181 / 264
4章
180 第一回イベント 一日目
しおりを挟む
本日は土曜日。第一回イベントの開催日だ。
時間は九時からなのだが、当然の如く余裕を持ってログインするつもりだ。
それ故に、まだ六時なのに目を覚ました訳なのだが・・・。
「すぅ・・・すぅ・・・」
「本当、いつの間に人のベッドに入り込むんだ、美鈴は・・・」
目を開いてすぐに美鈴の整った顔が目の前にあると、嫌でもドキリとさせられるんだよな・・・。直ぐに美鈴だと気づくから慌てずに済むんだが・・・心臓に悪い。
「おーい、起きろー。いや、起きなくてもいいから服を掴んでる手を離してくれー」
「んんっ・・・やぁ・・・」
「頼むから艶めかしい声を出さないでくれ・・・」
そして足を絡めようとするな。暑いから。
本当に寝ているのかと疑わしくなってきた。
寝間着から覗く色白な太腿が眩しい。
男の十人中九人は、これを見て我慢できずに襲い掛かるだろうな・・・。
この無防備なところは兄である僕相手だから見せていると思いたい。
そうでないならば、早いうちに矯正しよう。これはいくらなんでも危険過ぎる。
「はぁ・・・美鈴、起きないと悪戯するぞ?」
例えば、顔に落書きとか。
・・・後で怒られそうなので却下だ。
ふむ・・・寝癖が出来るように寝かせてやろうか?
そんなことを考えていると、美鈴が目を開いた。
さて、今日の朝食はどうしようかな・・・?
「・・・・・・いいよ?」
「ん?どうした?」
「・・・悪戯、してもいいよ?お兄ちゃん」
「はぁ・・・?」
何だ、まだ寝ぼけてるのか。
起きてる状態で寝癖なんかつけたって意味が無いだろうに。
だが、寝ぼけている割には、妙に真剣な表情だな・・・?
何か悪いものでも食べたか・・・?
「美鈴・・・?」
「・・・ううん、何でもない。おはよ、お兄ちゃん!」
「お、おう・・・おはよう、美鈴」
普段通りの明るくて元気な美鈴に戻ったな。
・・・結局、寝ぼけていたということか。
ま、それくらい誰にでもあることだし、気にすることでもないか。
〇〇〇
《熟練度が一定に達し【中級錬金】スキルがLv17になりました》
《熟練度が一定に達し【中級料理】スキルがLv15になりました》
早朝からポーション類を作らされた・・・。
どうやら、闘技大会に向けて少しでも良質のポーションを、と考えるプレイヤーが相次いだらしい。今日だけは特別に追加販売するそうだ。
昨日作った分では足りなかったのか・・・。
「ごめんなさいね、アスト。負担をかけてしまって」
「いえ、丁度MPAPが余ってましたから。あ、予選までには回復しますよ」
「アスト兄、MPAP無しの縛りプレイで予選に挑戦してもいいんだよ?」
「するわけないだろ、そんなこと・・・」
素の技術だけで勝ち抜けと?
バトルロイヤルでそれは無理だろ。
そうでなくともフランとかに見つかったら間違いなく終わりだ。
セレナとかヨミは嬉々として狙ってきそうだし・・・。
「全員、カラーポーションは持ったわね?五本までしか使えないから注意して」
「回復制限、厳しいルールですね・・・。」
「うぃ。カラーポーションがあっても勝ち抜ける気がしないけど、頑張る」
「勝負は水モノ!蓋を開けるまで分からないよ!」
レインとミアは弱気だな。反対に、シエラは強気だ。
アリアさんはいつも通りクールなたたずまいで、ミレアはいつも通り元気。
この二人は自信があるのかないのか分からん。
予選においてパーティーを組むことはシステム上できない。
パーティーを組まずに共闘すると、ペナルティが発生する。
その判定をどのように行うのかは公開されていないが・・・。
「僕から一つだけ。恐らくだけど、共闘の意志を持った段階で共闘ペナルティが発生するはずだ。だから、デメリット無しでの共闘はできないと思ってくれ」
「え?どうしてそんなことが分かるの、アスト兄?」
「そうね、確信をもっていっているように聞こえるのだけれど・・・」
「あー、そこは気にしないでほしいな、と思います、はい」
確信しているのにはちゃんと理由があるのだが、それはゲームとは関係ない話だ。
故に、ここで話すようなことではない。
「・・・まあいいわ。それじゃあ、そろそろ行きましょうか」
アリアさんの声に各々返事をして、いざ戦場へ。
建物内に居ないように、というのが事前通達だからな。
「闘技大会個人戦・予選開始まであと十分。みなさん、如何お過ごしですか?」
外に居ると、突然上空から声が聞こえてきた。
鷲の目で確認すると、そこには人型の何かが・・・何だアレ?
