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4章
244 ウェザリアの防衛設備
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ギルド戦が始まってから一時間ほどは暇だった。
まあ、そんな直ぐに動きがあるはずがないのだが・・・退屈だ。
城の天守閣でのんびりしているしかできないのだから。
「暇だねぇ・・・。レイン、アストとの惚気話でも聞かせて」
「ええっ!? そ、そんなことを言われてもっ・・・!」
「おいシエラ、レインを揶揄う前に自分の恋愛事情に目を向けるといい」
「うわっ、悪意を持ったブーメランが返ってきたっ!」
シエラがニヤニヤしながらレインを弄っていたので、適当にとめておく。
僕の話まで赤裸々に語られたら恥ずかしいなんてものじゃないからな。
主に告白の時のこととか。
とかなんとかやっている間に、天守閣から敵の姿を捉えた。
縮小したマップにも反応が映った。
東の方から・・・五十人くらいか。微妙に多い。
表示されているギルドアイコンは六種類。
やはり同盟を組んで襲撃にきたな。予想通りだ・・・ミレアの。
「来たわね。全員、迎撃の準備をお願い。アレをやるわよ」
「「「「「了解!」」」」」
天守閣にアリアさんを残し、残る全員で入口へ向かう。
この拠点は侵入可能場所が一つしかないので、少人数でも実に守りやすい。
さーて、僕とミレア、アリアさん考案の防衛システムは効果があるかね?
何気に物凄く楽しみだ。
▽▽▽
俺の名前はもののけ王子。
十名からなる小規模ギルド《もののけフェスティバル》のギルドマスターだ。
今現在、最小規模ながら超精鋭揃いのギルド《ウェザリア》の拠点を訪れている。
メンバーは、六ギルド合同で五十四人。俺のギルドからは四人だ。
早い段階で同盟を組めたので、最低限の守りを残して攻めにきたんだ。
僅か六人のギルド相手に大人気ないと思うか?
いやいやいや、これでも足りないくらいじゃなかろうか。
なにせ、個人戦で三人が決勝トーナメントへ進出し、うち二人は優勝と準優勝だ。
決勝戦は俺も観戦していたが・・・やばい、勝てる気がしなくなってきた。
いや、あの<固有魔法>や<固有武技>を使われたらお終いだが、あれは消耗が大きいはず。長期戦になるのにいきなり使ってくるとは考え辛い。
あれさえなければ、隙を突いてフラッグを奪うことも可能かもしれない。
場合によっては、ギルドマスターを倒すことも。
こっちは五十人も居るんだから。
それに、攻めなければ襲撃を掛けられてお終いだ。
一番近くにある以上、間違いなく狙われるだろうし。
ギルド《ウェザリア》の拠点は侵入できそうな場所が一か所しかない。
城正面方向にある、幅十メートルくらいの上り坂だ。
「守りやすそうな拠点ですね。あ、もののけ王子、あなたは危なくなったら逃げてくださいね?ギルドマスターなんだから」
「ああ、分かっているさ。今回のはただの偵察だ。無理はしない」
隣から俺に話しかけてきたのは、金髪の女性。
ギルドメンバーのプリンセス・アレイシアだ。
自分のことを自分でプリンセスとか名乗る痛い子だが、腕はいい。
なにせ、個人戦で決勝トーナメントまで残ったんだから。一回戦負けだけど。
俺? 俺は開始早々にフランというプレイヤーにやられたさ。
勝てる訳ないって、あんなの。
さて、それじゃあ攻めようか。
人が居ないのが気になるところだが、ここにとまっていても仕方がない。
同盟ギルドのリーダーたちと目配せをして、一斉に坂を上り始める。
本当は少人数ずつ上って様子をみたいんだが、どこのギルドだって犠牲になりたくなんてないだろうから。これが妥協案なんだ。
でも、唯一の入口に誰も配置しないってのは妙だよな・・・?
