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第一部「六色の瞳と魔の支配者」編
獄界の穴4
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「・・・マリアって可愛らしいよね?」
「突然何ですの!?」
「いや、だってさ・・・?」
なぜクロトがそんなことを言い出したのかというと、少しだけ前の事。
堕天使サマエルを倒し、回復を済ませた二人は、洞窟から出て来た。
「きゃぁぁぁ!?」
「えっ・・・?」
悲鳴を上げて、いきなりクロトに抱き着くマリア。
・・・どうやら、幽霊の存在を忘れていたようだ。
そして、出し抜けにそれが現れて、思わず抱き着いてしまった、と。
「・・・うん、可愛らしい反応だね。」
「だから、突然何なんですのっ!?」
顔の赤いマリアを、微笑ましく思いつつ見守るクロト。
「いい加減揶揄い過ぎですわ!わたくしを何だと思っているんですの!?」
マリアの言葉を聞き流しながら、サマエルから手に入ったものについて考える。
(悪意の欠片・・・。悪の魂と関りが・・・集めると、悪意の塊に?)
「クロト、聞いていますの!?わたくしを何だと思っているんですの!」
「・・・・・・悪意の塊、か。」
「悪意の塊!?そんな風に思っていたんですの!?」
「えっ・・・?」
猛るマリアの誤解が解けるまで、相当な時間がかかったのだった。
「結局、断絶空間内で一泊、か。」
「・・・わたくしのせいですの?」
現在、断絶空間内で休んでいるクロトとマリア。
サマエルとの戦闘で時間を掛けたからであって、マリアのせいではない。
「それは置いといて、今日はもう寝よう?さすがに眠いから。」
「・・・寝台が1つしか無い様ですわよ?」
「・・・カレンのときと同じだね。」
「あなた達、そんな関係でしたの・・・?」
マリアは、クロトに次いで、カレンと仲がいい。
マリア本人は認めないと思うが。
あんな反応をするから、ツンデレと言われるのだ。
「カレンとは、そんな関係ではないよ?」
「やっぱりクロトはおかしいですの・・・。」
結局、同じベッドで寝ることになった。
お金には頓着しないが、必要性の薄い物は買わない性格が災いしたのだ。
マリアはクロトの近くで横になりながら思考していた。
(クロトは、おかしな男ですわ・・・。この状況で何も思わないとは・・・。)
マリアの視界には、スヤスヤと眠るクロトの姿が映る。
(ある意味、あの男と似てますわね。性格は、ほとんど違いますけど。)
そう思いながら、マリアも眠りに落ちた。
翌日、目を覚ました二人は、今日の行動について話す。
「・・・じゃあ、残りの2つの小部屋も探索するってことで。」
「了解しましたわ。」
その後、残り2つの洞窟を探索した二人。
どちらの洞窟にも堕天使が居た。
相変わらず、ステータスは殆ど見えなかった。
分かったのは、どちらもレベル90台前半ということ。
堕剣術と堕法術を使用してくること。
名称が、堕天使「アザゼル」と堕天使「ベリアル」ということ。
それくらいだろうか。
どちらも強かったのは間違いない。
だがクロトたちは、これらの堕天使たちを倒した。
もちろん、二人とも無事だ。
なぜ、大した怪我もなく勝てたのかと言うと・・・
「クロト、あなたの精神はどうなってますの・・・?」
