27 / 91
二章 高校入学編
27 制圧と友達
しおりを挟む
もう一人犯人の仲間が居ると思ったのは、先程の言葉が切っ掛けです。二人しか居ないのに「我々」というのは、些か違和感を覚えます。
もっとも、絶対におかしいというわけでもないので、確定はできません。
ですが、こういう時は仲間の一人が後ろから客に扮して見張っているという話を聞いたことがありますので、あり得なくはないでしょう。
「バスは適当に市内を走らせろ!」
ジャックさん一号が運転手さんに指示を出しました。
一体、どういった目的があるのでしょうか。
「ジャックさん、どうしてバスジャックなどという短慮な真似をしたのですか?」
「誰だそれは!?俺はそんな名前じゃねぇ!」
「そう言われましても、本名を聞く訳にもいきませんし・・・」
「ちっ、黙ってろ!」
拳銃を突き付けられて黙らされました。
バスの中から小さな悲鳴が上がっています。
・・・これで、少し絞り込めましたね。
この状態でも反応の薄い人は怪しいです。
もう少し揺さぶってみましょうか。
「ですが、どのみち目的は知られるのでしょうし、今話しても変わりませんよ?」
「っ、こいつ、減らず口をっ!ぶっ殺すぞ!?」
今度は頭に拳銃を突き付けられました。
しかし、殺されるのは困りますね。
私にはあやかし屋の営業がありますし、高校生になることだって、少し楽しみにしていたのですから。
中学のことは・・・あまり聞かないでほしいところですけど。
ん・・・怪しい人は二人まで絞り込めましたね。
決定打はありませんが、いざという時は両方を狙いましょう。
あ、ポニーテールさんが口を押さえて涙目になっています。
これは、人質を変わらせてしまったことに対する罪悪感の表れでしょうか。
優しい人ですね。この件が片付いたら友達になりたいです。
あ、もしかしたら、「もう喋らないで!」というジェスチャーかもしれません。
だとしたらごめんなさい。もう少し喋りますから。
「あ、そういえばご存知でしたか?バスジャックが成功する確率は限りなくゼロに近いそうですよ?中々険しい道のようなので頑張ってくださいね?」
「てめぇっ!どうやら死にたいらしいなっ!!それとも人質だから殺されないとでも思ってんのか!?」
「そのようなことは思っていませんよ?必要ならば平気で殺しにくるでしょうし」
「だったら何で喋りやがるんだっ!頭イカれてやがんのかっ!?」
酷い言いようですね。
私の頭は正常だと思います。
ですが、頭が狂っている人は自らが狂っているとは分からならしいです。
つまり、本当のところは分かりません。
肝が太いのは確かだと思いますけど。
さて、一人に絞り込めましたね。
一番後ろの席の真ん中に居る男性です。
これで外していたら恥ずかしいですけど、「虎穴に入らずんば虎児を得ず」という言葉もあります。このまま手をこまねいて、入学式に遅れるのは御免です。
最悪、拳銃の弾くらいならなんとかなるでしょう。
高位悪霊よりは遅いと書かれていましたから。
霊というものは、その気になればとても速いんです。だって、重さなんて無いようなものですから。
被弾した場合も、急所さえ外せば問題はありません。
これで駄目なようなら、高位悪霊の一撃で爆散してますよ。
そろそろいいですかね?
ちょうど桜台高校が近くになりましたし。
本来通らない道で来てしまいましたが、早い分には良いでしょう。
そう考えた瞬間、アラームを設定していた私の携帯が大音量で鳴り始めました。
爆発はしませんが、ジャックさんたちにとっては爆弾でしょうね。
ちょっと上手いこと言ったかもしれません・・・!
いえ、そうではなく。
行動開始です。手早く片付けましょう。
「なっ!?携帯がっ・・・!?おい、早く止めろっ!」
一号さんが二号さんに指示を出しました。
二人の注意は完全に私から外れています。
体を翻して一号さんの拳銃を奪い取り、腕を取り、足を掛け、転ばせます。
ついでに頭を蹴りつけて気絶させておきましょう。
・・・力加減に失敗して変な音が鳴りましたが、まあいいでしょう。
慌てて立ち上がった三号さんに扇(店売り五百円)を投擲して頭に直撃。
こちらも変な音が鳴った気がしますが、それは気のせいです。
最後に、こちらに向きなった二号さんに拳銃を突き付けて、制圧完了です。
あ、二号さんの拳銃も奪っておきました。
あとは、一人ずつ縄(店売り価格不定)で縛って、完全制圧。
二号さんが少し暴れたので、こちらも気絶させました。
なぜ縄などもっているかといいますと・・・両親の勧めです。
何かと役に立つので携帯しておけ、と。
二人の経験談らしいですが、どんな経験をしたのでしょうね。
既に警察への連絡はしましたので、あとは待つだけです。
その後、警察が駆けつけ、犯人たちを連行していきました。
結局、何が目的なのかも話しませんでしたね。
「ね、ねえ、あなた!大丈夫だった?怪我とかしてない?私のせいで、ごめんっ!」
ポニーテールさんがバスの外で話しかけてきました。
どうやら、相当気にしているらしいですね。
「あなたが謝ることではありませんよ?私が望んでやったことですから」
「で、でもっ・・・私、名乗り出たあなたを庇わなかったから・・・!」
「逆に、あそこで庇われていたら、それはそれでややこしくなっていましたので・・・どうかお気になさらず。それに、見ず知らずの人の代わりになろうなんて、考えてはいけませんよ?」
逆に、見ず知らずの人にそんなことをされたら、少し怖いですね。
私は目的あってのことでしたから当てはまりませんけど。
「あ、でも、一つだけお願いしていいですか?」
「えっ、何?私にできることなら何だってやるよっ!?」
それは頼もしいですね。
ですが、無茶をさせるつもりはありませんし、そう難しいことは要求しません。
「では、私の友達になってくださいませんか・・・?」
「えっ・・・?
