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4章
227 決勝戦 VS ミレア 後編1
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「アスト兄、気づいてっ・・・!?」
「―――『オーバーアクセル』っ!」
「っ!?」
ミレアが動揺した隙に二度目の切り札を行使する。
ズルいのは分かるが、ミレアも時々やることだからな。
勝負の決まる大事なタイミングで「お兄ちゃん、大好きっ!」は駄目だろう。
・・・って! 僕が動揺してどうする!
自分の想像のせいで生じた動揺を抑え込み、武器換装後、光速でミレアに接近。
「―――<固有武技>『フォトン・インフィニティ』っ!!」
「!?」
光速のまま、無限とも言える回数、刺突を繰り出し続ける。
ミレアは無詠唱の魔法で必死にさばいているが、いずれ限界がくる。
かといって光速から逃げることも無理だ。
つまり、僕がこのラウンドは頂いたということ。
体感で八秒が過ぎた辺りで防衛に限界がきたようで、ミレアに刺突がヒット。
光速状態が終了した段階で三発ヒットさせることに成功した。
ミレアのHPバーは残り半分を切った。
数えきれないほど魔法も使用したので、MPも大きく減って残り四割。
お互い、切り札はあと一回で限界そうだな。
四回という使用回数は希望的観測過ぎた。
「どうしたミレア?精彩を欠いているぞ?上手くいっても命中するのは二発までだと思っていたんだが・・・」
「アスト兄のせいでしょっ!!この状況で、あんなこと言うなんてっ!!」
「それは悪かったと思っているが、ブーメランって知ってるか?」
「ううっ・・・!」
まあつまり、その件に関しては僕もミレアも悪いということだ。
ここはお互いの所業を相殺しておこう。
・・・ミレアの顔が赤いのは、やはり僕の勘違いではないという証拠だな。
これで誤解だったら恥ずかしいどころではない。
一年くらい家出したくなるレベルだ。
酷い土煙と騒音の中で会話を続ける。
「・・・アスト兄。ううん、お兄ちゃん、いつから気づいてたの?」
「・・・確信したのは最近。FSOを始めて直ぐの頃だな。あの頃からだいぶん露骨になったし。多分、僕とミレア、両方のアナザースキルによる影響だろう」
「私の気持ちに気づいてて、見て見ぬ振りをしたってこと・・・?」
「ああ、そうなるな」
時には自分の思考さえ誤魔化して、好意の表れをスルーしてきた。
本当に最低で、酷いことをしていた自覚はある。
許してもらうつもりはないが、片をつけなければ先へ進めない。
それ故に、色々な覚悟を決めたのだ。
「・・・・・・馬鹿」
「・・・・・・。」
「お兄ちゃんの馬鹿馬鹿馬鹿ああああああっ!!」
騒音により観客には聞こえていないだろうが、僕にはよく聞こえた。
こいつからこんな風に罵倒されるの、初めてだな・・・。
まあ、それだけのことをしたのだ。
甘んじて受け止めるしかない。
「・・・・・・この勝負でお兄ちゃんが勝ったら、告白するって認識でいいの?」
「ああ。相違ない」
ミレアは涙目になって睨みつけながら、僕に確認してきた。
簡単に言ってしまえばそういうことなので、相違ないと答えた。
逆に言えば、負けたら告白しないということだ。
レインのことは・・・スッパリ諦める。
うん、我ながら物凄く馬鹿なことをしてる自覚はあるんだ。
そんなことしたって、いいことなんて一つも無いのだから。
けれど、僕にとってはレイン・・・優香と同じくらいに美鈴が大事な存在なのだ。
愛の方向性は違えど、それは正真正銘真実だ。
結果がどうあれ、このまま優香に告白することは、美鈴を蔑ろにし過ぎている。
僕のちっぽけなプライドが、それを許してくれない。
だから・・・僕はリスクを負う。
優香のことを諦めて、一生独り身で過ごすというリスクを。
何度も言うが、本当に馬鹿な真似をしているよな。
優香の想いを考えれば、こんなことするべきではないのに。
そもそも、ミレアが遠慮して負ける可能性さえあったのに。
だが、もはや賽は投げられた。
覚悟を決めるしかない。
今のミレアの表情は、そう思わされる表情だ。
「私、応援するつもりだったよ?諦められないながらも、二人の幸せを願ってた」
「・・・・・・。」
「けど・・・やめた。こんなことされたら、諦められないよ・・・」
土埃が収まり、観客席からの声が少しずつ聞こえるようになってきた。
僕は、槍を構えて、戦闘態勢に移る。
「私、勝っちゃうからね?勝って、お兄ちゃんの恋路を邪魔する。でもその代わり、ちゃんと私もリスクを負うから」
「・・・リスク?」
「ん。もし私が負けたら、お兄ちゃんのことは・・・スッパリ諦める」
そういうことか。
それなら、望むところだ。
わざわざそんなことを言い出した以上、本当に諦めるのだろうし。
ミレアはこういうところで嘘を吐かないのだ。
「だから、ね? 絶対に・・・・・・絶対に、勝つからっ!!」
土埃が完全に張れ、ミレアの宣言とともに、試合は再開された。
「―――『オーバーアクセル』っ!」
「っ!?」
ミレアが動揺した隙に二度目の切り札を行使する。
ズルいのは分かるが、ミレアも時々やることだからな。
勝負の決まる大事なタイミングで「お兄ちゃん、大好きっ!」は駄目だろう。
・・・って! 僕が動揺してどうする!
