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4章
219 ギルド《桜花絢爛》
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『決着ッッ!!準決勝第一試合を制したのは、『【虹の賢者】ミレア選手』っ!』
システマによる勝者宣言が行われ、観客が湧いた。
これまでもいい試合は幾つもあったが、これほど観客に魅せる試合は他に無かったと思う。矢を溶岩で固めて反撃に利用したところなどは特に。
それだけ人気が出て然るべき試合展開だろう。
『彼女たちのパフォーマンスも素晴らしかったですが、運営の一員である私が一番驚いたのは、やはりというかなんというか、【空間魔法】ですね』
『ほう?それはそうしてでしょうか、エフエスタさん。確かに驚愕の魔法でしたが』
『実は、あの【空間魔法】というスキルは一種の隠しスキル扱いなんですよ。
仮に表に出るとしてもまだまだ先だと思っていたのですが、驚きました。
アレの取得には、いくつもの厳しい条件を乗り越える必要があるのですから』
『なるほどっ!そういうことなら納得です!』
隠しスキル、ねぇ・・・。
あの詠唱から何となく分かったつもりだったが、他にも条件がありそうだ。
一体いつの間に、そんな条件を満たしていたのやら。
あの魔法『ディストーション』は<固有魔法>なので別にしても、どんな呪文アーツがあるのだろうか。大会が終わったら聞いてみよう。
それと、『ディストーション』の効果は、空間歪曲と見て正解だろう。
具体的に言うと、予選で僕が追いかけられた消滅の波。
あれと同じ類いのものだ。
ただし、ミレアのやつは生命体には使用不可。
非生命体のみを空間の狭間に呑み込む魔法だ。
そうでなければ、フレグランスも呑み込まれていたはずだからな。
弱点は・・・タイミングを合わせるのが難しいことか。
敵の動きを見てからでは遅いので、相手の使う技が溜めの長い技であり、なおかつ事前に用意しておくことが必要、と。
・・・僕が戦う時はそれほど気にしなくてもいいだろう、多分。僕にフレグランスみたいな大技は存在しないからな。
さて、次は僕の番か。
対戦相手はギルド《桜花絢爛》のギルドマスターであるサクラ。
今気づいたが、サクラはギルドのサブマスであるルノア・ヴァイスの仇を討ったことになるのか。確かフランに負けていたはずだし。
これまでの戦いは負ける気がしていなかったが、今回は定かでない。
予想が正しければ、多分相手もアナザースキル保持者なんだよなぁ・・・。
▽▽▽
「いいですか、サクラ。次の相手は間違いなく強敵です。それに、ここまでの試合は全力でなかったように思います。気合を入れてください」
「はい。頑張りますよ~」
「本当に分かっているんですかっ!?前の試合だって切り札が無ければ危なかったのですよっ!」
「そうですね・・・あの方は本当に強かったです~」
ギルド《桜花絢爛》の幹部がサクラに言い聞かせているが、天然であるサクラが理解しているのかどうかいまいち不安であった。
サクラの返事に頭を抱えている幹部に、ルノアが見かねて声を掛けた。
「アリッサ・・・サクラには、自由にやらせてあげて。彼女は、自由が一番、似合う。それに私たちは、そんな彼女に惹かれて、仲間になったから」
「うっ・・・それもそうですね」
ルノアの無表情ながら愛のある助言に、アリッサは自分の行動を恥じた。
確かに、天然であるサクラには、それが一番なのだ。
そしてなにより、それがサクラの魅力であり本質なのだから。
「サクラ・・・対戦相手、どう思う?」
「とっても強いと思いますよ?多分一人では勝てないと思います~」
「「「えええっ!?」」」
いきなりの敗北宣言に、その場に居たルノア以外のメンバーが驚愕の声を上げた。
しかし、サクラの言葉はまだ続いていた。
「でも、私は一人じゃありませんから。大自然の中に聳え立つ大樹のように、大地や水、みんなに支えられています。ですから・・・勝ってみせますよ~」
「「「「・・・・・・」」」」
こういう言葉を自然と、それでいて恥じることなく言ってしまうのが彼女だ。
だからこそ彼女は人から好かれ、心の拠り所となるのである。
その、間違いなく汚れ一つない微笑みは、人々の心を掴んで離さない。
好感度ランキングで上位にくるのも自然のことなのであった。
ルノア以外のギルドメンバーたちが、我慢できずにサクラに抱き着いた。
そして、サクラは思う。
(みんなのおかげで、力が湧いてきます・・・。次の試合も、楽しめるといいなぁ。)
そんなポヤンとした思考を誰にも悟られないのは、きっと幸運なことなのだろう。
「・・・ところで、例の件は?」
「ああ、サクラが持ってるアナザースキル、ってやつですか? 予選でのアストというプレイヤーの試合を見返してみたけど、使っている様子は無いですね」
「・・・所持していない、か。使うまでも無かった、か」
「・・・所持していないことを祈るしかありませんね」
これで、予選の映像を見返していたら、気づいたのかもしれない。
アストの加速というスキルについて。
もっとも、加速は効果としては非常に分かり辛いので、見直していても確信は持てなかったと思われるが。