運営アバター LV100
??? ??? ???
??? ??? ???
へぇ、運営アバターか。
こういうのが出てくるのは何気に初めてかもしれないな。
「私は予選の進行を務めさせていただきます、システマと申します。今日一日よろしくお願いいたします!さて、残り十分で予選が始まりますが、出場する方、建物内に残っていませんか?時間になったら参加登録をした方がコピーフィールドにランダム転送されるのですが、建物内に居る方は例外になりますので、どうかお気をつけください」
そういう仕組みか・・・。
コピーなんてどこにあるのかと思っていたが、まさか別空間とはな。
・・・軽く準備運動でもして待つとしよう。
「それでは、カウントダウンを開始いたします。
5秒前、4、3、2、1・・・予選バトルロイヤル、開始です!」
次の瞬間、視界が白く染まった。
そして、転送されたのは・・・
「・・・・・・おい」
・・・昨日訪れた教会、その屋根の上だった。
闘技大会個人戦・予選バトルロイヤル・開始
時間は九時からなのだが、当然の如く余裕を持ってログインするつもりだ。
それ故に、まだ六時なのに目を覚ました訳なのだが・・・。
「すぅ・・・すぅ・・・」
「本当、いつの間に人のベッドに入り込むんだ、美鈴は・・・」
目を開いてすぐに美鈴の整った顔が目の前にあると、嫌でもドキリとさせられるんだよな・・・。直ぐに美鈴だと気づくから慌てずに済むんだが・・・心臓に悪い。
「おーい、起きろー。いや、起きなくてもいいから服を掴んでる手を離してくれー」
「んんっ・・・やぁ・・・」
「頼むから艶めかしい声を出さないでくれ・・・」
そして足を絡めようとするな。暑いから。
本当に寝ているのかと疑わしくなってきた。
寝間着から覗く色白な太腿が眩しい。
男の十人中九人は、これを見て我慢できずに襲い掛かるだろうな・・・。
この無防備なところは兄である僕相手だから見せていると思いたい。
そうでないならば、早いうちに矯正しよう。これはいくらなんでも危険過ぎる。
「はぁ・・・美鈴、起きないと悪戯するぞ?」
例えば、顔に落書きとか。
・・・後で怒られそうなので却下だ。
ふむ・・・寝癖が出来るように寝かせてやろうか?
そんなことを考えていると、美鈴が目を開いた。
さて、今日の朝食はどうしようかな・・・?
「・・・・・・いいよ?」
「ん?どうした?」
「・・・悪戯、してもいいよ?お兄ちゃん」
「はぁ・・・?」
何だ、まだ寝ぼけてるのか。
起きてる状態で寝癖なんかつけたって意味が無いだろうに。
だが、寝ぼけている割には、妙に真剣な表情だな・・・?
何か悪いものでも食べたか・・・?
「美鈴・・・?」
「・・・ううん、何でもない。おはよ、お兄ちゃん!」
「お、おう・・・おはよう、美鈴」
普段通りの明るくて元気な美鈴に戻ったな。
・・・結局、寝ぼけていたということか。
ま、それくらい誰にでもあることだし、気にすることでもないか。
〇〇〇
《熟練度が一定に達し【中級錬金】スキルがLv17になりました》
《熟練度が一定に達し【中級料理】スキルがLv15になりました》
早朝からポーション類を作らされた・・・。
どうやら、闘技大会に向けて少しでも良質のポーションを、と考えるプレイヤーが相次いだらしい。今日だけは特別に追加販売するそうだ。
昨日作った分では足りなかったのか・・・。
「ごめんなさいね、アスト。負担をかけてしまって」
「いえ、丁度MPAPが余ってましたから。あ、予選までには回復しますよ」
「アスト兄、MPAP無しの縛りプレイで予選に挑戦してもいいんだよ?」
「するわけないだろ、そんなこと・・・」
素の技術だけで勝ち抜けと?