自分の想像のせいで生じた動揺を抑え込み、武器換装後、光速でミレアに接近。
「―――<固有武技>『フォトン・インフィニティ』っ!!」
「!?」
光速のまま、無限とも言える回数、刺突を繰り出し続ける。
ミレアは無詠唱の魔法で必死にさばいているが、いずれ限界がくる。
かといって光速から逃げることも無理だ。
つまり、僕がこのラウンドは頂いたということ。
体感で八秒が過ぎた辺りで防衛に限界がきたようで、ミレアに刺突がヒット。
光速状態が終了した段階で三発ヒットさせることに成功した。
ミレアのHPバーは残り半分を切った。
数えきれないほど魔法も使用したので、MPも大きく減って残り四割。
お互い、切り札はあと一回で限界そうだな。
四回という使用回数は希望的観測過ぎた。
「どうしたミレア?精彩を欠いているぞ?上手くいっても命中するのは二発までだと思っていたんだが・・・」
「アスト兄のせいでしょっ!!この状況で、あんなこと言うなんてっ!!」
「それは悪かったと思っているが、ブーメランって知ってるか?」
「ううっ・・・!」
まあつまり、その件に関しては僕もミレアも悪いということだ。
ここはお互いの所業を相殺しておこう。
・・・ミレアの顔が赤いのは、やはり僕の勘違いではないという証拠だな。
これで誤解だったら恥ずかしいどころではない。
一年くらい家出したくなるレベルだ。
酷い土煙と騒音の中で会話を続ける。
「・・・アスト兄。ううん、お兄ちゃん、いつから気づいてたの?」
「・・・確信したのは最近。FSOを始めて直ぐの頃だな。あの頃からだいぶん露骨になったし。多分、僕とミレア、両方のアナザースキルによる影響だろう」
「私の気持ちに気づいてて、見て見ぬ振りをしたってこと・・・?」
「ああ、そうなるな」
時には自分の思考さえ誤魔化して、好意の表れをスルーしてきた。
本当に最低で、酷いことをしていた自覚はある。
許してもらうつもりはないが、片をつけなければ先へ進めない。
それ故に、色々な覚悟を決めたのだ。
「・・・・・・馬鹿」
「・・・・・・。」
「お兄ちゃんの馬鹿馬鹿馬鹿ああああああっ!!」
騒音により観客には聞こえていないだろうが、僕にはよく聞こえた。
こいつからこんな風に罵倒されるの、初めてだな・・・。
まあ、それだけのことをしたのだ。
甘んじて受け止めるしかない。
「・・・・・・この勝負でお兄ちゃんが勝ったら、告白するって認識でいいの?」
「ああ。相違ない」
ミレアは涙目になって睨みつけながら、僕に確認してきた。
簡単に言ってしまえばそういうことなので、相違ないと答えた。
逆に言えば、負けたら告白しないということだ。
レインのことは・・・スッパリ諦める。
うん、我ながら物凄く馬鹿なことをしてる自覚はあるんだ。
そんなことしたって、いいことなんて一つも無いのだから。
けれど、僕にとってはレイン・・・優香と同じくらいに美鈴が大事な存在なのだ。
愛の方向性は違えど、それは正真正銘真実だ。
結果がどうあれ、このまま優香に告白することは、美鈴を蔑ろにし過ぎている。
僕のちっぽけなプライドが、それを許してくれない。
だから・・・僕はリスクを負う。
優香のことを諦めて、一生独り身で過ごすというリスクを。
何度も言うが、本当に馬鹿な真似をしているよな。
優香の想いを考えれば、こんなことするべきではないのに。
そもそも、ミレアが遠慮して負ける可能性さえあったのに。
だが、もはや賽は投げられた。
覚悟を決めるしかない。
今のミレアの表情は、そう思わされる表情だ。
「私、応援するつもりだったよ?諦められないながらも、二人の幸せを願ってた」
「・・・・・・。」
「けど・・・やめた。こんなことされたら、諦められないよ・・・」
土埃が収まり、観客席からの声が少しずつ聞こえるようになってきた。
僕は、槍を構えて、戦闘態勢に移る。
「私、勝っちゃうからね?勝って、お兄ちゃんの恋路を邪魔する。でもその代わり、ちゃんと私もリスクを負うから」
「・・・リスク?」
「ん。もし私が負けたら、お兄ちゃんのことは・・・スッパリ諦める」
そういうことか。
それなら、望むところだ。
わざわざそんなことを言い出した以上、本当に諦めるのだろうし。
ミレアはこういうところで嘘を吐かないのだ。
「だから、ね? 絶対に・・・・・・絶対に、勝つからっ!!」
土埃が完全に張れ、ミレアの宣言とともに、試合は再開された。
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