異世界隠密冒険記

リュース

文字の大きさ
上 下
70 / 600
第一部「六色の瞳と魔の支配者」編

王都感謝祭・三日目2

しおりを挟む
 一次予選を終え、残りは1500人ほど。

 クロトの知人たちは、全員突破している。


 そして、次に行われる二次予選の内容は・・・


「まさか、知識を問うテストなのかよ・・・。」


 ライトの言う通り、休憩も兼ねて、各々知識問題を解いてもらう。

 制限時間30分の全100問で、下位500名ほどが脱落。

 人の回答を盗み見るのは反則で、脱落。



 観客の見守る中、テストが始まった。

 なお、一次予選の様子は、とあるアーティファクトで見ていた。




「どれどれ?・・・簡単なのから難しいものまであるな・・・。」


 そして、この手のテストに欠かせないのが、ネタ問と呼ばれるもの。


「次、「エドワード国王の趣味は何?」・・・知るか!?聞いてこいってか!?」


 ライトは猛っていた。


「ふむ・・・「全極の島のスプライト皇帝種が使う魔法は?」光絶魔法か。」


 カレンはスラスラと答えていく。


「・・・「第一王子リオンの嫌いな食べ物は?」・・・ニンジン。」


 ヴィオラは、何故かプライベートなネタ問で正解を出していた。


「「炎獄結晶が手に入る魔物を1つ書け」?サラマンダーでいいでしょうか?」



 そんな具合で問題を解いていく一同。

 

 程なくして時間切れに。



 結果は・・・


「60点・・・微妙だ・・・。順位は、51位かよ・・・。」

「・・・65点。・・・残念。」

「87点、か。順位は、3位。まあまあだな。」

「89点ですね。・・・2位ですか。やりましたね。」

「ん・・・。80点。7位・・・。」

「58点でござるか・・・。」

「私の点数は・・・81点。できた方だな。」

「98点か・・・。流石に国王の趣味なんて知らないよ・・・。」


 とまあ、こんな感じだ。


 意外とナツメの頭が悪かった。

 ・・・否、今更か?






 二次予選を終えて、残りは1000人ほど。

 最終予選で800人まで減らすのだが・・・。



「ある人物が居る場所を通り抜け、ゴールにたどり着く?嫌な予感がするぞ?」


 ライトは冷や汗をかきはじめた。




 残った1000人がスタート位置につく。


 一本道で、距離は一キロ。先着800名が予選突破。


 競技が始まり、我先にと走っていく。

 そんな中、様子見とばかりにゆっくり走る者が十数名。

 みんな一様に強者だ。

 それを見て、自分の予感の正しさを感じた強者たち。


 少しして、前方から悲鳴が聞こえて来た。

 近づいて様子を伺うと・・・。


「・・・死屍累々。」


 ヴィオラがポツリと呟いた。

 そこには、クロトの、天落・微小を受けて這いつくばる者たちが。


 クロトはこの予選を免除されている。

 というより、他の予選も免除されていたのだが。



「クロト!おまっ!何やってんの!?」

「うん?弱い者いじめかな?」

「「「はっきり言った!?」」」


 クロトが本気で守ったら、800人も突破できないので、制約を設けた。

 1度行動したら、30秒間は動かない。


 そんな訳で、強者たちは、ゆうゆうと通過していく。



 そして、一日も終わりに近づいたころ、799人目が通過したところで終了。

 クロトも一応、ゴールを踏んだ。



 こうして、大予選会は終わったのだった。





「クロト、参加しないんじゃなかったのか?」

「ちょっと事情が出来てね。明日戦うことになったら、よろしくね?」

「出来れば当たりたくないでござる・・・。」



 


