異世界転生? いいえ、チートスキルだけ貰ってVRMMOをやります!

リュース

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4章

238 上級宝飾師

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 狩りを終えてアライアの町へ。

 ミレアの懇願を軽く無視して、昼食はゴーヤづくしに決定。
 一応、人数分ちゃんと買ってあるんだよ。


「うぅぅっ・・・!アスト兄のいじめっこ!」

「何とでも言え。僕の決意は変わらない」


 今日という今日は目にもの見せてくれる。
 いつものように、ちょっとお願いされただけで前言撤回する甘い兄だと思わないことだな。

 フッた女性への遠慮?
 残念ながらそんなものはない。


「アスト兄の変態っ!」

「・・・・・・。」

「アスト兄大好きっ!」

「ブホッ、ゴホッ・・・!?」


 このタイミングでそれは洒落になってないんだが!?
 これを試合中にやられていたら負けていたかもしれん・・・。

 何で今、そんな輝くような笑顔で堂々と言うんでしょうねぇ!?


「ゴーヤをやめてくれないなら、このままウェザリアに着くまで同じことを言い続けよっかな~?」

「勘弁してくれっ!?」


 結局、必要以上にゴーヤを使わないという条件で手を打つことに。
 町中で妹から愛の告白をされ続けるとか、どんな拷問だ。

 レインのことがあるから、余計によろしくない。

 まあ、銀のたわしのおかげで、ミレアは完全にいつも通りになったし。
 もしかしたら幸運のアイテムだったのかもしれないな。

 なお、ちゃんとたわしは回収した。
 ゴミアイテムでも捨てるのは可哀そうなので。



 〇〇〇



 ウェザリアに戻ってくると、シエラがこんなものを渡してきた。



蒼炎宝石フレイム・サファイア】装飾アイテム レア度6
 燃えるような蒼色に輝く綺麗な宝石。
 蒼炎虎の石を腕のいい宝飾師が磨いたもの。



 元はもう少し大きかったのだが、小指の先くらいになっている。
 説明にある通り、燃えるような蒼色に輝いている宝石だ。数は二個。

 シエラは僕の前でくるりと横に一回転し、ポーズを決めた。

 しかしこれは・・・。


「シエラ。宝石など渡されても、お前のプロポーズは受けないぞ・・・?」

「何言ってるのアストっ!? そんなんじゃないってばっ!?」


 断固として違うと主張された。
 勘違いで良かったよ、本当に。

 だがなぁ、唐突に宝石を渡されたら誰だって驚くさ。
 おまけにあんなポーズまで決められたら、な?


「なんであんなポーズを決めてたんだ?」

「蒼炎虎の石を磨いて上級宝飾師になったから、それをアピールしてたのっ!」


 なんて分かり辛いアピールだ・・・。
 もっと普通に言えばいいのに。

 と、上級宝飾師というのは本当らしいので素直に祝福しておく。
 僕としても嬉しいことだしな。

 何故なら、これでシエラも・・・


「宝石の加工、可能になったのか?」

「うん、できるようになったよ! 今勉強中だから、もう少しだけ待ってね?」

「そうか。それは本当におめでとう。ここまで長かったな。あと少し待つくらいなら、何の問題もないさ」


 やはりカット作業が可能になったようだ。
 これでようやく、手元にあった宝石類が日の目を見るな。

 確か、レア度5のルビー、サファイア、エメラルド、トパーズが一つずつ。
 レア度4のルビーが一つ、そしてフレイムサファイアが一つか。

 闘技大会が終わった頃に頼もうかな。


「それでね、少し相談があるんだけど・・・レア度4のルビーを実験に使ってもいいかなっ!?」

「実験・・・?」

「うん。その実験でルビーは駄目になりそうだけど、その方が勉強になるから・・・。こんなこと他の人には頼めなくって・・・」


 そりゃあ頼めないだろうよ・・・。
 どこに使い潰す前提の加工を許可する客が居るんだよ・・・。

 まあ、僕はレア度が一段上のルビーがあるし、それを踏まえてのお願いか。
 僕としては、それが近道になるならルビーの一つくらい惜しくはない。


「・・・分かった。使って構わないぞ・・・ほれ」

「わわっ! ・・・ありがとうアストっ!」

「何の成果も得られなかったら僕と模擬戦一時間の刑な」

「うえええええっ!? ううっ・・・頑張る」


 自分で言っといてなんだが、そんなに嫌か、僕と模擬戦。
 ちょっとだけショック。
 別に厳しく指導なんてしないのになぁ・・・。

 と、新しい【蒼炎虎の石】を渡さないと。


「そういう訳だから、買い取りを頼む。ミレアの方も・・・あれ?」


 そういえば先程から気配が無かったが、どこに行ったんだ?
 既に分配は終わっているし、別に構わないのだけれど。


「―――レインっ!シエラがアスト兄に宝石を送ってアピールしてたよっ!」

「ええっ!? シエラさんがっ!? そんな、まさかシエラさんも・・・!!」

「「ちょっ!?」」


 何を言ってくれちゃってるんだあの妹っ!!
 発言に嘘は無いが、意図的に誤解を生もうとしてやがるっ!!

 やはりゴーヤづくしをやめるべきではなかったかっ!?

 とりあえず誤解を解きに行かねばっ!

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