全敗。
だが、時折見せるクロト譲りの知性と戦略は、一同の心胆を寒からしめた。
まだ幼い状態でこれなのだから、成長したら、どれ程強くなるというのか。
みんなワクワクしながら、リュノアに色々と教え込んでいく。
そして、その日の最後にもう一度、クロトと戦うことになった。
「じゃあ・・・おいで、リュノア。」
「キュキュ!」
リュノアは気合十分といった鳴き声をあげて、クロトに向かって行く。
能力値的にはまだまだなはずなのに、かなり速い。
リュノアの爪撃を、月影神の龍剣で受ける。
押される程では無いが、強めの衝撃。
リュノアは更に、ドラゴンテイルを繰り出す。
横一文字のドラゴンテイルを、しゃがんで回避。
すると、それを読んでいたリュノア。
回避された尻尾を巨大化させ、勢いを殺さないまま、地面にたたきつける。
そして、その反動を利用して、空に向かって急上昇した。
尻尾が巨大化したのは、ユニークスキル「可変魔力生物」の効果だ。
物理的におかしい感じはする。
だが、ユニークスキルにそんなものを求めてはいけない。
リュノアは、クロトとの間に出来た間合いを利用して、漆黒魔法を発動。
地面に映り、かつ、クロトのすぐ傍にあるリュノアの影が、蠢く。
こうなるように、位置関係を誘導したのだ。
クロトが直前まで気づけない程に、見事な誘導だった。
まるで、敵の認知限界まで読むクロトのような誘導。
地面を蠢く影は、一瞬で刃を形成。
しゃがんでいたため回避行動をとり辛いクロト。
タイミングをジャストで合わせて、半転移で己の存在次元をずらし、回避。
クロトにしか出来ない、シビア過ぎるタイミングだ。
そしてリュノアは、半転移の効果が切れる直前に、用意していたブレスを放つ。
ここまでがリュノアの作戦。
普通は回避できないような攻撃を、絶対に回避すると信じて疑わなかった。
なにせ、相手はあのクロト。
リュノアが最大限に尊敬する存在なのだから。
回避方法も、リュノアの前で一度だけ見せた半転移を使用すると読んでいた。
だからこそ、隙が出来る、効果終了直前を狙ったのだ。
半転移状態だと移動できなくて、効果終了と同時に、ブレスが直撃。
そんな針の穴を通すような瞬間を、正確に狙い打ってきた。
もちろん、これでクロトを倒すなど不可能。
だが、回避させずに一撃与えられれば、今は十分。
リュノアはそう思っていた。
だが、それでもまだ、甘かったようだ。
クロトは、リュノアが空に飛び立った段階で用意を始めた魔法を発動。
魔法遮断で隠した、ディメンションウォールだ。
空間壁とブレスが衝突し、ブレスは防がれた。
空間の壁は、ただの力押しでは突破出来ないのだ。
クロトはリュノアが空に飛び立った段階で、ここまでの展開を読んでいた。
そして、ブレス直後で隙が出来ているリュノアの背後に転移。
翼を生成しながら、リュノアの頭に触れる。
「よしよし。よく頑張ったね。」
「キュゥ・・・。」
全て読まれていたと気付き、落ち込むリュノア。
クロトはそんな様子のリュノアを励ます。
「そこまで落ち込む必要は無いよ。中々悪くなかった。」
「キュ・・・キュキュ?」
「うん?そうだね・・・80点くらいかな?」
「キュオ?」
「最後のブレスに、空間属性を混ぜていれば、僕の意表を突けていたと思うよ。」
「キュ・・・。」
「まあ、不完全なものを使うのは怖いよね。その辺は練習あるのみかな?」
「キュ!」
そんな本人同士にしか分からない会話をし、模擬戦は終了となった。
カレンたちは今の戦闘を見て、こう思った。
果たして、自分が戦っていたら、リュノアに勝てていたのだろうか、と。
その答えは、誰にも分からない。
かくして、クロトたち全員にとって、とても有意義な一日となったのだった。
リュノアは、レベルこそ上がらず19のままだったが、スキルレベルは上昇。
漆黒魔法が3になり、黒竜魔法も4になった。
また、竜眼、竜感、竜力のスキルも、上昇した。
リュノアも、実りの大きい模擬戦であったようだ。
なお、その日の晩。
リュノアは、大層クロトに甘えて来た。
アクアが少しだけ寂しそうにしていたので、一緒に寝ることに。
アクアとクロトに挟まれて、幸せそうに眠るリュノア。
もはやすっかり、親子のようであった。
クロトたちが一人ずつ、黒幼竜のリュノアと戦うのだ。