バトルロイヤルでそれは無理だろ。
そうでなくともフランとかに見つかったら間違いなく終わりだ。
セレナとかヨミは嬉々として狙ってきそうだし・・・。
「全員、カラーポーションは持ったわね?五本までしか使えないから注意して」
「回復制限、厳しいルールですね・・・。」
「うぃ。カラーポーションがあっても勝ち抜ける気がしないけど、頑張る」
「勝負は水モノ!蓋を開けるまで分からないよ!」
レインとミアは弱気だな。反対に、シエラは強気だ。
アリアさんはいつも通りクールなたたずまいで、ミレアはいつも通り元気。
この二人は自信があるのかないのか分からん。
予選においてパーティーを組むことはシステム上できない。
パーティーを組まずに共闘すると、ペナルティが発生する。
その判定をどのように行うのかは公開されていないが・・・。
「僕から一つだけ。恐らくだけど、共闘の意志を持った段階で共闘ペナルティが発生するはずだ。だから、デメリット無しでの共闘はできないと思ってくれ」
「え?どうしてそんなことが分かるの、アスト兄?」
「そうね、確信をもっていっているように聞こえるのだけれど・・・」
「あー、そこは気にしないでほしいな、と思います、はい」
確信しているのにはちゃんと理由があるのだが、それはゲームとは関係ない話だ。
故に、ここで話すようなことではない。
「・・・まあいいわ。それじゃあ、そろそろ行きましょうか」
アリアさんの声に各々返事をして、いざ戦場へ。
建物内に居ないように、というのが事前通達だからな。
「闘技大会個人戦・予選開始まであと十分。みなさん、如何お過ごしですか?」
外に居ると、突然上空から声が聞こえてきた。
鷲の目で確認すると、そこには人型の何かが・・・何だアレ?
運営アバター LV100
??? ??? ???
??? ??? ???
へぇ、運営アバターか。
こういうのが出てくるのは何気に初めてかもしれないな。
「私は予選の進行を務めさせていただきます、システマと申します。今日一日よろしくお願いいたします!さて、残り十分で予選が始まりますが、出場する方、建物内に残っていませんか?時間になったら参加登録をした方がコピーフィールドにランダム転送されるのですが、建物内に居る方は例外になりますので、どうかお気をつけください」
そういう仕組みか・・・。
コピーなんてどこにあるのかと思っていたが、まさか別空間とはな。
・・・軽く準備運動でもして待つとしよう。
「それでは、カウントダウンを開始いたします。
5秒前、4、3、2、1・・・予選バトルロイヤル、開始です!」
次の瞬間、視界が白く染まった。
そして、転送されたのは・・・
「・・・・・・おい」
・・・昨日訪れた教会、その屋根の上だった。
闘技大会個人戦・予選バトルロイヤル・開始
0
お気に入りに追加
4,949
あなたにおすすめの小説

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています

スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった
Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。
*ちょっとネタばれ
水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!!
*11月にHOTランキング一位獲得しました。
*なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。
*パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。

【ヤベェ】異世界転移したった【助けてwww】
一樹
ファンタジー
色々あって、転移後追放されてしまった主人公。
追放後に、持ち物がチート化していることに気づく。
無事、元の世界と連絡をとる事に成功する。
そして、始まったのは、どこかで見た事のある、【あるある展開】のオンパレード!
異世界転移珍道中、掲示板実況始まり始まり。
【諸注意】
以前投稿した同名の短編の連載版になります。
連載は不定期。むしろ途中で止まる可能性、エタる可能性がとても高いです。
なんでも大丈夫な方向けです。
小説の形をしていないので、読む人を選びます。
以上の内容を踏まえた上で閲覧をお願いします。
disりに見えてしまう表現があります。
以上の点から気分を害されても責任は負えません。
閲覧は自己責任でお願いします。
小説家になろう、pixivでも投稿しています。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!
田舎暮らしと思ったら、異世界暮らしだった。
けむし
ファンタジー
突然の異世界転移とともに魔法が使えるようになった青年の、ほぼ手に汗握らない物語。
日本と異世界を行き来する転移魔法、物を複製する魔法。
あらゆる魔法を使えるようになった主人公は異世界で、そして日本でチート能力を発揮・・・するの?
ゆる~くのんびり進む物語です。読者の皆様ものんびりお付き合いください。
感想などお待ちしております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる