異世界隠密冒険記

リュース

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第一部「六色の瞳と魔の支配者」編

イスタルの町

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 ハリケルア雷山から帰って来てから三日後。

 クロトたちはアクリルの町を出発し、次の目的地、イスタルの町へ向かった。


 この三日間は、色々あったような、無かったような。


 カレンが、

「紛らわしい情報を掴ませた男に報復してこよう。」

 と言い残して走って行ったり。


 ナツメが、抜刀術の練習をして、宿の他の客に文句を言われたり。


 クロトに絡んできた男たちを適当に埋めたり。


 そんな感じの事があったが、些事なので省略。






 三日後、クロトたちはイスタルの町へやって来ていた。

 道中に魔物が現れなかったのは、アクリルの町へ来た時と同じだ。


 適当な宿をとって、翌日、町の観光へ赴く一同。








「アクアと二人っきりでデートか・・・。随分と懐かしいような気がする。」

「そう、ですね・・・。言われてみれば、そうかもしれません。」


 クロトはアクアとデートしていた。

 腕を組んで、とても仲良さげだ。


「アクアは、もっと甘えてもいいんだけどな・・・?」

「えっと・・・それは、恥ずかしいですので・・・。」


 やんわりと遠慮の返事をしながらも、そわそわしているアクア。

 クロトはアクアを素直にさせるため、言い方を工夫してみた。


「僕としては、アクアに甘えてもらえると嬉しいんだけどな・・・?」

「そ、そういうことであれば・・・。」


 アクアは、口ではクロトのためと言いながらも、とても嬉しそうだ。

 長椅子に座って、腕を組んだまま、頭をクロトの肩にもたれさせる。

 どうやら、アクアなりの甘え方のようだ。


 何というか、とっても可愛い。

 クロトはそのように思い、後ろから手を回し、アクアの肩を抱いた。


「んっ・・・・・・。」


 色っぽい声を漏らしながらも、幸せそうに瞳を閉じているアクア。

 そのまま数時間その場で過ごしたが、全く飽きることはなかった。

 二人とも、もっとこうして居たい、とすら思った。


 だが、残念ながら、もうすぐ辺りは真っ暗になる。

 名残惜しいが、アクアに声を掛けるクロト。


「アクア、そろそろ帰ろうか。」

「・・・はい、分かりました。」


 とても残念そうなアクアの声が胸に響くクロト。

 瞳には涙が溜まっている。

 この幸せな時間が終わってしまうのが悲しいのだろう。

 我慢できなくなったクロトは、隠密者を発動させた。

 そして、アクアの唇を奪う。


「んっ!?クロトさん・・・人が、んんっ・・・見てます、から・・・んっ!」


 キスの合間に、なんとか言葉を発するアクアだが、クロトはとまらない。

 やがてアクアも、抵抗せずに受け入れるようになった。


「んあっ・・・ん、ふぁっ・・・ああっ・・・!」


 形振り構わず、喘ぎ声をあげるアクア。

 自分の体を這っていくクロトの手が気持ちよくて、力が抜けていくのを感じる。

 やがて、立っていられなくなり、先程まで座っていた椅子に座り込む。






 キスを終えた時には、周囲は真っ暗になっていた。


「行こう、アクア。」

「はい・・・///」


 アクアは人前でキスしてしまったと思っているのか、下を向いている。

 とてもではないが、羞恥のせいで顔を上げられないようだ


 仕方が無いので、誰にも見えていなかったことを教えてあげたクロト。

 アクアはそれを聞いて、とても安心した表情を浮かべていた。


「そんなに恥ずかしいなら、拒んでくれてもよかったんだけど・・・。」

「っ、いえ・・・その・・・。」


 アクアはとても言い辛そうにしていたが、正直に話してくれた。


「私も、クロトさんとキスしたいという気分に支配されて、気づいたら・・・。」


 ということのようだ。


「要は、快楽の虜になっていた、ということだね。」

「クロトさんっ、もっと別の言い方をっ!?あぅ・・・///」


 周囲の人に見られていることに気づいて、再び俯いてしまった。

 そんなアクアに、クロトは耳元でこう囁いた。


「アクア。今晩、迎えに行くからね?」

「・・・・・・!?」


 アクアは意味を理解したのか、顔を真っ赤にして、


「はぃ・・・・・・///」


 肯定の返事をしたのだった。











 その日の晩。

 皆が寝静まった後、アクアが部屋を出た。

 そして、部屋の近くで待っていたクロトと一緒に、クロトの部屋へ向かった。


 その次の日の朝、アクアは少し眠そうで、それでいて幸せそうな雰囲気だった。


 クロトの部屋で何があったかなど、語るまでもないだろう。

 マリアはアクアの様子から理由を察したが、沈黙を守ったのであった。


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