結果としては、当然の如く、リュノアの全敗。
だが、時折見せるクロト譲りの知性と戦略は、一同の心胆を寒からしめた。
まだ幼い状態でこれなのだから、成長したら、どれ程強くなるというのか。
みんなワクワクしながら、リュノアに色々と教え込んでいく。
そして、その日の最後にもう一度、クロトと戦うことになった。
「じゃあ・・・おいで、リュノア。」
「キュキュ!」
リュノアは気合十分といった鳴き声をあげて、クロトに向かって行く。
能力値的にはまだまだなはずなのに、かなり速い。
リュノアの爪撃を、月影神の龍剣で受ける。
押される程では無いが、強めの衝撃。
リュノアは更に、ドラゴンテイルを繰り出す。
横一文字のドラゴンテイルを、しゃがんで回避。
すると、それを読んでいたリュノア。
回避された尻尾を巨大化させ、勢いを殺さないまま、地面にたたきつける。
そして、その反動を利用して、空に向かって急上昇した。
尻尾が巨大化したのは、ユニークスキル「可変魔力生物」の効果だ。
物理的におかしい感じはする。
だが、ユニークスキルにそんなものを求めてはいけない。
リュノアは、クロトとの間に出来た間合いを利用して、漆黒魔法を発動。
地面に映り、かつ、クロトのすぐ傍にあるリュノアの影が、蠢く。
こうなるように、位置関係を誘導したのだ。
クロトが直前まで気づけない程に、見事な誘導だった。
まるで、敵の認知限界まで読むクロトのような誘導。
地面を蠢く影は、一瞬で刃を形成。
しゃがんでいたため回避行動をとり辛いクロト。
タイミングをジャストで合わせて、半転移で己の存在次元をずらし、回避。
クロトにしか出来ない、シビア過ぎるタイミングだ。
そしてリュノアは、半転移の効果が切れる直前に、用意していたブレスを放つ。
ここまでがリュノアの作戦。
普通は回避できないような攻撃を、絶対に回避すると信じて疑わなかった。
なにせ、相手はあのクロト。
リュノアが最大限に尊敬する存在なのだから。
回避方法も、リュノアの前で一度だけ見せた半転移を使用すると読んでいた。
だからこそ、隙が出来る、効果終了直前を狙ったのだ。
半転移状態だと移動できなくて、効果終了と同時に、ブレスが直撃。
そんな針の穴を通すような瞬間を、正確に狙い打ってきた。
もちろん、これでクロトを倒すなど不可能。
だが、回避させずに一撃与えられれば、今は十分。
リュノアはそう思っていた。
だが、それでもまだ、甘かったようだ。
クロトは、リュノアが空に飛び立った段階で用意を始めた魔法を発動。
魔法遮断で隠した、ディメンションウォールだ。
空間壁とブレスが衝突し、ブレスは防がれた。
空間の壁は、ただの力押しでは突破出来ないのだ。
クロトはリュノアが空に飛び立った段階で、ここまでの展開を読んでいた。
そして、ブレス直後で隙が出来ているリュノアの背後に転移。
翼を生成しながら、リュノアの頭に触れる。
「よしよし。よく頑張ったね。」
「キュゥ・・・。」
全て読まれていたと気付き、落ち込むリュノア。
クロトはそんな様子のリュノアを励ます。
「そこまで落ち込む必要は無いよ。中々悪くなかった。」
「キュ・・・キュキュ?」
「うん?そうだね・・・80点くらいかな?」
「キュオ?」
「最後のブレスに、空間属性を混ぜていれば、僕の意表を突けていたと思うよ。」
「キュ・・・。」
「まあ、不完全なものを使うのは怖いよね。その辺は練習あるのみかな?」
「キュ!」
そんな本人同士にしか分からない会話をし、模擬戦は終了となった。
カレンたちは今の戦闘を見て、こう思った。
果たして、自分が戦っていたら、リュノアに勝てていたのだろうか、と。
その答えは、誰にも分からない。
かくして、クロトたち全員にとって、とても有意義な一日となったのだった。
リュノアは、レベルこそ上がらず19のままだったが、スキルレベルは上昇。
漆黒魔法が3になり、黒竜魔法も4になった。
また、竜眼、竜感、竜力のスキルも、上昇した。
リュノアも、実りの大きい模擬戦であったようだ。
なお、その日の晩。
リュノアは、大層クロトに甘えて来た。
アクアが少しだけ寂しそうにしていたので、一緒に寝ることに。
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