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3章
153 ドレスと優香
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時間の十二時を過ぎても優香は来なかった。
すっぽかされたという恐れは・・・まあ無いだろうな。優香はそんなことをするような性格ではないと思っているからな。
となると・・・何かアクシデントがあったと思われるが、買い物の時に交換した連絡先からは何も連絡がない。
連絡すらできない状況となると・・・探しに行った方がいいかもしれないな。
携帯に連絡を入れた後、待ち合わせ場所の周辺を探していると、優香を発見。
無事だったのはいいのだが、少し面倒ごとになっているようだ。
「ですからっ、待ち合わせに遅れてしまうので退いてくださいっ!」
「まあまあそう言わずにさ。少し付き合ってくれるだけでいいんだ」
「そうそう。少しだけだからさ」
「君みたいに可愛い子を見つけて放っておけるわけないじゃん」
三人の軽薄そうな男に囲まれており、しつこいナンパを受けているようだ。
その年齢は大学生くらいだろうか。
囲まれた状態を突破しようとするのは、女性にはとても怖いことだろう。
周囲に人通りは少ないし、数少ない通行人も見て見ぬふりをしている。
今時ああいう輩が居るなんてちょっと予想外だな。
喧嘩になったらヤバいけど、助けに入らないのは論外だ。
痛い目に遭うことを覚悟して慌てて間に割って入る。
「済まないけど、彼女は僕の連れだから、諦めてもらえないか?」
「はぁ?なんだお前?てめぇに用はねえんだよ!」
「ちょっと顔がいいからって調子にのってんのか?」
顔が良いというのはないと思うが、今はスルーだ。
どう考えてもそれどころじゃないし。
「あのさぁ、俺たちはその子と話がしたいんだけど?
痛い目に遭う前に、さっさとそこを退くといいよ?」
「悪いけど、退くつもりはない。そちらこそ、騒ぎを起こす前に退いてくれないか?幾ら人通りが少ないとはいえ、こんなところで問題を起こしたくないだろう?」
ここで強気な対応ができれば格好良いんだろうけど、現実は非情だ。
色々と問題はあるのだが、一対三で喧嘩にでもなったら勝てるはずがないのだ。
情けない話であるが、こいつらにデメリットを理解させて引かせるのが一番いい。
これで駄目だったら、優香だけ逃がして僕が殴られればよかろう。
「・・・ちっ、行くぞ」
その作戦は功を奏したようで、リーダー格の男はそう言い残して、三人の男たちはその場を去って行った。
はぁ・・・緊張した。
「飛鳥さん、ご迷惑をおかけしましたっ・・・!」
「いや、優香が悪いわけではないし、謝らないでくれ。
それより、優香が無事で本当に良かっ、た・・・・・・」
最後で言葉に詰まってしまったが、仕方のないことだろう。
よくよく優香を見ると、そこそこ高いだろうドレスにも似た服を着ていた。青を基調としていて優香をとても大人っぽく見せている。化粧も軽くされており、とても綺麗だ。これなら大抵の高級店に入れるだろう。
・・・やばい。超可愛い。今すぐ抱き締めてしまいたいくらいだ。
「「・・・・・・・・・ハッ!?」」
しばし見惚れてしまっていた。
優香に指摘されなかった理由は分からないが、バレていないようで何より。
「あっ、あの、ですね・・・助けてくれて、ありがとうございます・・・///」
「ど、どういたしまして。ちょっと格好がつかないやり方だったけどな・・・」
「そんなことありません!凄く、格好良かったです・・・!」
「そ、そうか?そう言ってもらえると嬉しい、な」
何だろうね、これ。
お互いどうしていいのか分からずふわふわしている気がする。
ここは優香を連れて早く店に向かうのがいいんだろうけど、あまりにも綺麗過ぎて簡単に触れてしまうことに強い躊躇いを覚えるのだ。
先程から心臓の音がうるさいし、多分顔が赤くなっているだろうな・・・。
・・・ただ、優香の反応を見る限り、そんな気持ちはお互い様なのかもしれない。それだけが今の僕にある救いだな。
いつまでもこうしていても仕方ないので、意を決して話を進める。
「それじゃあ、行こうか?」
「は、はい・・・!」
僕は優香に手を差し出した。
彼女は少し驚いていたが、その手を拒絶はされなかった。
「そ、そういえば・・・その服、綺麗だね。とても似合ってて可愛いと思う」
「あ、ありがとうございます・・・。実は、母に今日の事がバレてしまって、この服を着て行けと言われてしまい・・・」
「そうなのか。だとしたら、優香のお母さんに感謝しないとな・・・」
こんな綺麗で美しく可愛い優香を見ることが出来たのだから、感謝感激。
いつか会う機会があるだろうし、その時にはお礼を言わせてもらおう。
「あ・・・そ、そういう飛鳥さんも、その服、とても似合っていると思います!」
「ん、まあ・・・美鈴にもそう言われてたし、ちょっとだけ自信があったんだ。
優香にも気に入ってもらえたようで、心底良かったと思ってるよ」
お世辞ではなさそうなのでとても嬉しい。
繋がれた手から伝わってくる温もりが、とても心地良い。