(アリッサの難しい顔、「ミ」と「ラ」ですね~。可愛いです・・・。)
そしてそんな中でも、サクラは持ち前の天然さを発揮していたのだった。
システマによる勝者宣言が行われ、観客が湧いた。
これまでもいい試合は幾つもあったが、これほど観客に魅せる試合は他に無かったと思う。矢を溶岩で固めて反撃に利用したところなどは特に。
それだけ人気が出て然るべき試合展開だろう。
『彼女たちのパフォーマンスも素晴らしかったですが、運営の一員である私が一番驚いたのは、やはりというかなんというか、【空間魔法】ですね』
『ほう?それはそうしてでしょうか、エフエスタさん。確かに驚愕の魔法でしたが』
『実は、あの【空間魔法】というスキルは一種の隠しスキル扱いなんですよ。
仮に表に出るとしてもまだまだ先だと思っていたのですが、驚きました。
アレの取得には、いくつもの厳しい条件を乗り越える必要があるのですから』
『なるほどっ!そういうことなら納得です!』
隠しスキル、ねぇ・・・。
あの詠唱から何となく分かったつもりだったが、他にも条件がありそうだ。
一体いつの間に、そんな条件を満たしていたのやら。
あの魔法『ディストーション』は<固有魔法>なので別にしても、どんな呪文アーツがあるのだろうか。大会が終わったら聞いてみよう。
それと、『ディストーション』の効果は、空間歪曲と見て正解だろう。
具体的に言うと、予選で僕が追いかけられた消滅の波。
あれと同じ類いのものだ。
ただし、ミレアのやつは生命体には使用不可。
非生命体のみを空間の狭間に呑み込む魔法だ。
そうでなければ、フレグランスも呑み込まれていたはずだからな。
弱点は・・・タイミングを合わせるのが難しいことか。
敵の動きを見てからでは遅いので、相手の使う技が溜めの長い技であり、なおかつ事前に用意しておくことが必要、と。
・・・僕が戦う時はそれほど気にしなくてもいいだろう、多分。僕にフレグランスみたいな大技は存在しないからな。
さて、次は僕の番か。
対戦相手はギルド《桜花絢爛》のギルドマスターであるサクラ。
今気づいたが、サクラはギルドのサブマスであるルノア・ヴァイスの仇を討ったことになるのか。確かフランに負けていたはずだし。
これまでの戦いは負ける気がしていなかったが、今回は定かでない。
予想が正しければ、多分相手もアナザースキル保持者なんだよなぁ・・・。
▽▽▽
「いいですか、サクラ。次の相手は間違いなく強敵です。それに、ここまでの試合は全力でなかったように思います。気合を入れてください」
「はい。頑張りますよ~」
「本当に分かっているんですかっ!?前の試合だって切り札が無ければ危なかったのですよっ!」
「そうですね・・・あの方は本当に強かったです~」
ギルド《桜花絢爛》の幹部がサクラに言い聞かせているが、天然であるサクラが理解しているのかどうかいまいち不安であった。
サクラの返事に頭を抱えている幹部に、ルノアが見かねて声を掛けた。
「アリッサ・・・サクラには、自由にやらせてあげて。彼女は、自由が一番、似合う。それに私たちは、そんな彼女に惹かれて、仲間になったから」
「うっ・・・それもそうですね」
ルノアの無表情ながら愛のある助言に、アリッサは自分の行動を恥じた。
確かに、天然であるサクラには、それが一番なのだ。
そしてなにより、それがサクラの魅力であり本質なのだから。
「サクラ・・・対戦相手、どう思う?」
「とっても強いと思いますよ?多分一人では勝てないと思います~」
「「「えええっ!?」」」
いきなりの敗北宣言に、その場に居たルノア以外のメンバーが驚愕の声を上げた。
しかし、サクラの言葉はまだ続いていた。
「でも、私は一人じゃありませんから。大自然の中に聳え立つ大樹のように、大地や水、みんなに支えられています。ですから・・・勝ってみせますよ~」
「「「「・・・・・・」」」」
こういう言葉を自然と、それでいて恥じることなく言ってしまうのが彼女だ。
だからこそ彼女は人から好かれ、心の拠り所となるのである。
その、間違いなく汚れ一つない微笑みは、人々の心を掴んで離さない。
好感度ランキングで上位にくるのも自然のことなのであった。
ルノア以外のギルドメンバーたちが、我慢できずにサクラに抱き着いた。
そして、サクラは思う。
(みんなのおかげで、力が湧いてきます・・・。次の試合も、楽しめるといいなぁ。)
そんなポヤンとした思考を誰にも悟られないのは、きっと幸運なことなのだろう。
「・・・ところで、例の件は?」
「ああ、サクラが持ってるアナザースキル、ってやつですか? 予選でのアストというプレイヤーの試合を見返してみたけど、使っている様子は無いですね」
「・・・所持していない、か。使うまでも無かった、か」
「・・・所持していないことを祈るしかありませんね」
これで、予選の映像を見返していたら、気づいたのかもしれない。
アストの加速というスキルについて。
もっとも、加速は効果としては非常に分かり辛いので、見直していても確信は持てなかったと思われるが。
(アリッサの難しい顔、「ミ」と「ラ」ですね~。可愛いです・・・。)
そしてそんな中でも、サクラは持ち前の天然さを発揮していたのだった。
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