う、うん。そんなことでいいなら、喜んで。私の方こそ、よろしくね・・・?」
「はい。よろしくお願いしますね?あ、私は影山若葉です」
「若葉、かぁ・・・。私は高梨凛。気軽に凛って呼んで!」
凛さんですね。緊張しましたが、上手くいって何よりです。
「あっ、そういえば、若葉ってなにか格闘技とかやってる人なの?その・・・犯人を制圧する手際が凄く良かったけど・・・?」
これは・・・申し訳ありませんが、正直に答えるわけにはいきませんね。
適当に誤魔化しましょう。
「いいえ?私は何の取柄も無い、普通の高校生ですよ?」
「「「「「「嘘だっ!」」」」」」
何故みなさんこちらを向いて、声を揃えて言うのでしょうか。
とっても不思議です。
もっとも、絶対におかしいというわけでもないので、確定はできません。
ですが、こういう時は仲間の一人が後ろから客に扮して見張っているという話を聞いたことがありますので、あり得なくはないでしょう。
「バスは適当に市内を走らせろ!」
ジャックさん一号が運転手さんに指示を出しました。
一体、どういった目的があるのでしょうか。
「ジャックさん、どうしてバスジャックなどという短慮な真似をしたのですか?」
「誰だそれは!?俺はそんな名前じゃねぇ!」
「そう言われましても、本名を聞く訳にもいきませんし・・・」
「ちっ、黙ってろ!」
拳銃を突き付けられて黙らされました。
バスの中から小さな悲鳴が上がっています。
・・・これで、少し絞り込めましたね。
この状態でも反応の薄い人は怪しいです。
もう少し揺さぶってみましょうか。
「ですが、どのみち目的は知られるのでしょうし、今話しても変わりませんよ?」
「っ、こいつ、減らず口をっ!ぶっ殺すぞ!?」
今度は頭に拳銃を突き付けられました。
しかし、殺されるのは困りますね。
私にはあやかし屋の営業がありますし、高校生になることだって、少し楽しみにしていたのですから。
中学のことは・・・あまり聞かないでほしいところですけど。
ん・・・怪しい人は二人まで絞り込めましたね。
決定打はありませんが、いざという時は両方を狙いましょう。
あ、ポニーテールさんが口を押さえて涙目になっています。
これは、人質を変わらせてしまったことに対する罪悪感の表れでしょうか。
優しい人ですね。この件が片付いたら友達になりたいです。
あ、もしかしたら、「もう喋らないで!」というジェスチャーかもしれません。
だとしたらごめんなさい。もう少し喋りますから。
「あ、そういえばご存知でしたか?バスジャックが成功する確率は限りなくゼロに近いそうですよ?中々険しい道のようなので頑張ってくださいね?」
「てめぇっ!どうやら死にたいらしいなっ!!それとも人質だから殺されないとでも思ってんのか!?」
「そのようなことは思っていませんよ?必要ならば平気で殺しにくるでしょうし」
「だったら何で喋りやがるんだっ!頭イカれてやがんのかっ!?」
酷い言いようですね。
私の頭は正常だと思います。
ですが、頭が狂っている人は自らが狂っているとは分からならしいです。
つまり、本当のところは分かりません。
肝が太いのは確かだと思いますけど。
さて、一人に絞り込めましたね。
一番後ろの席の真ん中に居る男性です。
これで外していたら恥ずかしいですけど、「虎穴に入らずんば虎児を得ず」という言葉もあります。このまま手をこまねいて、入学式に遅れるのは御免です。
最悪、拳銃の弾くらいならなんとかなるでしょう。
高位悪霊よりは遅いと書かれていましたから。
霊というものは、その気になればとても速いんです。だって、重さなんて無いようなものですから。
被弾した場合も、急所さえ外せば問題はありません。
これで駄目なようなら、高位悪霊の一撃で爆散してますよ。
そろそろいいですかね?