「えっ?・・・普通じゃないかな?」
「普通なわけありませんわっ!あんなっ、あんな精神攻撃を・・・!」
・・・そう、どちらの堕天使も、精神攻撃しかしてこなかったのだ。
より詳細に言うと、
アザゼルが、性欲?方面の精神攻撃。
ベリアルが、堕落?方面の精神攻撃。
精神攻撃の種類は違っていたが、クロトには大差ない。
ベリアルの方は、マリアも耐えられたのだ。
揺るがない信念を持つだけはある、ということだ。
何もしたく無くなる気分を抑え込んで、ベリアルを討伐。
ベリアルは剣も下手では無かったが、サマエル程ではない。
生成した4本の堕剣を全てクロトに破壊される前までは拮抗していた。
臨界突破系のスキルも使ってきた。
逆に言うと、それを使っても、拮抗にしかできなかったわけだが。
堕剣を破壊された後は、一方的な展開に。
時間こそ掛かったが、サマエルのときよりも安定して戦えた。
堕天使との戦闘経験の有無も大きかった。
そして、問題のアザゼルなのだが・・・。
「マリアにあんな一面があったのは意外だね。」
「今すぐ、その記憶を消させてくださいまし!」
「ん?マリアにそんな能力は無いよね?」
「ああ・・・!なぜこんな目にあってばかりなんですの・・・!」
こちらはある意味、酷い戦いとなった。
アザゼルの堕法術は、二人の性欲を刺激してきた。
男女のペアだったのは、幸運だったのか、不幸だったのか。
互いのことを、性的な対象として見てしまうようになったのだ。
この二人に精神攻撃を通すのは至難の業。
さすがは、ステータスを把握しきれない堕天使。
そのせいで、マリアはクロトに向かって、とても恥ずかしい発言をした。
ゆえに、顔を赤くして、かつてないほどに悶えているわけだ。
クロトはというと、それはそれとして、アザゼルに攻撃。
アザゼルの表情が呆然としていた気がするのは、気のせいでは無いだろう。
咄嗟に生成した1本の堕剣を破壊され、あっという間に討伐された。
「確か、「わたくしを滅茶苦茶にしてくださいまし・・・!」・・・だっけ?」
「・・・・・・・・・・・・。」
耳を塞いで聞こえないふりをするマリア。
クロトは、軽い意趣返しができたと思い、矛を引っ込めた。
クロトとて、性欲を刺激された状態でマリアのあの発言は、結構こたえたのだ。
橙の瞳を潤ませ、クロトに縋りつき、性的行為を懇願してくるマリア。
普段なら問題なかったかもしれない。
だが、アザゼルのせいで、マリアを性的対象として見てしまっている状況。
意趣返しくらいは、許されるのではないだろうか?
「突然何ですの!?」
「いや、だってさ・・・?」
なぜクロトがそんなことを言い出したのかというと、少しだけ前の事。
堕天使サマエルを倒し、回復を済ませた二人は、洞窟から出て来た。
「きゃぁぁぁ!?」
「えっ・・・?」
悲鳴を上げて、いきなりクロトに抱き着くマリア。
・・・どうやら、幽霊の存在を忘れていたようだ。
そして、出し抜けにそれが現れて、思わず抱き着いてしまった、と。
「・・・うん、可愛らしい反応だね。」
「だから、突然何なんですのっ!?」
顔の赤いマリアを、微笑ましく思いつつ見守るクロト。
「いい加減揶揄い過ぎですわ!わたくしを何だと思っているんですの!?」
マリアの言葉を聞き流しながら、サマエルから手に入ったものについて考える。
(悪意の欠片・・・。悪の魂と関りが・・・集めると、悪意の塊に?)
「クロト、聞いていますの!?わたくしを何だと思っているんですの!」
「・・・・・・悪意の塊、か。」
「悪意の塊!?そんな風に思っていたんですの!?」
「えっ・・・?」
猛るマリアの誤解が解けるまで、相当な時間がかかったのだった。
「結局、断絶空間内で一泊、か。」
「・・・わたくしのせいですの?」
現在、断絶空間内で休んでいるクロトとマリア。
サマエルとの戦闘で時間を掛けたからであって、マリアのせいではない。
「それは置いといて、今日はもう寝よう?さすがに眠いから。」
「・・・寝台が1つしか無い様ですわよ?」
「・・・カレンのときと同じだね。」
「あなた達、そんな関係でしたの・・・?」
マリアは、クロトに次いで、カレンと仲がいい。
マリア本人は認めないと思うが。
あんな反応をするから、ツンデレと言われるのだ。
「カレンとは、そんな関係ではないよ?」
「やっぱりクロトはおかしいですの・・・。」
結局、同じベッドで寝ることになった。
お金には頓着しないが、必要性の薄い物は買わない性格が災いしたのだ。
マリアはクロトの近くで横になりながら思考していた。
(クロトは、おかしな男ですわ・・・。この状況で何も思わないとは・・・。)
マリアの視界には、スヤスヤと眠るクロトの姿が映る。
(ある意味、あの男と似てますわね。性格は、ほとんど違いますけど。)
そう思いながら、マリアも眠りに落ちた。
翌日、目を覚ました二人は、今日の行動について話す。
「・・・じゃあ、残りの2つの小部屋も探索するってことで。」
「了解しましたわ。」
その後、残り2つの洞窟を探索した二人。
どちらの洞窟にも堕天使が居た。
相変わらず、ステータスは殆ど見えなかった。
分かったのは、どちらもレベル90台前半ということ。
堕剣術と堕法術を使用してくること。
名称が、堕天使「アザゼル」と堕天使「ベリアル」ということ。
それくらいだろうか。
どちらも強かったのは間違いない。
だがクロトたちは、これらの堕天使たちを倒した。
もちろん、二人とも無事だ。
なぜ、大した怪我もなく勝てたのかと言うと・・・
「クロト、あなたの精神はどうなってますの・・・?」
「えっ?・・・普通じゃないかな?」
「普通なわけありませんわっ!あんなっ、あんな精神攻撃を・・・!」
・・・そう、どちらの堕天使も、精神攻撃しかしてこなかったのだ。
より詳細に言うと、
アザゼルが、性欲?方面の精神攻撃。
ベリアルが、堕落?方面の精神攻撃。
精神攻撃の種類は違っていたが、クロトには大差ない。
ベリアルの方は、マリアも耐えられたのだ。
揺るがない信念を持つだけはある、ということだ。
何もしたく無くなる気分を抑え込んで、ベリアルを討伐。
ベリアルは剣も下手では無かったが、サマエル程ではない。
生成した4本の堕剣を全てクロトに破壊される前までは拮抗していた。
臨界突破系のスキルも使ってきた。
逆に言うと、それを使っても、拮抗にしかできなかったわけだが。
堕剣を破壊された後は、一方的な展開に。
時間こそ掛かったが、サマエルのときよりも安定して戦えた。
堕天使との戦闘経験の有無も大きかった。
そして、問題のアザゼルなのだが・・・。
「マリアにあんな一面があったのは意外だね。」
「今すぐ、その記憶を消させてくださいまし!」
「ん?マリアにそんな能力は無いよね?」
「ああ・・・!なぜこんな目にあってばかりなんですの・・・!」
こちらはある意味、酷い戦いとなった。
アザゼルの堕法術は、二人の性欲を刺激してきた。
男女のペアだったのは、幸運だったのか、不幸だったのか。
互いのことを、性的な対象として見てしまうようになったのだ。
この二人に精神攻撃を通すのは至難の業。
さすがは、ステータスを把握しきれない堕天使。
そのせいで、マリアはクロトに向かって、とても恥ずかしい発言をした。
ゆえに、顔を赤くして、かつてないほどに悶えているわけだ。
クロトはというと、それはそれとして、アザゼルに攻撃。
アザゼルの表情が呆然としていた気がするのは、気のせいでは無いだろう。
咄嗟に生成した1本の堕剣を破壊され、あっという間に討伐された。
「確か、「わたくしを滅茶苦茶にしてくださいまし・・・!」・・・だっけ?」
「・・・・・・・・・・・・。」
耳を塞いで聞こえないふりをするマリア。
クロトは、軽い意趣返しができたと思い、矛を引っ込めた。
クロトとて、性欲を刺激された状態でマリアのあの発言は、結構こたえたのだ。
橙の瞳を潤ませ、クロトに縋りつき、性的行為を懇願してくるマリア。
普段なら問題なかったかもしれない。
だが、アザゼルのせいで、マリアを性的対象として見てしまっている状況。
意趣返しくらいは、許されるのではないだろうか?
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