 翌日、800人を16グループに振り分け、バトルロイヤルが行われた。

 各組から2名、計32名が、トーナメント戦に出場する。



 なんというか、おおよそ予想通りの結果になった。


 一組目、いきなりクロトが登場。

 隠密したまま待機。

 残り二名になったら、片方を場外に蹴りだして終了。


 二組目以降で、クロトの知人たちは全員勝ち抜いたのだが・・・。


 四日目も半分が終わりと言う所で、アクシデント。


 会場を覆っていたアーティファクトが破損。

 会場は大混乱。

 武闘大会は中止となってしまった。


 あんまりな結末に、出場者と観戦者はガッカリであった。

 原因は、カレンととあるSランク冒険者のぶつかり合い。

 そして、アーティファクト自体の老朽化だ。



 何というか、テンプレイベントの不発は、今更と言えば今更かもしれない。



しおりを挟む
感想 1,172

あなたにおすすめの小説

異世界転生、防御特化能力で彼女たちを英雄にしようと思ったが、そんな彼女たちには俺が英雄のようだ。

Mです。
ファンタジー
異世界学園バトル。 現世で惨めなサラリーマンをしていた…… そんな会社からの帰り道、「転生屋」という見慣れない怪しげな店を見つける。 その転生屋で新たな世界で生きる為の能力を受け取る。 それを自由イメージして良いと言われた為、せめて、新しい世界では苦しまないようにと防御に突出した能力をイメージする。 目を覚ますと見知らぬ世界に居て……学生くらいの年齢に若返っていて…… 現実か夢かわからなくて……そんな世界で出会うヒロイン達に…… 特殊な能力が当然のように存在するその世界で…… 自分の存在も、手に入れた能力も……異世界に来たって俺の人生はそんなもん。 俺は俺の出来ること…… 彼女たちを守り……そして俺はその能力を駆使して彼女たちを英雄にする。 だけど、そんな彼女たちにとっては俺が英雄のようだ……。 ※※多少意識はしていますが、主人公最強で無双はなく、普通に苦戦します……流行ではないのは承知ですが、登場人物の個性を持たせるためそのキャラの物語(エピソード)や回想のような場面が多いです……後一応理由はありますが、主人公の年上に対する態度がなってません……、後、私(さくしゃ)の変な癖で「……」が凄く多いです。その変ご了承の上で楽しんで頂けると……Mです。の本望です(どうでもいいですよね…)※※ ※※楽しかった……続きが気になると思って頂けた場合、お気に入り登録……このエピソード好みだなとか思ったらコメントを貰えたりすると軽い絶頂を覚えるくらいには喜びます……メンタル弱めなので、誹謗中傷てきなものには怯えていますが、気軽に頂けると嬉しいです。※※

マスターズ・リーグ ~傭兵王シリルの剣~

ふりたけ(振木岳人)
ファンタジー
「……あの子を、シリルの事を頼めるか? ……」  騎士王ボードワンが天使の凶刃に倒れた際、彼は実の息子である王子たちの行く末を案じたのではなく、その後の人類に憂いて、精霊王に「いわくつきの子」を託した。 その名はシリル、名前だけで苗字の無い子。そして騎士王が密かに育てようとしていた子。再び天使が地上人絶滅を目的に攻めて来た際に、彼が生きとし生ける者全ての希望の光となるようにと。  この物語は、剣技にも魔術にもまるで秀でていない「どん底シリル」が、栄光の剣を持って地上に光を与える英雄物語である。

異世界営生物語

田島久護
ファンタジー
相良仁は高卒でおもちゃ会社に就職し営業部一筋一五年。 ある日出勤すべく向かっていた途中で事故に遭う。 目覚めた先の森から始まる異世界生活。 戸惑いながらも仁は異世界で生き延びる為に営生していきます。 出会う人々と絆を紡いでいく幸せへの物語。

半分異世界

月野槐樹
ファンタジー
関東圏で学生が行方不明になる事件が次々にしていた。それは異世界召還によるものだった。 ネットでも「神隠しか」「異世界召還か」と噂が飛び交うのを見て、異世界に思いを馳せる少年、圭。 いつか異世界に行った時の為にとせっせと準備をして「異世界ガイドノート」なるものまで作成していた圭。従兄弟の瑛太はそんな圭の様子をちょっと心配しながらも充実した学生生活を送っていた。 そんなある日、ついに異世界の扉が彼らの前に開かれた。 「異世界ガイドノート」と一緒に旅する異世界

男女比1/100の世界で《悪男》は大海を知る

イコ
ファンタジー
男女貞操逆転世界を舞台にして。 《悪男》としてのレッテルを貼られたマクシム・ブラックウッド。 彼は己が運命を嘆きながら、処刑されてしまう。 だが、彼が次に目覚めた時。 そこは十三歳の自分だった。 処刑されたことで、自分の行いを悔い改めて、人生をやり直す。 これは、本物の《悪男》として生きる決意をして女性が多い世界で生きる男の話である。

攫われた転生王子は下町でスローライフを満喫中!?

伽羅
ファンタジー
 転生したのに、どうやら捨てられたらしい。しかも気がついたら籠に入れられ川に流されている。  このままじゃ死んじゃう!っと思ったら運良く拾われて下町でスローライフを満喫中。  自分が王子と知らないまま、色々ともの作りをしながら新しい人生を楽しく生きている…。 そんな主人公や王宮を取り巻く不穏な空気とは…。 このまま下町でスローライフを送れるのか?

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~

甲賀流
ファンタジー
なんの特徴もない高校生の高橋 春陽はある時、異世界への繋がるダンジョンに迷い込んだ。なんだ……空気中に星屑みたいなのがキラキラしてるけど?これが全て魔力だって? そしてダンジョンを突破した先には広大な異世界があり、この世界全ての魔力を行使して神や魔族に挑んでいく。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。