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4章
203 ブレイブ VS アラン
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「アスト兄っ、勝ったよっ!」
「おう、清々しい程に圧勝だったな。《龍の咆哮》にはイラついてたから、ちょっとスカッとしたよ」
「えへへへ・・・」
頭を撫でてやると、ミレアは気持ちよさそうに目を細めた。
相変わらず愛いやつめ。
「アストさんっ、そろそろ二回戦第二試合が始まりますよっ・・・!」
「あっ、レインがやきもち焼いてるっ!」
「ミ、ミレアっ!!」
ほう・・・それは撫でてほしいというアピールか?
いや待て、ここは早まってはいけない。
もっと慎重に仲を深めるべきであって云々。
「アスト兄はいつまで経っても意気地なしなんだからぁ・・・」
「誰が意気地なしだ!?」
そこは慎重と言ってもらいたいな。
あまり時間を掛け過ぎるのも駄目だと分かってはいる。
だから、もう少し待ってほしい。
「それで、第二試合のカードは・・・この対決か」
大画面には注目の一戦が記されていた。
予選八位『【無敵の勇者】ブレイブ』 《神聖騎士団》
VS
予選九位『【撃滅の斧鬼】アラン』 《筋肉礼賛》
「注目の一戦だね。アストとミレアにとっては特に」
「そうだな。順位は拮抗しているが、果たしてどうなるか・・・」
「・・・・・・」
真剣な表情のミレアには何も聞かない。
結果がネタバレしてはつまらんからな。
ブレイブの方は一回戦で相手を瞬殺。
アランの方も大斧で瞬殺だったそうだ。
この対決で、ある程度手の内が分かるはずだが・・・。
ここからだと解析が届かない仕組みなので職業やレベルは不明だ。
隅々までよく考えられているよな。
システマの合図で試合が始まって、最初に動いたのはアラン。
その大斧をブレイブに叩きつけた。
ブレイブは避ける素振りも見せずに攻撃を受け・・・。
「HPが削れていないだと!?」
「無駄さ!なにせ、僕は無敵なんだからね!ダメージは全て無効なのさ!」
「なっ!?」
聴覚強化のおかげで会話がよく聞こえてくる。
しかし・・・無敵、ね。
ははっ、面白い冗談だ。今のは間違いなくブラフだな。
他の人には分からずとも、僕には分かる。
だって、VRMMOにおいて絶対的な無敵は原理的に実現不可能なのだから。
つまり、何かしらの種はある。
そして同時に、それがバレないようにハッタリをかましている、と。
生憎、バレたところで何とかなることかは分からないけどな。
「喰らえっ!『デヴァン・デストロイ』っ!」
「無駄無駄無駄ぁ!『シャイニングスラッシュ』っ!」
金ぴかのブレイブがアランの一撃をその身で受け止め、光る剣で一閃。
それだけでアランのHPは0になり、ポリゴンの欠片となって爆散。
ん、上級斧術Lv1アーツ『デヴァン・デストロイ』はいい。
だが、あの『シャイニングスラッシュ』とはなんだ?
そんなアーツは聞いたことないし、心当たりも無い。
・・・いや、そうでもないか。
他でもない僕が【魔剣術】というそれっぽいスキルを持っている。
僕と同じスキルではないだろうから【聖剣術】と仮定しておこう。
『け、決着! ブレイブ選手が圧倒的強さを見せ、三回戦進出です! 解説のエフエスタさん、この勝負、いかがでしたか?』
『うーん、彼については問い合わせが殺到している。中にはチートではないかという問い合わせもあった。けれど、開発局長として、それは違うと明言するにとどめておこう』
ま、そうだろうな。
VRMMOにはチートなんて持ち込めないようになっているからな。
ブレイブが【聖剣術】スキルを持っていると仮定しよう。
その取得条件が「変異種の魔石+光明魔法+剣術」みたいな感じだと追加で過程。
しかし、それにしたってあの防御力と攻撃力は尋常ではない。
普通のスキルであれだけの火力は出せない。
・・・ん?
会場から去っていくブレイブをよく見ると、APが大きく削られていた。
この短時間であれだけAPを消耗するアーツを使ったのか?
そんなアーツは存在・・・・・・する。
他でもない僕が使っているじゃないか。
・・・加速Lv1『アクセラレーション』というアーツを。
詳しい仕組みは分からないが、つまりは・・・そういうことなのだろう。
「ミレア、次に当たるのはアイツなんだが・・・勝てそうか?」
「・・・ん、まだ確実な結果は分かんないかな」
「そうか・・・」
ミレアは受け答えをした後、思考に集中し始めた。
声を掛けるタイミングを逃さずに済んだようだ。
ミレアの表情は真剣で、その瞳から深い思慮を感じられる。
その赤い瞳にグッと引き込まれそうになったが、何とか踏みとどまる。
周囲の様子を伺うと、レイン、アリアさん、ミア、シエラは見入っていた。
初めて目にしたであろう、超集中思考状態の表情と瞳に。
これ、仲がいい人ほど引き込まれるんだよな・・・。
そして、初見だとまず間違いなく見入ってしまう。
それだけのナニカを、嫌が応でも感じさせられてしまうのだ。
果たして、ミレアは勝てるのか?
恐らくは・・・・・・僕と同じ、アナザースキル保持者に。
「おう、清々しい程に圧勝だったな。《龍の咆哮》にはイラついてたから、ちょっとスカッとしたよ」
「えへへへ・・・」
頭を撫でてやると、ミレアは気持ちよさそうに目を細めた。
相変わらず愛いやつめ。
「アストさんっ、そろそろ二回戦第二試合が始まりますよっ・・・!」
「あっ、レインがやきもち焼いてるっ!」
「ミ、ミレアっ!!」
ほう・・・それは撫でてほしいというアピールか?
いや待て、ここは早まってはいけない。
もっと慎重に仲を深めるべきであって云々。
「アスト兄はいつまで経っても意気地なしなんだからぁ・・・」
「誰が意気地なしだ!?」
そこは慎重と言ってもらいたいな。
あまり時間を掛け過ぎるのも駄目だと分かってはいる。
だから、もう少し待ってほしい。
「それで、第二試合のカードは・・・この対決か」
大画面には注目の一戦が記されていた。
予選八位『【無敵の勇者】ブレイブ』 《神聖騎士団》
VS
予選九位『【撃滅の斧鬼】アラン』 《筋肉礼賛》
「注目の一戦だね。アストとミレアにとっては特に」
「そうだな。順位は拮抗しているが、果たしてどうなるか・・・」
「・・・・・・」
真剣な表情のミレアには何も聞かない。
結果がネタバレしてはつまらんからな。
ブレイブの方は一回戦で相手を瞬殺。
アランの方も大斧で瞬殺だったそうだ。
この対決で、ある程度手の内が分かるはずだが・・・。
ここからだと解析が届かない仕組みなので職業やレベルは不明だ。
隅々までよく考えられているよな。
システマの合図で試合が始まって、最初に動いたのはアラン。
その大斧をブレイブに叩きつけた。
ブレイブは避ける素振りも見せずに攻撃を受け・・・。
「HPが削れていないだと!?」
「無駄さ!なにせ、僕は無敵なんだからね!ダメージは全て無効なのさ!」
「なっ!?」
聴覚強化のおかげで会話がよく聞こえてくる。
しかし・・・無敵、ね。
ははっ、面白い冗談だ。今のは間違いなくブラフだな。
他の人には分からずとも、僕には分かる。
だって、VRMMOにおいて絶対的な無敵は原理的に実現不可能なのだから。
つまり、何かしらの種はある。
そして同時に、それがバレないようにハッタリをかましている、と。
生憎、バレたところで何とかなることかは分からないけどな。
「喰らえっ!『デヴァン・デストロイ』っ!」
「無駄無駄無駄ぁ!『シャイニングスラッシュ』っ!」
金ぴかのブレイブがアランの一撃をその身で受け止め、光る剣で一閃。
それだけでアランのHPは0になり、ポリゴンの欠片となって爆散。
ん、上級斧術Lv1アーツ『デヴァン・デストロイ』はいい。
だが、あの『シャイニングスラッシュ』とはなんだ?
そんなアーツは聞いたことないし、心当たりも無い。
・・・いや、そうでもないか。
他でもない僕が【魔剣術】というそれっぽいスキルを持っている。
僕と同じスキルではないだろうから【聖剣術】と仮定しておこう。
『け、決着! ブレイブ選手が圧倒的強さを見せ、三回戦進出です! 解説のエフエスタさん、この勝負、いかがでしたか?』
『うーん、彼については問い合わせが殺到している。中にはチートではないかという問い合わせもあった。けれど、開発局長として、それは違うと明言するにとどめておこう』
ま、そうだろうな。
VRMMOにはチートなんて持ち込めないようになっているからな。
ブレイブが【聖剣術】スキルを持っていると仮定しよう。
その取得条件が「変異種の魔石+光明魔法+剣術」みたいな感じだと追加で過程。
しかし、それにしたってあの防御力と攻撃力は尋常ではない。
普通のスキルであれだけの火力は出せない。
・・・ん?
会場から去っていくブレイブをよく見ると、APが大きく削られていた。
この短時間であれだけAPを消耗するアーツを使ったのか?
そんなアーツは存在・・・・・・する。
他でもない僕が使っているじゃないか。
・・・加速Lv1『アクセラレーション』というアーツを。
詳しい仕組みは分からないが、つまりは・・・そういうことなのだろう。
「ミレア、次に当たるのはアイツなんだが・・・勝てそうか?」
「・・・ん、まだ確実な結果は分かんないかな」
「そうか・・・」
ミレアは受け答えをした後、思考に集中し始めた。
声を掛けるタイミングを逃さずに済んだようだ。
ミレアの表情は真剣で、その瞳から深い思慮を感じられる。
その赤い瞳にグッと引き込まれそうになったが、何とか踏みとどまる。
周囲の様子を伺うと、レイン、アリアさん、ミア、シエラは見入っていた。
初めて目にしたであろう、超集中思考状態の表情と瞳に。
これ、仲がいい人ほど引き込まれるんだよな・・・。
そして、初見だとまず間違いなく見入ってしまう。
それだけのナニカを、嫌が応でも感じさせられてしまうのだ。
果たして、ミレアは勝てるのか?
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