それくらいの人員は出せるはずだし・・・。
そんな疑問に答えが出たのは、坂を中間辺りまで移動した時のことだった。
「食らえっ!『ウォーターストーム』『ウォーターストーム』っ!」
「「「「「「なっ!?」」」」」」
突然現れた赤髪の少女、個人戦準優勝者のミレアが魔法を発動した。
おかしい、どこにも姿なんてなかったのにっ!?
だが、どうしたことか、放たれた水は坂を流れ落ちるだけだった。
水流は意外と馬鹿にならない力を持っているが、これなら踏ん張れば・・・!
そんなことを思った俺は、実に間抜けだったらしい。
「『ブリザードフィールド』っ!」
腰を低くして水の流れを堪えていると、氷獄魔法が発動された。
Lv1呪文アーツの『ブリザードフィールド』か。
・・・いやいや、冷静に考えてる場合かっ!
水が凍り付いて、俺たちの足が地面に固定されたっ!!
こんな使い方もできたのかっ!!
不味い不味い不味い!!
これだと一方的に攻撃されるしかないっ!!
早く脱出を・・・・・・は?
俺が坂の上に目撃したのは、大量に積まれた大石が転がってくる様子だった。
「「「「「のわああああああっ!?」」」」」
「「「嘘だろおおおおおっ!?」」」
「「Nooooooooo!?」」
「神よっ!! 私をお助けぶへらっ!?」
「残念! 俺の 冒険は ここで 終わって しまった!」
「えっ、ちょっ、これっ! もののけ王子が逃げられな―――」
前方に居たプレイヤーたちが、何も出来ずに飲み込まれていった。
プリンセス・アレイシアも、大石に押しつぶされた。
その直後、俺も迫りくる大石群に呑み込まれて――――
―――――――――――――――――――――――――――――――
『ギルド対抗「攻城戦」開催中!』 <残り二十二時間三十分>
・参加ギルド 302ギルド
・残りギルド 296ギルド/302ギルド
・獲得フラッグ0 喪失フラッグ0
・獲得ポイント0 喪失ポイント0
・総合ポイント0
・広域マップ確認
・周辺マップ確認《ウェザリア》
・―――――――
・―――――
―――――――――――――――――――――――――――――――
まあ、そんな直ぐに動きがあるはずがないのだが・・・退屈だ。
城の天守閣でのんびりしているしかできないのだから。
「暇だねぇ・・・。レイン、アストとの惚気話でも聞かせて」
「ええっ!? そ、そんなことを言われてもっ・・・!」
「おいシエラ、レインを揶揄う前に自分の恋愛事情に目を向けるといい」
「うわっ、悪意を持ったブーメランが返ってきたっ!」
シエラがニヤニヤしながらレインを弄っていたので、適当にとめておく。
僕の話まで赤裸々に語られたら恥ずかしいなんてものじゃないからな。
主に告白の時のこととか。
とかなんとかやっている間に、天守閣から敵の姿を捉えた。
縮小したマップにも反応が映った。
東の方から・・・五十人くらいか。微妙に多い。
表示されているギルドアイコンは六種類。
やはり同盟を組んで襲撃にきたな。予想通りだ・・・ミレアの。
「来たわね。全員、迎撃の準備をお願い。アレをやるわよ」
「「「「「了解!」」」」」
天守閣にアリアさんを残し、残る全員で入口へ向かう。
この拠点は侵入可能場所が一つしかないので、少人数でも実に守りやすい。
さーて、僕とミレア、アリアさん考案の防衛システムは効果があるかね?
何気に物凄く楽しみだ。
▽▽▽
俺の名前はもののけ王子。
十名からなる小規模ギルド《もののけフェスティバル》のギルドマスターだ。
今現在、最小規模ながら超精鋭揃いのギルド《ウェザリア》の拠点を訪れている。
メンバーは、六ギルド合同で五十四人。俺のギルドからは四人だ。
早い段階で同盟を組めたので、最低限の守りを残して攻めにきたんだ。
僅か六人のギルド相手に大人気ないと思うか?
