異世界隠密冒険記

リュース

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第一部「六色の瞳と魔の支配者」編

エピローグ10

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 クロトは、全極の島へやって来ていた。

 防具の試運転には、この場所が丁度いいと思ったのだ。



 そして現在、クロトの前には、属性統べる天帝だったものが存在している。


 ・・・クロトは天帝を秒殺した。

 戦闘開始から、まだ一分も経っていないだろう。

 いくら二度目の戦いとはいえ、なぜこれほどまでに圧倒できたのか。

 それは、神天魔の法衣のおかげだろう。


 法衣と名付けられているが、そうは見えない防具。

 形状は、ほとんど今まで通りだ。


 神天魔のロングコートに神天魔のロングブーツ、胸当て、籠手、などなど。

 
 しかし、その効果は劇的だった。

 光輪を生成すると、自分の能力値が1、5倍になった。

 闇輪を生成すると、相手の能力値が0、5倍になった。

 制限時間こそ1時間しかないが、それを差し引いても十二分の効果だろう。

 ちなみに、光輪と闇輪は、自由に移動させることが出来た。


 ロングブーツによる急加速は、天帝がクロトを見失うレベルの速さだった。

 籠手による魔法の吸収は、以前より余裕ができ、片手間に吸収できている。

 胸当ては・・・攻撃が当たらないので効果は不明。


 
 クロトはかつてない程の笑みを浮かべながら、天帝の解体に入った。


 魔王カリスの侵略開始まで、あと4か月半。




「・・・本当に上級魔人が全滅しているとは。半月ほど計画が遅れそうだ。」



 訂正。魔王カリスの侵略開始まで、あと五か月。







 王都にある梟の止まり木亭。

 そこの食堂に、知人たちが集まっていた。


「魔人序列1位の「魔王」とやらが、そんな奴だとはな・・・。」

「なんつーか、微妙に戦う気が無くなるな・・・。」


 全員が揃ったこのタイミングで、カリスの侵略について話をした。

 マリアが大筋を話し、クロトが補足を行った。

 王都のギルドマスターのガイアには、既に話をしてある。

 国内への連絡などは、すべて国王やガイアに丸投げだ。


「とはいえ、それを受け入れる訳にはゆかぬでござるよ。」


 それについては、ほぼ全員同意している。

 同意していないのはクロトくらいのものだ。

 自分の大切な人が無事なら、ある程度は許容できるので。

 とはいえ、世界を楽しむ邪魔になりそうなので、やはり抹殺対象だが。


 そういえば、そろそろ置き土産が発動するかもしれない。

 そんなことを思い出し、笑みを浮かべるクロト。


 みんなその笑みを見て、嫌な予感がしたとかなんとか。











 ここは、シンクレア王国のとある場所。

 魔人の拠点、だった場所である。


「上級魔人の全滅は、いい。儀式は私一人でも可能だ。」


 カリスはそう呟きながら、歩みを進める。

 そして、謎の箱を見つけた。


「これは一体・・・っ!?」


 カリスは慌てて障壁を張った。

 次の瞬間、大爆発が起きた。






「・・・やってくれるな、クロト。」


 10枚の障壁を8枚まで破壊されたカリスが、そう口にしたのだった。













「ところでマリア、あの恥ずかしい宣言のことは話さないのかな?」

「話すわけありませんわ!」

「マリアなら嬉々として話すかと思ったんだけどね・・・。」

「わたくしを何だと思ってますのっ!?」

「とっても可愛い、僕の大切な恋人だけど?」

「・・・・・・あぅ。」


 クロトとマリアがイチャついている間に、カリスは爆破された。

 
「あっ・・・。」

「・・・どうしたんですの?」

「ということで、カリスが爆発した。」

「どういうことですの!?」

「寧ろクロトが爆発しろ!人の目の前でイチャつきやがって!」


 現在、セレンに無視されているライトは猛り、マリアはクロトに掴みかかった。


 世界に危機が迫っていても、梟の止まり木亭は、とても平和だ。






「ところでライト、まだ許してもらってないの?」

「・・・下手に言い訳を重ねたのがまずかったみたいだ。」

「ライトも馬鹿なことをしたよね。」

「そうだな・・・って!元はと言えばクロトのせいじゃねぇかっ!?」

「ライトさん、また言い訳するんですか・・・?」


 その後、ライトは魂が抜けていた。




 その日、梟の止まり木亭会議で決まったのは、積極的に魔物を狩っていくこと。

 つまり、魔物が襲来する前に、討伐してしまおう、ということだ。



(それにしても、カリスは律儀だよね・・・。わざわざ教えてくれるなんて。)


 クロトはそう思わずにはいられない。

 恐らく、クロトに剣の情報を話させてしまったことへのお詫びなのだろう。

 今時、こんな律儀な魔王も珍しい。

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