ちょうど桜台高校が近くになりましたし。
本来通らない道で来てしまいましたが、早い分には良いでしょう。
そう考えた瞬間、アラームを設定していた私の携帯が大音量で鳴り始めました。
爆発はしませんが、ジャックさんたちにとっては爆弾でしょうね。
ちょっと上手いこと言ったかもしれません・・・!
いえ、そうではなく。
行動開始です。手早く片付けましょう。
「なっ!?携帯がっ・・・!?おい、早く止めろっ!」
一号さんが二号さんに指示を出しました。
二人の注意は完全に私から外れています。
体を翻して一号さんの拳銃を奪い取り、腕を取り、足を掛け、転ばせます。
ついでに頭を蹴りつけて気絶させておきましょう。
・・・力加減に失敗して変な音が鳴りましたが、まあいいでしょう。
慌てて立ち上がった三号さんに扇(店売り五百円)を投擲して頭に直撃。
こちらも変な音が鳴った気がしますが、それは気のせいです。
最後に、こちらに向きなった二号さんに拳銃を突き付けて、制圧完了です。
あ、二号さんの拳銃も奪っておきました。
あとは、一人ずつ縄(店売り価格不定)で縛って、完全制圧。
二号さんが少し暴れたので、こちらも気絶させました。
なぜ縄などもっているかといいますと・・・両親の勧めです。
何かと役に立つので携帯しておけ、と。
二人の経験談らしいですが、どんな経験をしたのでしょうね。
既に警察への連絡はしましたので、あとは待つだけです。
その後、警察が駆けつけ、犯人たちを連行していきました。
結局、何が目的なのかも話しませんでしたね。
「ね、ねえ、あなた!大丈夫だった?怪我とかしてない?私のせいで、ごめんっ!」
ポニーテールさんがバスの外で話しかけてきました。
どうやら、相当気にしているらしいですね。
「あなたが謝ることではありませんよ?私が望んでやったことですから」
「で、でもっ・・・私、名乗り出たあなたを庇わなかったから・・・!」
「逆に、あそこで庇われていたら、それはそれでややこしくなっていましたので・・・どうかお気になさらず。それに、見ず知らずの人の代わりになろうなんて、考えてはいけませんよ?」
逆に、見ず知らずの人にそんなことをされたら、少し怖いですね。
私は目的あってのことでしたから当てはまりませんけど。
「あ、でも、一つだけお願いしていいですか?」
「えっ、何?私にできることなら何だってやるよっ!?」
それは頼もしいですね。
ですが、無茶をさせるつもりはありませんし、そう難しいことは要求しません。
「では、私の友達になってくださいませんか・・・?」
「えっ・・・?
う、うん。そんなことでいいなら、喜んで。私の方こそ、よろしくね・・・?」
「はい。よろしくお願いしますね?あ、私は影山若葉です」
「若葉、かぁ・・・。私は高梨凛。気軽に凛って呼んで!」
凛さんですね。緊張しましたが、上手くいって何よりです。
「あっ、そういえば、若葉ってなにか格闘技とかやってる人なの?その・・・犯人を制圧する手際が凄く良かったけど・・・?」
これは・・・申し訳ありませんが、正直に答えるわけにはいきませんね。
適当に誤魔化しましょう。
「いいえ?私は何の取柄も無い、普通の高校生ですよ?」
「「「「「「嘘だっ!」」」」」」
何故みなさんこちらを向いて、声を揃えて言うのでしょうか。
とっても不思議です。
0
お気に入りに追加
161
あなたにおすすめの小説
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
人形の中の人の憂鬱
ジャン・幸田
キャラ文芸
等身大人形が動く時、中の人がいるはずだ! でも、いないとされる。いうだけ野暮であるから。そんな中の人に関するオムニバス物語である。
【アルバイト】昭和時代末期、それほど知られていなかった美少女着ぐるみヒロインショーをめぐる物語。
【少女人形店員】父親の思い付きで着ぐるみ美少女マスクを着けて営業させられる少女の運命は?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
後宮なりきり夫婦録
石田空
キャラ文芸
「月鈴、ちょっと嫁に来るか?」
「はあ……?」
雲仙国では、皇帝が三代続いて謎の昏睡状態に陥る事態が続いていた。
あまりにも不可解なために、新しい皇帝を立てる訳にもいかない国は、急遽皇帝の「影武者」として跡継ぎ騒動を防ぐために寺院に入れられていた皇子の空燕を呼び戻すことに決める。
空燕の国の声に応える条件は、同じく寺院で方士修行をしていた方士の月鈴を妃として後宮に入れること。
かくしてふたりは片や皇帝の影武者として、片や皇帝の偽りの愛妃として、後宮と言う名の魔窟に潜入捜査をすることとなった。
影武者夫婦は、後宮内で起こる事件の謎を解けるのか。そしてふたりの想いの行方はいったい。
サイトより転載になります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる