異世界転生? いいえ、チートスキルだけ貰ってVRMMOをやります!

リュース

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4章

199 開始直前と妨害

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《熟練度が一定に達し【中級錬金】スキルがLv19になりました》


「シエラ、大会をリタイアして宝石を磨いていてもいいんだぞ?」

「しないよそんなことっ!確かに急激にレベル上げしたい気分だけどもっ!」


 シエラのレベルは現在21となっている。
 中級宝飾師Lv18で【中級宝飾】のスキルレベルは19だ。
 つまり、上級宝飾スキルまであと一歩ということになる。

 上級スキルを手に入れれば、上級宝飾師も目の前。
 アイテム【白炎琥珀の原石】を加工可能になるのだ。


「ま、その前に【蒼炎虎の石】を加工しなきゃだけどね?」

「そういえばそっちもあったな。ま、大会後にそっちでスキル上げをすれば手が届くんじゃないか?レア度5だったし」

「ああああっ!今すぐ作業したいのにもうすぐ一回戦!しかも対戦相手は勝ち目のないアスト!猛烈に作業したい気分っ!」


 猛るシエラに琥珀と、さっき手に入れた【蒼炎虎の石】を持たせて、自分の考察に入る。白炎鉱石を研究して、幾つかの事実が浮かび上がったのだ。

 まず第一に、錬金の本領は各種ポーション作りにあらず。
 それらはほんの入口に過ぎず、前段階だと分かった。

 この事実は【白炎鉱石】をどのように錬金すればいいのかを鉱石に触れながら悩み、しばらくして理解したことだ。【上級錬金】スキル取得まで間近であるからか、錬金の本質、その片鱗を理解できた。

 ポーションの在庫が大量に出来てしまったが、まあよかろう。

 それで、だ。錬金の本質というのは・・・素材の合成にある、らしい。
 とはいえ、適当に合成すればいいのではなく、素材の特性をよく考えて合成しないと上手くいかない。ま、それは当然だな。

 また、合成すること自体に適さない素材もある。
 どれが適してどれが適さないのかは・・・まだ分からん。
 この【白炎鉱石】はご丁寧に錬金に使えると書いてあるので分かるんだがな。

 素材の合成を行うことで、別の素材に生まれ変わらせることが可能。
 もしくは、同種の上位素材に変換可能だ。

 例えば・・・【炎熱獅子の牙】を合成して【双頭赤獅子の双牙】にするとか。

 具体的な合成法や合成量なんかはまだ分からない。
 あとは、中級錬金Lv20アーツと上級錬金Lv1アーツを覚えてからだ。
 

「あっ、アスト兄、シエラ!もうすぐ時間だよ!控室に行かないと!」

「ああ、今行くよ」

「あああっ、せめて恥をかかないくらいには善戦したいっ!」

「あ、私とアリアさん、ミアは応援に行きますね?」


 レインたち敗退組は応援と観戦に来るそうだ。
 だが一回戦は同時進行だから・・・?


「私がアストに負ける試合は見にこなくていいよっ!」

「ええ、同じ時間に始まるミレアの応援に行くわ」

「うぃ。結果は分かりきってるから行かないよ」

「それはそれで何か嫌あああっ!?」


 贅沢な奴め。確かに観戦に来てくれないのは寂しいけどさ。
 せめて一人だけでも、と覆わなくもない。

 ・・・ちらりとレインのほうを伺う。


「っ、あ・・・わ、私はアストさんの試合を見に行っても・・・!」

「酷いよレインっ!私がアストにズタボロにされるのを見たいの!?」

「ええっ!?そういう訳じゃ・・・!」

「待てい!僕がズタボロにする前提で話すのはやめろ!僕がシエラをいたぶって楽しむかのように聞こえるぞ!?」


 酷い前提だ!
 僕にそんな趣味は無いしそんなことをするつもりもない!

 というかシエラ、いつもと微妙にキャラが違うぞ?
 ああ、それだけ切羽詰まっているのかもしれないな。可哀そうに。


「え?アスト兄のことだからジワジワとダメージを与えるのかと思ってた」

「そんなことはしないぞ?ちゃんと秒殺してやるさ」

「だってさ、シエラ?安心した?」

「どこにも安心できる要素がないよねっ!?」


 結局、瞬殺は勘弁してあげることになった。

 手の内を無駄に晒すことはしないが、ある程度は実力を見させてもらおう。
 予選を通してどの程度成長したか気になってはいたしな。


「せめて回復アリなら、シエラにもチャンスはあるかもしれないのだけれど・・・」

「アイテムによる回復はルール上禁止ですからね・・・」

「それだってポーション百個くらいは覚悟しないとねっ!」


 まあ、戦いが長引けば、一矢報いるチャンスが生まれるかもしれないのは確かだ。

 だから、何だかんだ言っておきながらあれだが、油断せずに倒しにいく。
 勝負ごとに絶対は無いとよく言われてきたからなぁ・・・。

 本当に何者なんだろうか、家の父親。


「さあ、そろそろ行きましょう。開始一時間前になるわよ?」


 アリアさんのその声で、ウェザリアの六名はぞろぞろと闘技場へ向かった。








「おっと、ここは通行止めだぜ?《ウェザリア》御一行様よぉ!」

「てめぇらが居なけりゃリュウガさんの優勝は間違いねぇんだ!」

「ここでくたばってもらおうか!」


 闘技場付近で多数の男たちに道を塞がれてしまった。

 男たち全員に、《龍の咆哮》のアイコンが浮かんでいた。

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