冷静さを端から剥がされているような感覚に襲われているが・・・悪くない。
ああ・・・いよいよ駄目だな、これは。
すっぽかされたという恐れは・・・まあ無いだろうな。優香はそんなことをするような性格ではないと思っているからな。
となると・・・何かアクシデントがあったと思われるが、買い物の時に交換した連絡先からは何も連絡がない。
連絡すらできない状況となると・・・探しに行った方がいいかもしれないな。
携帯に連絡を入れた後、待ち合わせ場所の周辺を探していると、優香を発見。
無事だったのはいいのだが、少し面倒ごとになっているようだ。
「ですからっ、待ち合わせに遅れてしまうので退いてくださいっ!」
「まあまあそう言わずにさ。少し付き合ってくれるだけでいいんだ」
「そうそう。少しだけだからさ」
「君みたいに可愛い子を見つけて放っておけるわけないじゃん」
三人の軽薄そうな男に囲まれており、しつこいナンパを受けているようだ。
その年齢は大学生くらいだろうか。
囲まれた状態を突破しようとするのは、女性にはとても怖いことだろう。
周囲に人通りは少ないし、数少ない通行人も見て見ぬふりをしている。
今時ああいう輩が居るなんてちょっと予想外だな。
喧嘩になったらヤバいけど、助けに入らないのは論外だ。
痛い目に遭うことを覚悟して慌てて間に割って入る。
「済まないけど、彼女は僕の連れだから、諦めてもらえないか?」
「はぁ?なんだお前?てめぇに用はねえんだよ!」
「ちょっと顔がいいからって調子にのってんのか?」
顔が良いというのはないと思うが、今はスルーだ。
どう考えてもそれどころじゃないし。
「あのさぁ、俺たちはその子と話がしたいんだけど?
痛い目に遭う前に、さっさとそこを退くといいよ?」
「悪いけど、退くつもりはない。そちらこそ、騒ぎを起こす前に退いてくれないか?幾ら人通りが少ないとはいえ、こんなところで問題を起こしたくないだろう?」
ここで強気な対応ができれば格好良いんだろうけど、現実は非情だ。
色々と問題はあるのだが、一対三で喧嘩にでもなったら勝てるはずがないのだ。
情けない話であるが、こいつらにデメリットを理解させて引かせるのが一番いい。
これで駄目だったら、優香だけ逃がして僕が殴られればよかろう。
「・・・ちっ、行くぞ」
その作戦は功を奏したようで、リーダー格の男はそう言い残して、三人の男たちはその場を去って行った。
はぁ・・・緊張した。
「飛鳥さん、ご迷惑をおかけしましたっ・・・!」
「いや、優香が悪いわけではないし、謝らないでくれ。
それより、優香が無事で本当に良かっ、た・・・・・・」
最後で言葉に詰まってしまったが、仕方のないことだろう。
よくよく優香を見ると、そこそこ高いだろうドレスにも似た服を着ていた。青を基調としていて優香をとても大人っぽく見せている。化粧も軽くされており、とても綺麗だ。これなら大抵の高級店に入れるだろう。
・・・やばい。超可愛い。今すぐ抱き締めてしまいたいくらいだ。
「「・・・・・・・・・ハッ!?」」
しばし見惚れてしまっていた。
優香に指摘されなかった理由は分からないが、バレていないようで何より。
「あっ、あの、ですね・・・助けてくれて、ありがとうございます・・・///」
「ど、どういたしまして。ちょっと格好がつかないやり方だったけどな・・・」
「そんなことありません!凄く、格好良かったです・・・!」
「そ、そうか?そう言ってもらえると嬉しい、な」
何だろうね、これ。
お互いどうしていいのか分からずふわふわしている気がする。
ここは優香を連れて早く店に向かうのがいいんだろうけど、あまりにも綺麗過ぎて簡単に触れてしまうことに強い躊躇いを覚えるのだ。
先程から心臓の音がうるさいし、多分顔が赤くなっているだろうな・・・。
・・・ただ、優香の反応を見る限り、そんな気持ちはお互い様なのかもしれない。それだけが今の僕にある救いだな。
いつまでもこうしていても仕方ないので、意を決して話を進める。
「それじゃあ、行こうか?」
「は、はい・・・!」
僕は優香に手を差し出した。
彼女は少し驚いていたが、その手を拒絶はされなかった。
「そ、そういえば・・・その服、綺麗だね。とても似合ってて可愛いと思う」
「あ、ありがとうございます・・・。実は、母に今日の事がバレてしまって、この服を着て行けと言われてしまい・・・」
「そうなのか。だとしたら、優香のお母さんに感謝しないとな・・・」
こんな綺麗で美しく可愛い優香を見ることが出来たのだから、感謝感激。
いつか会う機会があるだろうし、その時にはお礼を言わせてもらおう。
「あ・・・そ、そういう飛鳥さんも、その服、とても似合っていると思います!」
「ん、まあ・・・美鈴にもそう言われてたし、ちょっとだけ自信があったんだ。
優香にも気に入ってもらえたようで、心底良かったと思ってるよ」
お世辞ではなさそうなのでとても嬉しい。
繋がれた手から伝わってくる温もりが、とても心地良い。
冷静さを端から剥がされているような感覚に襲われているが・・・悪くない。
ああ・・・いよいよ駄目だな、これは。
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