いやいやいや、これでも足りないくらいじゃなかろうか。
なにせ、個人戦で三人が決勝トーナメントへ進出し、うち二人は優勝と準優勝だ。
決勝戦は俺も観戦していたが・・・やばい、勝てる気がしなくなってきた。
いや、あの<固有魔法>や<固有武技>を使われたらお終いだが、あれは消耗が大きいはず。長期戦になるのにいきなり使ってくるとは考え辛い。
あれさえなければ、隙を突いてフラッグを奪うことも可能かもしれない。
場合によっては、ギルドマスターを倒すことも。
こっちは五十人も居るんだから。
それに、攻めなければ襲撃を掛けられてお終いだ。
一番近くにある以上、間違いなく狙われるだろうし。
ギルド《ウェザリア》の拠点は侵入できそうな場所が一か所しかない。
城正面方向にある、幅十メートルくらいの上り坂だ。
「守りやすそうな拠点ですね。あ、もののけ王子、あなたは危なくなったら逃げてくださいね?ギルドマスターなんだから」
「ああ、分かっているさ。今回のはただの偵察だ。無理はしない」
隣から俺に話しかけてきたのは、金髪の女性。
ギルドメンバーのプリンセス・アレイシアだ。
自分のことを自分でプリンセスとか名乗る痛い子だが、腕はいい。
なにせ、個人戦で決勝トーナメントまで残ったんだから。一回戦負けだけど。
俺? 俺は開始早々にフランというプレイヤーにやられたさ。
勝てる訳ないって、あんなの。
さて、それじゃあ攻めようか。
人が居ないのが気になるところだが、ここにとまっていても仕方がない。
同盟ギルドのリーダーたちと目配せをして、一斉に坂を上り始める。
本当は少人数ずつ上って様子をみたいんだが、どこのギルドだって犠牲になりたくなんてないだろうから。これが妥協案なんだ。
でも、唯一の入口に誰も配置しないってのは妙だよな・・・?
それくらいの人員は出せるはずだし・・・。
そんな疑問に答えが出たのは、坂を中間辺りまで移動した時のことだった。
「食らえっ!『ウォーターストーム』『ウォーターストーム』っ!」
「「「「「「なっ!?」」」」」」
突然現れた赤髪の少女、個人戦準優勝者のミレアが魔法を発動した。
おかしい、どこにも姿なんてなかったのにっ!?
だが、どうしたことか、放たれた水は坂を流れ落ちるだけだった。
水流は意外と馬鹿にならない力を持っているが、これなら踏ん張れば・・・!
そんなことを思った俺は、実に間抜けだったらしい。
「『ブリザードフィールド』っ!」
腰を低くして水の流れを堪えていると、氷獄魔法が発動された。
Lv1呪文アーツの『ブリザードフィールド』か。
・・・いやいや、冷静に考えてる場合かっ!
水が凍り付いて、俺たちの足が地面に固定されたっ!!
こんな使い方もできたのかっ!!
不味い不味い不味い!!
これだと一方的に攻撃されるしかないっ!!
早く脱出を・・・・・・は?
俺が坂の上に目撃したのは、大量に積まれた大石が転がってくる様子だった。
「「「「「のわああああああっ!?」」」」」
「「「嘘だろおおおおおっ!?」」」
「「Nooooooooo!?」」
「神よっ!! 私をお助けぶへらっ!?」
「残念! 俺の 冒険は ここで 終わって しまった!」
「えっ、ちょっ、これっ! もののけ王子が逃げられな―――」
前方に居たプレイヤーたちが、何も出来ずに飲み込まれていった。
プリンセス・アレイシアも、大石に押しつぶされた。
その直後、俺も迫りくる大石群に呑み込まれて――――
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『ギルド対抗「攻城戦」開催中!』 <残り二十二時間三十分>
・参加ギルド 302ギルド
・残りギルド 296ギルド/302ギルド
・獲得フラッグ0 喪失フラッグ0
・獲得ポイント0 喪失ポイント0
・総合ポイント0
・広域マップ確認
・周辺マップ確認《ウェザリア》
・―――――――
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