異世界隠密冒険記

リュース

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第一部「六色の瞳と魔の支配者」編

祭りの後

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 祭りは無事閉幕し、王都から人が減っていった。

 それは、梟の止まり木亭も例外ではない。

 レファイスはラシアルドの町へ帰り、リンカはドレファトの町へ。

 そしてエメラも、明日、王都を去る予定だ。

 アクアは、もうしばらく王都に滞在してから帰るそうだ。



 そういう事情からか、本日は、クロトとエメラは二人っきりで出かけている。

 


「エメラ。楽しい時間は、すぐに過ぎてしまうよね・・・。」

「ん・・・。もう、夕方・・・だね。」


 時間も時間なので、宿に戻ろうとした。

 だが、そこでエメラが、クロトの服の袖を軽く引っ張る。

 クロトとエメラは、そのまま人通りの無い場所へ。


「エメラ?どうしたの?」

「ん・・・。もう、すぐ・・・お別れ、だから・・・・・・して・・・?」

「っ・・・?」


 クロトは、エメラに口づけた。


「んっ・・・あっ・・・んんんっ・・・んあっ。」

「エメラ・・・好きだよ・・・。」


 うわごとのように呟き、エメラを壁に押し付け、再び、キス。

 さらに、今日はスカートであるエメラの足に、手を這わせていく。


「ああっ・・・んあっ、それ、以上は、ここじゃ・・・ああっ!」


 クロトはいつになく興奮していた。

 このまま続けたい気分をなんとか抑え、中断した。


「ん・・・クロト、部屋に、行こ・・・?」

 


 二人は部屋に転移し、そこで一晩を過ごした。

 別れの寂しさは、前回にも増して強く、二人とも、乱れに乱れた。


 この前の行為の後の幸せそうなエメラを思い出し、歯止めがきかない。

 エメラも、普段のクールな性格をかなぐり捨てて、乱れた。

 気が済むまで、クロトを求めた。

 
 二人っきりの夜は、あっという間に過ぎていったのだった。








 翌日の朝になって。


「ん・・・。流石、に・・・はずか、しい、ね・・・?」

「うん・・・まあ。」


 エメラが昨夜の自分を恥ずかしがっていた。

 前回はそうでもなかったが、今回の乱れ具合は、流石に恥ずかしかったらしい。

 クロトから顔を隠して、真っ赤になっている。

 そして、ベッドの上で悶えている。


「ん・・・。んああああっ!?」


 大変珍しい現象を見れて、クロトはご満悦だった。







 エメラは昼頃、王都を去って、領地へ帰って行った。

 朝に出発の予定が昼になった理由は・・・お察しの通りだ。

 
 暫くは、領地を離れられない日々が続くらしいエメラ。

 次は、クロトから会いに行くのも良いかもしれない。




(さて、法理の種が手に入る日まであと二か月。何をして過ごそうかな?)


 これからしばらくの間、これといった用事は無い。

 必要な素材の回収も、ほぼ全て終わっている。

 一応、クロトにも考えていることは1つ2つあるのだが・・・。

 いかんせん、人手が足りない。




「そういうことだから。マリア、僕と付き合って?」

「何度言ったらわかるんですの!端的すぎますわ!」

「でも、意味は通ってるよね?」

「別の意味に聞こえて、なお悪いですの!」

「どんな意味に捉えたの?」

「聞かないでくださいましっ!?分かってて言ってますわよね!?」



 マリアの言う通り、クロトは分かっていて聞いている。


 この二人、互いの想いを、ある程度理解している。

 その上で、クロトはマリアを揶揄っているのだ。

 普段は、人を揶揄うことなど滅多にしないクロト。

 だが、マリアとの関係は、これで良いような気がするのだ。



「僕と一緒は嫌かな?」

「そんなことは言ってませんわ!」


 まあ、返答を保留にし続けることへの、お詫びの意味もあるかもしれないが。




 と、そんな風にマリアを揶揄っていると、向かってくる人影が。

 
 ・・・ここは天下の往来なのだ。


「やっと見つけたわよ、クロト!」

「ディアナ先輩、どうどう。」

「だから、私は馬かっ!?」


 向かってきたのは、ディアナとアイシアだ。


「二人とも、僕に何か用だったかな?」

「そろそろ王都から離れますので、その挨拶です。」


 ディアナも落ち着いたようで、アイシアに続いて話し始めた。


「そうよ。王都を離れる前に挨拶しておきたかったのよ。」

「そうなんだ。わざわざありがとう。」

「別にいいわよ。ついでなんだから。」


 捜しまわっていたようだが、それは言わぬが花だろう。


「そういえば、武闘大会はどうだった?」

「・・・・・・。」


 なぜか沈黙するディアナ。

 そこへ、代わりにアイシアが返答する。


「ディアナ先輩、知識テストで脱落したんです。」

「アイシアっ!なんで教えてしまうのよ!」


 なるほど。つまりは・・・


「頭が残念だった、ということですわね?」

「なあっ!?」


 まさか、初対面の相手に、そんなことを言われるとは。

 愕然とするディアナであった。


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