異世界転生? いいえ、チートスキルだけ貰ってVRMMOをやります!

リュース

文字の大きさ
上 下
162 / 264
3章

162 ヨミと交渉

しおりを挟む
 上級投擲術、疾風、集撃。
 この三つがキメラとの戦いで新たに取得可能となったスキルだ。

 上級投擲術はいいとしても、疾風と集撃は何とも言い難い。

 <疾風>は疾駆と瞬動の複合効果があるようで、かなり小回りの利くスキル。瞬動ほど融通が利かないスキルではないので上位互換と言っていい。
 おまけにレベル1段階で平均速力の基礎能力値を二割底上げする効果がある。
 疾駆は最高値の状態で二割くらいの強化率だったかな、確か。
 これは・・・取得だろうな。

 <集撃>は戦闘中に使っていた力を一点に集中させて一撃を放つスキル。
 物理攻撃力で上回っている相手でも、これを使うことで渡り合うことができる。その事実は先程の戦いにて既に実証済みだ。
 この先必要になりそうなのでやはり取得で。

 <疾風>に3ポイントと<集撃>に3ポイントで、計6ポイント消費。
 どちらもアーツは存在しなかった。

 <上級投擲術>については保留としておく。
 もっといい投擲用のナイフやら短剣やらが手に入ったら考えよう。
 今以上の投擲能力は、現状では必要ない。

 しかし・・・スキルスロットとスキルポイントがまたしてもピンチだ。
 何故いつもこうなのだろうか・・・?


「スキルポイントがキツイなぁ・・・」

「あなたもですか。私もやり繰りが大変ですよ。取得したいスキルは幾つもあるのに、スキルポイントが追いつきません。ようやく欲しいスキルを取得できたと思ったら、その時には他にも欲しいスキルが増えています・・・」


 ヨミも苦労しているようで、難しい顔でステータス画面を眺めている。
 僕はこれでも、随分と恵まれている方なんだろうな。

 そういえば、<剛力>とか<予感>とか<閃駆>とか、保留にしているスキルが結構あった気がする。他にも<嗅覚強化>や<聞き耳>なんかもあったはず。

 <剛力>は基礎能力強化系っぽいけど、物理攻撃力補正かな?
 効果は・・・<疾走>と同じなら最高値状態で一割の強化率だろう。
 1ポイントとお手頃価格だが・・・やっぱり保留で。
 しばらくは技術で補って、それでも駄目になったら取得して鍛えよう。

 あと、取得可能スキルには無いが、<鉄壁>というスキルを魔物が持っていたはずだ。どうやったら取得可能になるのか、どこかに情報が転がってないだろうか。掲示板には載ってないんだが。


「なあヨミ。<鉄壁>のスキルって知ってるか?」

「ええ、知ってますよ。私も取得してますから。
 私の戦い方だとどうしても防御面が心許なくなるので、有難いスキルです」


 何らかの操作をしながら正直に答えてくれた。
 そうとなったら話は早い。


「おお・・・!取得法を教えてくれは・・・しないか?」

「・・・教えるのは構いません。
 ですが、あまり人に漏らさないことと、対価を頂けるのであれば、です」

「情報を漏らさないのは勿論構わないが・・・対価、か」


 供出したポーション類はアイテム配分で調整する予定なので、それを対価には出来ない。ミアに炎熱獅子の牙素材を沢山持ち帰ってやりたいのもある。
 なら、何を対価にするべきか・・・。

 やはりスキルの情報か?
 いや、スキルポイントのやり繰りに苦労しているらしいし、微妙かもしれない。

 友情に免じてプライスレス・・・ヨミにゴミを見る目で見られそうだ。却下。

 カラーポーションの提供・・・これはありかもしれない。


「じゃあ、このカラーポーション四点セットでどうだ?」

「これは・・・・・・できれば、もう一声お願いします」


 むむむ・・・!
 ここから交渉してくるなんて・・・!
 先に要求を出してしまったこちらの方が圧倒的に不利だぞ・・・?


「くっ、見た目に似合わず、がめつい奴め・・・!」

「五月蠅いですね!少しくらいいいじゃないですか!あと、訂正を要求します!」

「くっ、見た目通り、がめつい奴め・・・!」

「どこを訂正しているんですか!?余計に悪化していますよっ!?」


 自分で言ってみて思ったんだが、ヨミの見た目は非情にクールなアサシンっぽいんだ。ダークブルーの服と装備も、そのイメージを助長している。

 だが、中身は見た目とあまり一致しない。

 クールな部分もあるが、おだてに弱く、少し親交が深まると隙のある部分も晒すようになる。
 わざわざツッコミを入れてくれるくらいには律儀で義理堅く、情に厚い。
 堅物ではあるが柔軟性もあり、広い視野を持つ。
 自分本位な一面もないとは言い切れないが、親しい相手を立てることも忘れない。

 ふむ・・・なるほど。
 保留していたヨミの人物評価は、いい人でいい女というところで落ち着きそうだ。


「ヨミっていい女だよな」

「なっ・・・!?な、な、な・・・・・・おだてても交渉で手加減はしませんよ!」

「いや・・・客観的に人物評価をしたまでなんだが・・・」

「っ・・・どうしてあなたはいつもそうなんですか!
 そういうところが嫌いなんだと言ったばかりでしょう!?」


 嫌い嫌いと言っておきながら嬉しそうなのはどうなんだ?
 説得力の欠片も無いと思うんだが・・・。

 まあいいや。
 それで、他に交渉で使えるものは・・・と。



 それから二分後。

 カラーポーション四点セット+ホロウシャドウウルフの魔石を差し出した。
 それと引き換えに<鉄壁>と<城塞>の情報を教えてもらった。

 難儀な交渉になったが、許容範囲内に収まったのでよしとしよう。
 ヨミはリアルでそういう職にでもついているのか、交渉が上手かったよ。うん。



【合成獣の紅蓮毛皮】素材アイテム レア度6
 トライクリムゾンキメラの合成毛皮。
 その強度は他の皮系素材と一線を画す。
 加工するのは一流生産者でなければ不可能。

【合成獣の紅蓮牙】素材アイテム レア度6
 トライクリムゾンキメラの合成された牙。
 この一本に六本分の牙が合成されている。
 加工するのは一流生産者でなければ不可能。

深紅の刺突剣クリムゾン・フルーレ】武器アイテム レア度6
 物理攻撃力+7 魔法攻撃力+7 品質9 重量〔軽〕
 赤魔法効果上昇[小] クリティカル率上昇[中]
 赤よりも濃い深紅色をした、美しい造形である刺突剣。
 非常に軽く、通常の剣よりも手数が増えて急所を突き易い。



《熟練度が一定に達し【解体】スキルがLv20になりました》
《【解体】スキルが最高値になりました》


 キメラの死体に解体を使用(その権利は僕がもらった)したのだが、三つものアイテムが手に入った。

 一つはそこそこ大きな毛皮。
 一つはそこそこ大きな一本の牙。
 一つは美しいデザインの刺突剣。


「「・・・・・・ふむ」」


 交渉・・・・・・第二ラウンド!

しおりを挟む
感想 715

あなたにおすすめの小説

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった

Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。 *ちょっとネタばれ 水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!! *11月にHOTランキング一位獲得しました。 *なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。 *パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。

【ヤベェ】異世界転移したった【助けてwww】

一樹
ファンタジー
色々あって、転移後追放されてしまった主人公。 追放後に、持ち物がチート化していることに気づく。 無事、元の世界と連絡をとる事に成功する。 そして、始まったのは、どこかで見た事のある、【あるある展開】のオンパレード! 異世界転移珍道中、掲示板実況始まり始まり。 【諸注意】 以前投稿した同名の短編の連載版になります。 連載は不定期。むしろ途中で止まる可能性、エタる可能性がとても高いです。 なんでも大丈夫な方向けです。 小説の形をしていないので、読む人を選びます。 以上の内容を踏まえた上で閲覧をお願いします。 disりに見えてしまう表現があります。 以上の点から気分を害されても責任は負えません。 閲覧は自己責任でお願いします。 小説家になろう、pixivでも投稿しています。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

田舎暮らしと思ったら、異世界暮らしだった。

けむし
ファンタジー
突然の異世界転移とともに魔法が使えるようになった青年の、ほぼ手に汗握らない物語。 日本と異世界を行き来する転移魔法、物を複製する魔法。 あらゆる魔法を使えるようになった主人公は異世界で、そして日本でチート能力を発揮・・・するの? ゆる~くのんびり進む物語です。読者の皆様ものんびりお付き合いください。 感想などお待ちしております。

処理中です...