異世界転生? いいえ、チートスキルだけ貰ってVRMMOをやります!

リュース

文字の大きさ
上 下
197 / 264
4章

196 決勝進出の祝勝会

しおりを挟む
「残念! 私の冒険はここで終わってしまった!」

「・・・いきなり何を言ってんの?」


 元の場所に戻ってくるなり、シエラが項垂れてそんなことを言い出した。
 戻ってきたのが同時なのは運営が時間を弄った結果だろうけど、何故項垂れるし。

 ・・・元々痛い子だったっけか?


「だってだって!一回戦の相手がアストなんだよ!?勝てる訳ないじゃん!!」

「ああ・・・そういうことか」

「えへへへ・・・。だから、なにとぞ手加減のほどを・・・ね?」


 ふむ・・・そういうことなら答えは決まっている。


「残念! シエラ の 冒険 は ここ で 終わって しまった!」

「うわあああああんっ!?」


 よりそれっぽく言ってやった。
 シエラはその場で倒れ伏して泣き始めたのだった。

 めでたしめでたし。


「・・・アスト、少しお話があるのだけれど?主に予選中のことで、ね?」

「・・・ハイ」


 ちっともめでたくなかった。
 アリアさんの笑顔が滅茶苦茶怖いデス。










「ですから、止めを刺したのはミレアですよ?」

「それは分かってるわ。別に倒されたこと自体はいいの。そういうルールなのだから。私が言いたいのは、何故あんなジワジワと追い詰める真似をしたのかということよ」

「そんなつもりは無かったんですけど・・・」


 嘘ではないぞ?
 確実を期すために追い込んだというだけで。

 普通に近づければそんなことをせずとも不意打ちで仕留めたんだがな・・・。


「笑顔の貴方ににじり寄られるのがどれだけ心臓に悪かったか理解できるかしら?」

「はい。僕も今経験している最中なので、とてもよく分かります」


 あ、今の発言は駄目なやつだ。
 アリアさんの頬が引きつり始めた。

 このままでは不味い!何かフォローをしなくては・・・!


「アリアさん、いつものクールキャラが壊れかけてますよ?」

「っ・・・!?」


 お、上手くいったみたいだ。
 アリアさんの顔が能面みたいになって・・・・・・あれ?


「アスト・・・レインに接触禁止令を出すわよ?」

「すみませんでしたっ!!」


 これだからアリアさんには頭が上がらないんだよ・・・。
 レインの為にしか使わない発言だから、非難もできないし。

 事情はどうあれ僕が悪かったのだから謝るべきだった。
 あれをレインにやっていたら嫌われていたかもしれないのだから。
 反省しなくてはな・・・。


「話も終わったところで・・・ちょっとした祝勝会でもやろうかしらね?」

「あ、賛成です・・・!アストさんとミレア、シエラのお祝いをしましょう!」

「うぃ。私も賛成だよ」


 ということで、アリアさんの鶴の一声で簡単な祝勝会が行われることに。
 まだ予選が終わっただけなので、本当に簡単にだ。

 それ自体はいいのだが・・・大事なことを忘れてないか?


「アリアさん、祝勝会用の料理は僕以外に作れるんですか?」

「・・・・・・あ」


 うん。誰も料理スキル取得してないからな。
 僕のお祝いでもあるのに僕が料理を作るとは・・・何だかなぁ。

 ま、シエラとミレアを祝うということで、勘弁してやろう。









【ポテトフライ】料理アイテム レア度3
 空腹度-30% 物理防御力+3 品質9
 オークの油で揚げられたポテトフライ。
 食事後三時間、物理防御力が上昇する。

【オーク肉の唐揚げ】料理アイテム レア度3
 空腹度-40% 物理攻撃力+3 品質9
 下味がつけられたオーク肉の唐揚げ。
 食事後四時間、物理攻撃力が上昇する。

【カラードリンク】料理アイテム レア度2
 空腹度-20% 魔法攻撃力+2 品質9
 カラーポーションを応用した各種ドリンク。
 様々な味のドリンクが一通り揃っている。
 食事後二時間、魔法攻撃力が上昇する。



 適当に用意した料理をみんなでパクつきつつ、予選の話になっていく。
 主に、みんながどのように過ごしていたのかなどが中心だ。

 僕としても非常に気になるところだ。
 特にミレアが何をやらかしてあんな撃破数になったのか、とか。
 レインがどこで敗退してしまったのか、とか。


「――――と、私の幸運はそこまでで、その後アストに見つかって、ミレアと挟まれたわ。呆れるほど酷い不運よね・・・」

「その状況になったら逃げきれる人なんて居ないに等しいですね・・・」

「全くだよ・・・。私は最後まで幸運に恵まれて生き残れたんだねぇ・・・」


 アリアさんがちらちらこちらを見ながら話を終えた。

 本当に弱いプレイヤーとしか遭遇せず、このままならいけるかも?
 そう思った時の僕による襲撃だったらしい。
 ご愁傷さまです。


「ミアはどうだったの?」

「うぃ?私は、早い段階で乱戦に巻き込まれて、その中の一人にやられたよ」

「何か地味だな」

「うるさいアストっ!」


 だって、本当に地味な退場の仕方だったから・・・。
 アリアさんの話の後だったからか、余計にそう聞こえてしまうのだよ。


「それで、どんな人にやられたの?」

「黒髪の片手剣使い、だと思う。あっという間にやられちゃった」

「・・・おい、こっちを見るな!僕じゃないぞ!?」


 確かに髪のベースは黒だけども!


「確か、《花鳥風月》のマークがあったと思う」

「ああ・・・それってレイヴンじゃないか?そりゃあ強いわけだ」

「知ってるの、アスト?」

「知ってるも何も、そいつと戦ったし。アレに初見で対応するのは難しいだろうな」


 頭の中に浮かぶのは、黒髪で中性的な容姿を持つ女性プレイヤー。
 短剣と片手剣、大剣の剣系武器三種を操る凄腕だった。
 あの剣系アーツのコンボには凄まじいセンスと努力を感じられたぞ。


「でもアスト兄、勝ったんだよね?」

「ああ。予選で戦った中では一、二を争う強さだったが、なんとか」

「ダメージは喰らったの?」

「いや?ノーダメージ、というか、戦闘自体が十秒くらいで終わったし」


 ・・・おい。何故そんな呆れた顔になるんだ。
 加速してたんだからしょうがないだろう!?

 あ、シエラが改めて絶望的な表情になった。






「シエラ、顔が絶望的だぞ?」

「その言い方はおかしいよね!?言わんとするところは分かるけどさっ!!」

しおりを挟む
感想 715

あなたにおすすめの小説

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった

Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。 *ちょっとネタばれ 水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!! *11月にHOTランキング一位獲得しました。 *なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。 *パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。

【ヤベェ】異世界転移したった【助けてwww】

一樹
ファンタジー
色々あって、転移後追放されてしまった主人公。 追放後に、持ち物がチート化していることに気づく。 無事、元の世界と連絡をとる事に成功する。 そして、始まったのは、どこかで見た事のある、【あるある展開】のオンパレード! 異世界転移珍道中、掲示板実況始まり始まり。 【諸注意】 以前投稿した同名の短編の連載版になります。 連載は不定期。むしろ途中で止まる可能性、エタる可能性がとても高いです。 なんでも大丈夫な方向けです。 小説の形をしていないので、読む人を選びます。 以上の内容を踏まえた上で閲覧をお願いします。 disりに見えてしまう表現があります。 以上の点から気分を害されても責任は負えません。 閲覧は自己責任でお願いします。 小説家になろう、pixivでも投稿しています。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

田舎暮らしと思ったら、異世界暮らしだった。

けむし
ファンタジー
突然の異世界転移とともに魔法が使えるようになった青年の、ほぼ手に汗握らない物語。 日本と異世界を行き来する転移魔法、物を複製する魔法。 あらゆる魔法を使えるようになった主人公は異世界で、そして日本でチート能力を発揮・・・するの? ゆる~くのんびり進む物語です。読者の皆様ものんびりお付き合いください。 感想などお待ちしております。

処理中です...